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序章 私が転売ヤーに殺されるまでの話
最後に転売ヤーに殺された
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その日は比較的早め(20時)に業務を終え帰路についた。
そして駅のホームで電車を待つ間はスマホで通販アプリを開く。そして片っ端から無在庫転売を行っていると思しき転売ヤーを通報して「画像は別サイトからの無断転載です。手元に在庫がない無在庫転売のため購入しても発送される保証はありません」と商品レビューをつける。中学生の頃から続けているこれも、もはやライフワークだ。
あれから、療法食はとある獣医の尽力とたくさんの署名により最王手のフリマアプリで転売禁止の御触れが出て、それに続くようにして様々なショッピングサイトでも禁止された。これに関しては全国の療法食を必要としているペット達に届くようになり、エマや自分のような悲劇に見舞われる人はほとんど居なくなると見ていいだろう。素直に喜ばしいことだ。それまでに家族を失った人々の傷が癒えることはないが…。
でも、最近では少し思うことがある。自分でもこんな復讐に身を燃やし続けて、人を破滅させるために公僕として働くなんてよいのだろうか、と。そろそろ薪をくべるの手を止めて自然に鎮火させるんでも、いいのかもしれない。
俺は電車がホームに来るのを待たずして、スマホを閉じた。
もうちょっと周りを見て、他のことを考えてもいい頃なのかな。エマも、許してくれるよな。
近くの踏切の警笛が聞こえる。線路の先で電車がヘッドライトを煌々と焚きながらやってきている。
「まもなく通過電車が参ります。ご注意ください」
おっと、乗る電車じゃないな。物思いにふけるのもほどほどにしないとな。あやうく…
「お前のせいだ」
ドン
体が宙に浮く。
何者かに背中を押され、黄色い線をゆうに越えてその向こう側へと放り出される。
多分5秒もなかったと思う。
その中で捉えられた情報は、通過電車がすさまじい悲鳴と火花を上げて急ブレーキをかけた事、俺は膝をレールに打ち付けて動けない事、そして俺の背後にいた人間に見覚えがあった事。
そしてその人間は、以前俺が脱税で摘発し、破滅した転売ヤーだった事。
それを認識した後は、もはや何を感じる間もなく電車に轢かれて私は絶命した。
こうして俺は復讐に人生を燃やし、最後は自分の身を焦がして灰になった。
真っ白な灰に。
転売ヤー…
真っ白な灰の中から、黒い煙が立ち上る。
転売ヤー…すべし…
煙は濃くなり、灰が舞い上がる。
転売ヤー全滅すべし…!
そして、ついに灰の中からどす黒い炎が噴出した。
転売ヤー共…なぜ私から奪う…。家族を…そして命までも!
許さない…今度は絶対に許さないぞ…
復讐だ…必ず復讐してやる…!
摘発して借金漬けにするなんて生ぬるい
次こそは全てを奪ってやる、お前らが私にそうしたようにな…!
転売ヤーを全て全滅させるまで…!
魂に灯ったどす黒い炎は消えぬまま天に昇っていく。
強烈な風の中でも、宇宙の無間の中でも消えることはなく、
冥界に至り洗礼の泉に使って浄化されようとも消えることはなく、
ついに他の世界に移って母体に入り、身体を得ようとも消えることはなかった。
こうして俺は転売ヤーに対する怨嗟の炎を絶やすことなく、異世界転生を果たしたのだ。
そして駅のホームで電車を待つ間はスマホで通販アプリを開く。そして片っ端から無在庫転売を行っていると思しき転売ヤーを通報して「画像は別サイトからの無断転載です。手元に在庫がない無在庫転売のため購入しても発送される保証はありません」と商品レビューをつける。中学生の頃から続けているこれも、もはやライフワークだ。
あれから、療法食はとある獣医の尽力とたくさんの署名により最王手のフリマアプリで転売禁止の御触れが出て、それに続くようにして様々なショッピングサイトでも禁止された。これに関しては全国の療法食を必要としているペット達に届くようになり、エマや自分のような悲劇に見舞われる人はほとんど居なくなると見ていいだろう。素直に喜ばしいことだ。それまでに家族を失った人々の傷が癒えることはないが…。
でも、最近では少し思うことがある。自分でもこんな復讐に身を燃やし続けて、人を破滅させるために公僕として働くなんてよいのだろうか、と。そろそろ薪をくべるの手を止めて自然に鎮火させるんでも、いいのかもしれない。
俺は電車がホームに来るのを待たずして、スマホを閉じた。
もうちょっと周りを見て、他のことを考えてもいい頃なのかな。エマも、許してくれるよな。
近くの踏切の警笛が聞こえる。線路の先で電車がヘッドライトを煌々と焚きながらやってきている。
「まもなく通過電車が参ります。ご注意ください」
おっと、乗る電車じゃないな。物思いにふけるのもほどほどにしないとな。あやうく…
「お前のせいだ」
ドン
体が宙に浮く。
何者かに背中を押され、黄色い線をゆうに越えてその向こう側へと放り出される。
多分5秒もなかったと思う。
その中で捉えられた情報は、通過電車がすさまじい悲鳴と火花を上げて急ブレーキをかけた事、俺は膝をレールに打ち付けて動けない事、そして俺の背後にいた人間に見覚えがあった事。
そしてその人間は、以前俺が脱税で摘発し、破滅した転売ヤーだった事。
それを認識した後は、もはや何を感じる間もなく電車に轢かれて私は絶命した。
こうして俺は復讐に人生を燃やし、最後は自分の身を焦がして灰になった。
真っ白な灰に。
転売ヤー…
真っ白な灰の中から、黒い煙が立ち上る。
転売ヤー…すべし…
煙は濃くなり、灰が舞い上がる。
転売ヤー全滅すべし…!
そして、ついに灰の中からどす黒い炎が噴出した。
転売ヤー共…なぜ私から奪う…。家族を…そして命までも!
許さない…今度は絶対に許さないぞ…
復讐だ…必ず復讐してやる…!
摘発して借金漬けにするなんて生ぬるい
次こそは全てを奪ってやる、お前らが私にそうしたようにな…!
転売ヤーを全て全滅させるまで…!
魂に灯ったどす黒い炎は消えぬまま天に昇っていく。
強烈な風の中でも、宇宙の無間の中でも消えることはなく、
冥界に至り洗礼の泉に使って浄化されようとも消えることはなく、
ついに他の世界に移って母体に入り、身体を得ようとも消えることはなかった。
こうして俺は転売ヤーに対する怨嗟の炎を絶やすことなく、異世界転生を果たしたのだ。
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