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何も知らないこの街で その1
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「はぁ…おい見海…。朝だぞ!」
朝6時の時間帯、少年は世界一のセレブが集まるこの花宇町では珍しくもない、華やかで豪華な一軒家の扉を乱暴に叩き、チャイムを連打していた。
彼の名前は六道 彩邦(りくどう あやくに)。この春から新学期を迎えてまだ一ヶ月の14歳の新中学3年生。
顔立ちはやや整っているが、瞳の色と同様の黒髪もあってやや地味な印象を与える風貌だ。
だが、彼の身につけている学園中等部専用のその制服は明らかに、仕立てが良よく、更に所々には金糸や銀糸による装飾が施ほどこされており、それは彼の裕福さがうかがえる。
彼は今年の春から一人暮らしを始めたばかりであり、今日から晴れて私立歪合学園の高等部に通う生徒となった。
そんな彼が何故、こんな早朝にインターホンとノックを繰り返しているのか?理由は簡単だ。
この家の住人であり、彼の幼馴染であり親友でもあり、そして同じ学園の生徒である、見海 伏文(みうみ ふぶみ)を起こすためだ。
「お~い!!お~い…。駄目だ起きない…。」
先程から呼びかけているが一向に反応がない。
「はぁ…。見海め…。寝てやがるな…」
六道彩国は苦虫を噛み締めたような表情でため息をつく、すると彼は、突然、バサバサという音が上からこちらに近づいて来ていることに気づく。
空を見上げると、そこには雲一つない快晴の空。そこには赤い鱗をした小型の飛竜に乗った少年が飛んでいた。
「おっす!彩邦くん!おはよう!」
快活そうな笑顔を向け、明るく挨拶をする彼は、クラスメイトでサッカー部員の男子生徒だった。
名は天川 隆弘(あまかわ たかひろ)といい、サッカー部のエースストライカーで、全国レベルの実力を持つ選手だ。
そんな彼は現在、何かしら理由があり、小竜に跨り早めに学校へ登校していたのだが、彩国宅の前を通りかかった際、玄関前で騒々しい行動を取っている彩国を見つけたため降りてきたようだ。
「おう……お前それ…!遂に亡魔を従えたのか!」
挨拶を返そうとした彩国は、天川の乗る小竜を見て、驚きの声を上げた。
その声に釣られて天川の方も、彩国が見上げる視線の先に顔を向けた。
「おっ?ああ!そうなんだよ!川辺でな…。こいつもうすぐ成仏しかけてたけど…。ギリギリ俺の魔力と波長が合ったんだ!」
「すげぇ!お前、遂にサモナーかよ!!」
天川は嬉々とした表情で六道に対して、この亡魔と契約を交わした経緯を語り、六道もそれを聞きながら小さく拍手しながら天川を賛辞する。
「なぁ撫でてもいいか?」
「いや…悪い…」
六道が真っ赤な鱗を持つ竜の頭を見て問うと、申し訳なさそうな顔をする。
「こいつな…。生前、異世界では人間に討伐されたみたいで…。まだ主人である俺以外の人間に気を許せないんだ…。トラウマなんだよ」
「そっか……残念……名前は?」
「まだつけてない…。一応今は、こいつ『リブルドラグ』っていう種族名だって自分で言ってて…。それで呼んでるぜ!」
天川はリブルドラグと言う種の自らに仕えている、亡魔の頭を撫でた。
リブルドラグと呼ばれる小竜は、気持ち良さそうに目を細め、ゴロゴロと喉を鳴らす。
「ところで彩邦は、こんな時間にどうした? それもミウミンのお家の前で騒いでるし……」
「起きねぇんだよ…。この時間になっても…。俺とあいつは家が向かいだし、一応長い付き合いだから、担任に俺が頼まれたんだわ…。いや困った」
六道は眉間に皺を寄せながら愚痴をこぼすと、それを聞いた天川は目の前の豪邸の2階の窓が空いていることに気付く、そして何かを思いついたのか、にやりと笑みを浮かべた。
「それなら任せてくれ!」
天川がパチンと指を鳴らすと、小竜はその大きな羽をはためかせて、天川を乗せたまま、ゆったりと宙へ浮く。
そして竜はそのまま空いた窓の中に器用に自身の首だけ突っ込んだ。
「いたみたいだぞ…。彩国…確かミウミンの部屋、防音機能あるよな…?」
「おいおい…まじかよ」
天川の問いかけに対して、六道はこれから起こることを予想し、頭を抱えた。
次の瞬間、見海の寝室に頭だけを突っ込んでいる小竜が、凄まじい音量で咆哮した。
「グオオオオオオオオオっ!!」
「やり過ぎ。やり過ぎ」
六道は余りの音圧で揺れる窓を見ながら呟く、すると咆哮が止んですぐ、「ふにゃああ!!」と言う悲鳴が2階から聞こえてきた。
それを聞いた天川は直ぐに竜と共に降りてきてニヤリと笑う。
「彩国!これで一つ貸しだぜ!じゃあ俺…。リブルドラクを学校の霊舎に預けるための許可証が必要だからこれで…」
「貸しだぜ…?じゃねぇよ!!おいこら待て逃げんな!」
六道は場を無茶苦茶にした天川に文句を言おうとしたが、天川はすぐに小竜の背中に乗ったまま、大空の彼方へと消えていった。
「まったく……相変わらずだなあいつ」
六道は呆れながらため息混じりに言うと、目の前の分厚いドアがガチャリと音を立てて開く。
「ふにゃあ……うるさいなぁ……なんの騒ぎぃ?」
そう言って目をこすりながら出てきたのは、一見すると美少女のように見える女の子と見間違えるほどに可愛いらしい顔の少年だった。
栗色の髪はショートボブヘアに切り揃えられていて、目は大きくてくりっとしたアーモンド型。
肌の色は雪のように白く、顔は小さい輪郭、端正な顔立ちをしていて、唇は薄く桜色をしていた。
寝間着の服装は半袖のYシャツの上に薄手のパーカーを着ており、下には膝上までのハーフパンツを履いていた。
彼は女性と間違われ扱われることを嫌っていることもあり、全体的にボーイッシュな格好ではあるが、それでも尚、彼の可愛らしさは隠しきれておらず、むしろ清楚なイメージを醸し出している。
背丈こそ160cmと同年代の男子と比べ、平均より高めで、そこは男性っぽさがあると思いきや、彼と大抵いつも一緒にいる幼馴染の六道彩国は172cmとかなりの高身長で、もう一人の一緒にいることの多い幼馴染に至っては、女子中学生なのに180cm近くあるため、彼の体格も細身なことも相まって、小柄で女性っぽく見えてしまう。
「やっと起きたか見海……。入るぜ」
六道は慣れた手つきでドアノブを掴みドアを開けると、そのままズカズカと家の中に入っていった。
朝6時の時間帯、少年は世界一のセレブが集まるこの花宇町では珍しくもない、華やかで豪華な一軒家の扉を乱暴に叩き、チャイムを連打していた。
彼の名前は六道 彩邦(りくどう あやくに)。この春から新学期を迎えてまだ一ヶ月の14歳の新中学3年生。
顔立ちはやや整っているが、瞳の色と同様の黒髪もあってやや地味な印象を与える風貌だ。
だが、彼の身につけている学園中等部専用のその制服は明らかに、仕立てが良よく、更に所々には金糸や銀糸による装飾が施ほどこされており、それは彼の裕福さがうかがえる。
彼は今年の春から一人暮らしを始めたばかりであり、今日から晴れて私立歪合学園の高等部に通う生徒となった。
そんな彼が何故、こんな早朝にインターホンとノックを繰り返しているのか?理由は簡単だ。
この家の住人であり、彼の幼馴染であり親友でもあり、そして同じ学園の生徒である、見海 伏文(みうみ ふぶみ)を起こすためだ。
「お~い!!お~い…。駄目だ起きない…。」
先程から呼びかけているが一向に反応がない。
「はぁ…。見海め…。寝てやがるな…」
六道彩国は苦虫を噛み締めたような表情でため息をつく、すると彼は、突然、バサバサという音が上からこちらに近づいて来ていることに気づく。
空を見上げると、そこには雲一つない快晴の空。そこには赤い鱗をした小型の飛竜に乗った少年が飛んでいた。
「おっす!彩邦くん!おはよう!」
快活そうな笑顔を向け、明るく挨拶をする彼は、クラスメイトでサッカー部員の男子生徒だった。
名は天川 隆弘(あまかわ たかひろ)といい、サッカー部のエースストライカーで、全国レベルの実力を持つ選手だ。
そんな彼は現在、何かしら理由があり、小竜に跨り早めに学校へ登校していたのだが、彩国宅の前を通りかかった際、玄関前で騒々しい行動を取っている彩国を見つけたため降りてきたようだ。
「おう……お前それ…!遂に亡魔を従えたのか!」
挨拶を返そうとした彩国は、天川の乗る小竜を見て、驚きの声を上げた。
その声に釣られて天川の方も、彩国が見上げる視線の先に顔を向けた。
「おっ?ああ!そうなんだよ!川辺でな…。こいつもうすぐ成仏しかけてたけど…。ギリギリ俺の魔力と波長が合ったんだ!」
「すげぇ!お前、遂にサモナーかよ!!」
天川は嬉々とした表情で六道に対して、この亡魔と契約を交わした経緯を語り、六道もそれを聞きながら小さく拍手しながら天川を賛辞する。
「なぁ撫でてもいいか?」
「いや…悪い…」
六道が真っ赤な鱗を持つ竜の頭を見て問うと、申し訳なさそうな顔をする。
「こいつな…。生前、異世界では人間に討伐されたみたいで…。まだ主人である俺以外の人間に気を許せないんだ…。トラウマなんだよ」
「そっか……残念……名前は?」
「まだつけてない…。一応今は、こいつ『リブルドラグ』っていう種族名だって自分で言ってて…。それで呼んでるぜ!」
天川はリブルドラグと言う種の自らに仕えている、亡魔の頭を撫でた。
リブルドラグと呼ばれる小竜は、気持ち良さそうに目を細め、ゴロゴロと喉を鳴らす。
「ところで彩邦は、こんな時間にどうした? それもミウミンのお家の前で騒いでるし……」
「起きねぇんだよ…。この時間になっても…。俺とあいつは家が向かいだし、一応長い付き合いだから、担任に俺が頼まれたんだわ…。いや困った」
六道は眉間に皺を寄せながら愚痴をこぼすと、それを聞いた天川は目の前の豪邸の2階の窓が空いていることに気付く、そして何かを思いついたのか、にやりと笑みを浮かべた。
「それなら任せてくれ!」
天川がパチンと指を鳴らすと、小竜はその大きな羽をはためかせて、天川を乗せたまま、ゆったりと宙へ浮く。
そして竜はそのまま空いた窓の中に器用に自身の首だけ突っ込んだ。
「いたみたいだぞ…。彩国…確かミウミンの部屋、防音機能あるよな…?」
「おいおい…まじかよ」
天川の問いかけに対して、六道はこれから起こることを予想し、頭を抱えた。
次の瞬間、見海の寝室に頭だけを突っ込んでいる小竜が、凄まじい音量で咆哮した。
「グオオオオオオオオオっ!!」
「やり過ぎ。やり過ぎ」
六道は余りの音圧で揺れる窓を見ながら呟く、すると咆哮が止んですぐ、「ふにゃああ!!」と言う悲鳴が2階から聞こえてきた。
それを聞いた天川は直ぐに竜と共に降りてきてニヤリと笑う。
「彩国!これで一つ貸しだぜ!じゃあ俺…。リブルドラクを学校の霊舎に預けるための許可証が必要だからこれで…」
「貸しだぜ…?じゃねぇよ!!おいこら待て逃げんな!」
六道は場を無茶苦茶にした天川に文句を言おうとしたが、天川はすぐに小竜の背中に乗ったまま、大空の彼方へと消えていった。
「まったく……相変わらずだなあいつ」
六道は呆れながらため息混じりに言うと、目の前の分厚いドアがガチャリと音を立てて開く。
「ふにゃあ……うるさいなぁ……なんの騒ぎぃ?」
そう言って目をこすりながら出てきたのは、一見すると美少女のように見える女の子と見間違えるほどに可愛いらしい顔の少年だった。
栗色の髪はショートボブヘアに切り揃えられていて、目は大きくてくりっとしたアーモンド型。
肌の色は雪のように白く、顔は小さい輪郭、端正な顔立ちをしていて、唇は薄く桜色をしていた。
寝間着の服装は半袖のYシャツの上に薄手のパーカーを着ており、下には膝上までのハーフパンツを履いていた。
彼は女性と間違われ扱われることを嫌っていることもあり、全体的にボーイッシュな格好ではあるが、それでも尚、彼の可愛らしさは隠しきれておらず、むしろ清楚なイメージを醸し出している。
背丈こそ160cmと同年代の男子と比べ、平均より高めで、そこは男性っぽさがあると思いきや、彼と大抵いつも一緒にいる幼馴染の六道彩国は172cmとかなりの高身長で、もう一人の一緒にいることの多い幼馴染に至っては、女子中学生なのに180cm近くあるため、彼の体格も細身なことも相まって、小柄で女性っぽく見えてしまう。
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