32 / 41
第32話 ティーパーティーは疑惑の香り・後編
しおりを挟む
連れていかれた先はお抱え医師の診察室……な訳がなく。防音魔法のかかった談話室だった。三人で中に入り鍵をかけるなり、淑女《シャーロット》の仮面をかなぐり捨てたルイス様がすごい形相でこちらを睨み、ぴぃっと小さな悲鳴を上げたテディが私の背に素早く隠れた。自分でついてきた癖に……。
「君は一体何を考えているんだ!ライアンが機転を聞かせて体調不良と言う呈を取ったから良かったものの自分より目上の者ばかりが集まる場に遅刻だなんてもっての他だよ。君は只でさえ学園にとって異端なんだ、己の立場を悪くしない為にも少しは行動を考えたらどうだい!?」
「はい、ごめんなさい。気を付けます……」
来る前はパニックでそれどころじゃなかったけど、冷静になってみれば自分の行動が他人から見れば大問題なことがよくわかる。ルイス様の言い分は最もだ。
頭を下げた先で、若干落ち着いたらしいルイス様のため息が聞こえる。
「はぁ…………、まぁいい。反省もしているようだしね。それで?何か異常事態でもあったの?」
理由、聞いてくれるんだ……。
ちょっと内心驚きつつ事情を話そうとしてハッとなる。そうだ、惚れ薬!!!
「あの、今日のお茶会のお菓子とか紅茶って、参加者からの持ち寄りとかじゃないですよね!?」
「持ち寄り……?あぁ、献上品と言うことかい?それはないよ。今回はあくまで“招待”だ、食品等は全て王家側が用意してくれている」
その返答にほっとしつつテディを見下ろせば、どこかおもしろく無さげにむくれた頬と揺れるアホ毛が目に入る。
そのつやつやのほっぺたをミョーンと両サイドから引っ張った。
「いっいひゃいいひゃいいひゃい!ちょっと、可愛い僕の顔に何すんのさ!」
「今あんたちぇって顔してたでしょ。テディは薬の調合が得意なのよね?本当は今日のお茶会でなんかイタズラでも企んでたんじゃないの?」
「ーっ!!」
腰に手を当て顔を覗き込みながらカマをかければ、あからさまに泳ぐ水色の瞳。怪しい……。
ルイス様も訝しいと思ったのか、室内に重い沈黙が落ちる。それに耐えきれなくなったテディが、ぶすくれながらも白状しだした。
「……ちぇっ、何でこんな鋭いんだよ。野生の勘?」
失礼な、そこはせめて女性の勘と言ってほしい。……が、やっぱりテディはこの世界にしか無い魔法の果実、“ティアーモの実”を使って調合した惚れ薬で、ライアン殿下にシャーロット様以外の令嬢を見初めさせようとしていたそうだ。
罰が悪いのか徐々に尻つぼみになっていく自白を聞き、ため息をついたルイス様が天井を仰ぐ。
「いくら毒物では無いとは言え一国の王太子に一服盛ろうとするとはなんて不敬な……。それに何故そこで“シャーロット”が出てくるんだ」
「だ、だって!あんたが僕に意地悪して厳しくしごくから!!腹いせにあんたの妹の恋を邪魔してやれって思ったんだもん!!でも実際来てみればお茶会には兄《ルイス》の方が来てるし薬自体も調合配合のメモもここに来る前に校内医に没収されちゃったんだからもう良いじゃん!」
「はぁ!?」
「……テディ、貴方いい加減に」
なるほど、テディは私と同じくシャーロット様がライアンを好いていると勘違いした上で、シャーロット様を傷つけ間接的にルイス様にもダメージが行くようにとこの計画を立てた訳だ。しかしこの態度は良くない。お説教の為口を開きかけたその時、廊下が急にバタバタと騒がしくなった。
「あぁっ、お待ちください医師様!いくら学園教師の方でも許可なく王宮を動き回られては困ります!」
「無礼は百も承知ですが緊急事態なんです、許してください!!ライアン殿下主催の茶会の会場はどちらですか!!?」
そんな会話をしながら突き当たりであるこの部屋に飛び込んできたのはジーニアス先生だった。メガネはずり落ち髪も白衣も乱れまくったその姿に何事かと顔を見合せ、ルイス様が代表して先生に声をかける。あ、あくまで公爵令嬢《シャーロットさま》としてね。
「ご機嫌よう、ジーニアス様。本日は休暇にも関わらず如何なさいまして?」
「あぁシャーロット様、ミーシャさんにテディ君まで!じ、実は……」
「「「実は?」」」
「テディ君から没収した惚れ薬の小瓶が、今日のお茶会に献上したブレンド茶とシロップの中に紛れ込んでしまったみたいなんですぅぅぅぅっ!!」
大の大人の顔面蒼白な告白に、目が点になる私達。な、なんだってーっっっ!?
「何をどうしたらそんな失態をやらかすのですか!!」
「申し訳ありません!彼から没収した薬を机においた後、急いで茶葉やシロップの選り分けを同じ台上で行ったせいで紛らわしかった様で……!」
更に聞けば、茶葉セットその物は先生自身じゃなく受け取りに来たライアン殿下の従者が行ったそうだ。そんな状況で見た目はほぼシロップと変わらない小瓶があれば、それもセットだと思い込んでしまっても仕方ないとは思う。
「私がついた時テーブルに並んでたカラフルな小瓶がそうですよね?でも普通王族貴族がいる席に出すものならちゃんと毒味とかするんじゃないんですか!?」
「ティアーモの惚れ薬は口にして始めに目にした異性に問答無用で激しい恋慕の情を引き起こす妙薬です。男性しか居ない場で行われた毒味の際には効果が発動しなかったのでしょう」
「そんなのありです!?もーっ、てかテディはなんで気づかなかったのよ!」
「だって僕ずっと拗ねて下向いてたからテーブルの上見なかったんだもん!それにまさか先生に取り上げられたもんがこんな形で巡ってくるなんて思わないじゃん!」
「まぁそりゃそうだ!!!」
この際マナーがどうとか言っていられない。情報共有をしつつ全力失踪で戻った薔薇園では、正に惚れ薬であるピンクの液体が注がれたミルクティーをイアンが口に運ぼうとしている所だった。
「ライアン殿下!ダリア嬢はどちらへ!?」
「イアン殿がジーニアス教諭の茶葉を称賛していたことが気に食わなかったんだろう。今しがた、『私もお茶には多少煩いんです。イアン様に最適な物を淹れて参ります』とミシェル嬢を手伝いに連れて席を外したけれど……どうしたんだい?皆してそんなに血相を変えて」
あぁぁぁぁっ、せめてイアンが惚れる相手が婚約者であるダリアならまだ話がややこしくならずに済んだのに!!いや、そんなことより……
「イアン様!それ飲んじゃ駄目!!!ブレイズ様、止めて下さい!」
そう叫びながら駆け寄れば、流石は現役騎士。良くないものが茶に混ざっていると瞬時に察したブレイズが、隣の席のイアンの手からティーカップをはたき落としてくれる。口に含んだ分も吐かせようとかなりの強さでブレイズの手がイアンの背を叩き、イアンは椅子から落ちたまま盛大に咳き込んだ。
(うわぁ、流石の馬鹿力……。でもナイスですブレイズ様!)
内心でそうブレイズを称えつつ、まだむせているイアンの前にかがみ水を差し出す。こんだけ盛大に吐き出してるし、惚れ薬は飲み込んで居ないだろうと判断したからこその行動だったのだけれど、イアンが顔を上げる前に気づいた。ティアーモの実の色である鮮やかなピンク色の惚れ薬の瓶が、ほとんど空に近い状態であることに。
(ま、まさか……これが一杯目じゃない?)
「イアン様!?ミーシャさん、イアン様に一体何をしたんですか!」
そこにタイミング悪く戻ってきたダリアの怒声が響くなか、ゆっくり顔を上げたイアンの瞳がはっきり私を写して揺れた。
「君は一体何を考えているんだ!ライアンが機転を聞かせて体調不良と言う呈を取ったから良かったものの自分より目上の者ばかりが集まる場に遅刻だなんてもっての他だよ。君は只でさえ学園にとって異端なんだ、己の立場を悪くしない為にも少しは行動を考えたらどうだい!?」
「はい、ごめんなさい。気を付けます……」
来る前はパニックでそれどころじゃなかったけど、冷静になってみれば自分の行動が他人から見れば大問題なことがよくわかる。ルイス様の言い分は最もだ。
頭を下げた先で、若干落ち着いたらしいルイス様のため息が聞こえる。
「はぁ…………、まぁいい。反省もしているようだしね。それで?何か異常事態でもあったの?」
理由、聞いてくれるんだ……。
ちょっと内心驚きつつ事情を話そうとしてハッとなる。そうだ、惚れ薬!!!
「あの、今日のお茶会のお菓子とか紅茶って、参加者からの持ち寄りとかじゃないですよね!?」
「持ち寄り……?あぁ、献上品と言うことかい?それはないよ。今回はあくまで“招待”だ、食品等は全て王家側が用意してくれている」
その返答にほっとしつつテディを見下ろせば、どこかおもしろく無さげにむくれた頬と揺れるアホ毛が目に入る。
そのつやつやのほっぺたをミョーンと両サイドから引っ張った。
「いっいひゃいいひゃいいひゃい!ちょっと、可愛い僕の顔に何すんのさ!」
「今あんたちぇって顔してたでしょ。テディは薬の調合が得意なのよね?本当は今日のお茶会でなんかイタズラでも企んでたんじゃないの?」
「ーっ!!」
腰に手を当て顔を覗き込みながらカマをかければ、あからさまに泳ぐ水色の瞳。怪しい……。
ルイス様も訝しいと思ったのか、室内に重い沈黙が落ちる。それに耐えきれなくなったテディが、ぶすくれながらも白状しだした。
「……ちぇっ、何でこんな鋭いんだよ。野生の勘?」
失礼な、そこはせめて女性の勘と言ってほしい。……が、やっぱりテディはこの世界にしか無い魔法の果実、“ティアーモの実”を使って調合した惚れ薬で、ライアン殿下にシャーロット様以外の令嬢を見初めさせようとしていたそうだ。
罰が悪いのか徐々に尻つぼみになっていく自白を聞き、ため息をついたルイス様が天井を仰ぐ。
「いくら毒物では無いとは言え一国の王太子に一服盛ろうとするとはなんて不敬な……。それに何故そこで“シャーロット”が出てくるんだ」
「だ、だって!あんたが僕に意地悪して厳しくしごくから!!腹いせにあんたの妹の恋を邪魔してやれって思ったんだもん!!でも実際来てみればお茶会には兄《ルイス》の方が来てるし薬自体も調合配合のメモもここに来る前に校内医に没収されちゃったんだからもう良いじゃん!」
「はぁ!?」
「……テディ、貴方いい加減に」
なるほど、テディは私と同じくシャーロット様がライアンを好いていると勘違いした上で、シャーロット様を傷つけ間接的にルイス様にもダメージが行くようにとこの計画を立てた訳だ。しかしこの態度は良くない。お説教の為口を開きかけたその時、廊下が急にバタバタと騒がしくなった。
「あぁっ、お待ちください医師様!いくら学園教師の方でも許可なく王宮を動き回られては困ります!」
「無礼は百も承知ですが緊急事態なんです、許してください!!ライアン殿下主催の茶会の会場はどちらですか!!?」
そんな会話をしながら突き当たりであるこの部屋に飛び込んできたのはジーニアス先生だった。メガネはずり落ち髪も白衣も乱れまくったその姿に何事かと顔を見合せ、ルイス様が代表して先生に声をかける。あ、あくまで公爵令嬢《シャーロットさま》としてね。
「ご機嫌よう、ジーニアス様。本日は休暇にも関わらず如何なさいまして?」
「あぁシャーロット様、ミーシャさんにテディ君まで!じ、実は……」
「「「実は?」」」
「テディ君から没収した惚れ薬の小瓶が、今日のお茶会に献上したブレンド茶とシロップの中に紛れ込んでしまったみたいなんですぅぅぅぅっ!!」
大の大人の顔面蒼白な告白に、目が点になる私達。な、なんだってーっっっ!?
「何をどうしたらそんな失態をやらかすのですか!!」
「申し訳ありません!彼から没収した薬を机においた後、急いで茶葉やシロップの選り分けを同じ台上で行ったせいで紛らわしかった様で……!」
更に聞けば、茶葉セットその物は先生自身じゃなく受け取りに来たライアン殿下の従者が行ったそうだ。そんな状況で見た目はほぼシロップと変わらない小瓶があれば、それもセットだと思い込んでしまっても仕方ないとは思う。
「私がついた時テーブルに並んでたカラフルな小瓶がそうですよね?でも普通王族貴族がいる席に出すものならちゃんと毒味とかするんじゃないんですか!?」
「ティアーモの惚れ薬は口にして始めに目にした異性に問答無用で激しい恋慕の情を引き起こす妙薬です。男性しか居ない場で行われた毒味の際には効果が発動しなかったのでしょう」
「そんなのありです!?もーっ、てかテディはなんで気づかなかったのよ!」
「だって僕ずっと拗ねて下向いてたからテーブルの上見なかったんだもん!それにまさか先生に取り上げられたもんがこんな形で巡ってくるなんて思わないじゃん!」
「まぁそりゃそうだ!!!」
この際マナーがどうとか言っていられない。情報共有をしつつ全力失踪で戻った薔薇園では、正に惚れ薬であるピンクの液体が注がれたミルクティーをイアンが口に運ぼうとしている所だった。
「ライアン殿下!ダリア嬢はどちらへ!?」
「イアン殿がジーニアス教諭の茶葉を称賛していたことが気に食わなかったんだろう。今しがた、『私もお茶には多少煩いんです。イアン様に最適な物を淹れて参ります』とミシェル嬢を手伝いに連れて席を外したけれど……どうしたんだい?皆してそんなに血相を変えて」
あぁぁぁぁっ、せめてイアンが惚れる相手が婚約者であるダリアならまだ話がややこしくならずに済んだのに!!いや、そんなことより……
「イアン様!それ飲んじゃ駄目!!!ブレイズ様、止めて下さい!」
そう叫びながら駆け寄れば、流石は現役騎士。良くないものが茶に混ざっていると瞬時に察したブレイズが、隣の席のイアンの手からティーカップをはたき落としてくれる。口に含んだ分も吐かせようとかなりの強さでブレイズの手がイアンの背を叩き、イアンは椅子から落ちたまま盛大に咳き込んだ。
(うわぁ、流石の馬鹿力……。でもナイスですブレイズ様!)
内心でそうブレイズを称えつつ、まだむせているイアンの前にかがみ水を差し出す。こんだけ盛大に吐き出してるし、惚れ薬は飲み込んで居ないだろうと判断したからこその行動だったのだけれど、イアンが顔を上げる前に気づいた。ティアーモの実の色である鮮やかなピンク色の惚れ薬の瓶が、ほとんど空に近い状態であることに。
(ま、まさか……これが一杯目じゃない?)
「イアン様!?ミーシャさん、イアン様に一体何をしたんですか!」
そこにタイミング悪く戻ってきたダリアの怒声が響くなか、ゆっくり顔を上げたイアンの瞳がはっきり私を写して揺れた。
0
あなたにおすすめの小説
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる