転売スレイヤー ~この異世界から転売ヤーを絶滅させます~

natuumi

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1章 火の魔石

爆誕

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 生まれたばかりの私はは赤ん坊とは思えないような途轍もない形相をしていたという。
 その頃の記憶は無いんだけど、やはり魂に残った憎悪の影響だろう。

 しかし鬼の形相を見せたのはその一回のみ、そこから先は4歳までは通常の子供の通り健やかに育っていったそうな。それまでの私は無邪気で、少し駄々っ子で手のかかる子だったのだとか。

 そして4歳の誕生日、両親からプレゼントとして子犬がプレゼントされた時に前世の記憶を取り戻した。両親はその時の目つきの変わりようをよく覚えていたという。
 両親から手渡された黒い子犬。彼女とは似ても似つかない雄犬だったが、思わず「エマ…」と呟いてしまい、涙があふれかけた。いや、違う。この子はエマじゃない。エマは、もういないんだ。そう思って溢れそうになった涙を袖で拭い、両親にありがとうと一言いうと、私はその犬の名前はゾッドと名付けた。

 まずは状況確認だ。

 私は確かに死んだ。
 子供の頃、転売ヤーによる犬用の療法食の買い占められた事により、姉のように思っていたエマを失った私はマルサ(国税庁査察部)に入り、未納税の悪質な転売ヤーを成敗していたわけだが、逆恨みした転売ヤーにホームから突き落とされて命を落とした。
 その時の怒りと記憶は確かにある。あの状態から生き残ったとは考え難い。身体も小さく幼くなっていることからして、死んでから次の生を受けたことは間違いないだろう。仏教でいう転生というやつか。しかし何かの間違いで前世の記憶が残っているようだ。

 そして今しがた自然と両親に向かって発した言語。確かに感謝の意を述べたつもりだが日本語じゃない。しかし英語や中国語でもなく、前世では全く耳にしたことのない系統の言語だ。日本語でも思考ができるしこの謎の言語で思考を言語化し、発することができる。不思議な感覚だ。

 名前はヤミー・デント。漢字を使わない二つ目の名前があるというのは、中二臭くて少しむず痒いものがあるが、この際前世での名前は記憶の奥底にしまっておこう。この世界にいる限りは引き出すことは二度とないはずだ。

 次に周囲の環境は?床も壁も屋根も全て木で組まれている。丸太小屋だろうか。部屋を照らすのはオイル式のランプ。金持ちが軽井沢の別荘で雰囲気を出したいとかいう理由でなければまず使われないであろう古めかしいランプだ。しかし両親の身なりは麻の下着と獣皮のジャケットだ。家から電化製品らしきものを全て排してこんな先史じみたコスプレをわざわざしている世捨て人でもなければ、おそらくここは前世でいた日本よりだいぶ前の文化レベルの田舎なのだろう。

 それ以上は思考したところで埒が明かない。そこから私は学ぶことにした。

 まずは家にある児童書を片っ端から読み漁った。正確には村で共用の本で、赤ちゃんが生まれた家庭に一部を貸し出しているものらしいが、私はそれを読んでは次を、読んでは次をと親にねだり、10日間で村にある本114冊の児童書を全て読みつくした。

 その結果わかった事として、どうやらここは前の世界とは全く異なる世界らしい。
 この世界には魔法が存在する。まさに昔読んだファンタジー小説のまま、剣と魔法の世界だ。児童書の中にも魔法図鑑、魔物図鑑があり読んでいたわけだが、最初は子供向けの空想図鑑だろうと思っていたのだが、母親が文字の刻まれた石で空を切るだけで薪に火を起こし、料理をしている様子を見て本物だと確信した。

 なるほど…これは一時期アニメ・漫画界隈で流行っていた異世界転生というやつか…。自分も漫画は好きでよく読んでいたが、その手のジャンルは本屋で見かけても忌避していたような気がする。一度電子書籍で試し読みができたので味見をしてみたが、なんというか…ちょっと読むに堪えないというか…。

 さて、くだらない話は置いておこう。
 今は前世の事を思い出すよりもこの世界についての知識を集めることだ。
 しかし記憶を取り戻して2週間、この家の中で知識を揃えるのも限界が近いな。そろそろ親に外出許可をもらい、この村に資料館のような場所がないか探しに行こう。
 今はとにかく。知識が必要なんだ。







 転売ヤーを全滅させるために…。
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