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砂と骨の都市、サザノール
反省会
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「…えー…このたびはその…他所様の世界で好き勝手してしまった事を大変申し訳なく思い…一族集まってお詫びに参った次第で…」
フェンリル、ヨルムガンドと共に砂漠の上に額をこすり合わせる。その先の空には巨大な雲で形成された禿頭の男の顔があった。
彼はアルマドール。この砂漠の世界を作った、創造神様だ。
この度は私が起こした一連の騒動に対して、相当お冠のご様子で…その…なんの申し開きも…。
「許してやってくれんかの、アルマドールよ。此奴も元から滅ぼすつもりでこの世界に来た訳じゃないんじゃ。むしろヨルムガンドを止める為に来たんじゃよ」
オモイカネが口を挟む。
「なに、お知り合いなの?」
「まぁの、かれこれ900年も世界を渡り歩いておれば嫌でも顔を覚えられるわい。とはいっても一度サザンビアの旨さについて話の花を咲かせた程度じゃがな」
あ、あれ美味しかったよね。創造神も好きなんだ。
「ロキよ」
雷雲の様に腹に轟く低い声。アルマドールの声だ。思わず背筋が伸びる。
「我は別にサザノールを滅ぼそうとしたから怒ってるのではない。むしろあの野蛮な風習のある町、なぜ滅ぼさなかったのかと思っていた所だ」
あ、やっぱアルマドールもあのカーニバルについては快く思ってないんだ。
「我が怒っている理由は一つ」
彼の顔が雲からより克明に掘り出され、一層近づく。
「我の推しに手を出した事だ」
ヒェッ…それはそれはすみません私の不徳の致すところですどうか許してくださいお願いしますなんでもし…
ん?推し…?
「貴様!サザニアに惚れておったのだろう!そんなことは断じて許さぬ!サザニアはあの健気で男を知らない無垢さが尊いのだ!それを連れ出して自分の物にしようなどとは笑止千万!解釈違いも甚だしい!」
あー…アルマドールさん、同担拒否の方でしたか…。神様が尊いとか言っちゃってるよ…。
「…あの子は、どうなりましたか?
「知ってどうする」
いや、別にどうもしないけど。
「まぁ知ってても貴様には教えないがな」
デースーヨーネー。
「…サザニア・デ・ラムティン」
アルマドールの口から思いもよらぬ言葉が出てきて面食らった。
「貴様は図々しさ極まりないな。外様の分際で何の許可もなく魔法を新しく作り出すとは」
「す、すいません…」
まずいコレについても怒られんのか私…。まさか創造神直々に神罰とかないよな…。
「だが、あれは本当に美しかった。特にカーニバルではな」
「…え?カーニバル?」
カーニバルでサザニアが踊ったのか!私の魔法を使って!てっきり憎まれてるものだと思っていたが…。
「あーあー、見れなくて残念だったな。それはもう全世界あらゆる女性を束ねて踊らそうとも足元にも及ばぬ美しさだった。見れないなど100世にわたる後悔物よ」
こいつ…いけしゃあしゃあとマウント取り始めやがった…。
「おそらく、最後の最後まで憎悪に身を焦がして死ぬのは嫌だったのであろう。貴様は許すという意味を込めて使ったのだ。サザニアはそういう女だ」
なるほどね…。
「この美しき魔法は『サザンの加護』同様、正式な神術とする。礼を言わせて貰うぞ、ロキよ」
「いえ、こちらの方こそ、ありがとうございます」
柄にも無く明るい返答をする。だって、ずっと沼の奥底に沈められた様に重かった心が軽くなった気がしたから。
「我の用事はこれで終いだ。さらばだ、異界の神よ。諸君らの無事を願う」
言い終えると、雲が顔の形を崩し、解れていった。それを見届けると、私達は再びソリに乗って走り出す。
次の世界は鉄と蒸気の世界、デウス・エクス・マキナの世界だ。
フェンリル、ヨルムガンドと共に砂漠の上に額をこすり合わせる。その先の空には巨大な雲で形成された禿頭の男の顔があった。
彼はアルマドール。この砂漠の世界を作った、創造神様だ。
この度は私が起こした一連の騒動に対して、相当お冠のご様子で…その…なんの申し開きも…。
「許してやってくれんかの、アルマドールよ。此奴も元から滅ぼすつもりでこの世界に来た訳じゃないんじゃ。むしろヨルムガンドを止める為に来たんじゃよ」
オモイカネが口を挟む。
「なに、お知り合いなの?」
「まぁの、かれこれ900年も世界を渡り歩いておれば嫌でも顔を覚えられるわい。とはいっても一度サザンビアの旨さについて話の花を咲かせた程度じゃがな」
あ、あれ美味しかったよね。創造神も好きなんだ。
「ロキよ」
雷雲の様に腹に轟く低い声。アルマドールの声だ。思わず背筋が伸びる。
「我は別にサザノールを滅ぼそうとしたから怒ってるのではない。むしろあの野蛮な風習のある町、なぜ滅ぼさなかったのかと思っていた所だ」
あ、やっぱアルマドールもあのカーニバルについては快く思ってないんだ。
「我が怒っている理由は一つ」
彼の顔が雲からより克明に掘り出され、一層近づく。
「我の推しに手を出した事だ」
ヒェッ…それはそれはすみません私の不徳の致すところですどうか許してくださいお願いしますなんでもし…
ん?推し…?
「貴様!サザニアに惚れておったのだろう!そんなことは断じて許さぬ!サザニアはあの健気で男を知らない無垢さが尊いのだ!それを連れ出して自分の物にしようなどとは笑止千万!解釈違いも甚だしい!」
あー…アルマドールさん、同担拒否の方でしたか…。神様が尊いとか言っちゃってるよ…。
「…あの子は、どうなりましたか?
「知ってどうする」
いや、別にどうもしないけど。
「まぁ知ってても貴様には教えないがな」
デースーヨーネー。
「…サザニア・デ・ラムティン」
アルマドールの口から思いもよらぬ言葉が出てきて面食らった。
「貴様は図々しさ極まりないな。外様の分際で何の許可もなく魔法を新しく作り出すとは」
「す、すいません…」
まずいコレについても怒られんのか私…。まさか創造神直々に神罰とかないよな…。
「だが、あれは本当に美しかった。特にカーニバルではな」
「…え?カーニバル?」
カーニバルでサザニアが踊ったのか!私の魔法を使って!てっきり憎まれてるものだと思っていたが…。
「あーあー、見れなくて残念だったな。それはもう全世界あらゆる女性を束ねて踊らそうとも足元にも及ばぬ美しさだった。見れないなど100世にわたる後悔物よ」
こいつ…いけしゃあしゃあとマウント取り始めやがった…。
「おそらく、最後の最後まで憎悪に身を焦がして死ぬのは嫌だったのであろう。貴様は許すという意味を込めて使ったのだ。サザニアはそういう女だ」
なるほどね…。
「この美しき魔法は『サザンの加護』同様、正式な神術とする。礼を言わせて貰うぞ、ロキよ」
「いえ、こちらの方こそ、ありがとうございます」
柄にも無く明るい返答をする。だって、ずっと沼の奥底に沈められた様に重かった心が軽くなった気がしたから。
「我の用事はこれで終いだ。さらばだ、異界の神よ。諸君らの無事を願う」
言い終えると、雲が顔の形を崩し、解れていった。それを見届けると、私達は再びソリに乗って走り出す。
次の世界は鉄と蒸気の世界、デウス・エクス・マキナの世界だ。
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