3 / 140
プロローグ
03
しおりを挟む
その日からぼくの生活は変わった。
慣れない家事を一手に引き受けることになった。
家事なんて簡単。
最初はそう思っていた。
料理は少しやっかいだと思っていたが、それ以外はそんなことないと思っていた。
しかし、簡単だと思っていたごみ捨てをするにしても、家のどこにゴミ箱があるかなんて把握していない。
どうしても、ひとつかふたつは抜けることになる。
洗濯も洗濯機を回すのはいい。
そのあとの干す作業がうまくいかない。
どこにどう干していいのかわからない。
食事は壊滅的。
レシピどおりに作るのだが、何かを買い忘れる。
それで、似たようなもので代用するのだが、それがいけないらしい。
それに、見た目が最悪。
それに材料費が高いと文句を言われる始末。
なんでも、ちゃんと広告や店先をチェックして、安いもので食事をつくらないといけないらしい。
とにかく、ぼくは家族からケチをつけられることがあっても、感謝されることはなかった。
しかし、ひとり、いや一匹だけ感謝してくれるものがいた。
それは飼い猫のコヨミ。
雑種の茶トラ猫だ。
定年までは決してぼくになつくことはなかった。
むしろ、ぼくを避けていた。
ぼくも生き物は嫌いじゃない。
だから、猫の頭を撫でようと手を伸ばしたこともある。
しかし、全力で阻止されていた。
犬ならそんなことないだろう。
だから、ぼくは猫が苦手だった。
といってもぼくの視界にはいることはほとんどなかった。
お互いにいないものとして生活していたのだ。
ところが、コヨミのトイレ掃除や餌やりがぼくの仕事になったのだ。
コヨミはだんだん距離をつめてきてくれた。
ぼくのいる部屋にも入ってくるようになり、ソファのとなりで座るようになった。
そのうち、餌をあげるのがぼくという事がわかったみたいで、餌の時間になるとぼくも脚に身体をこすりつけるようになった。
こはん、ごはんだよっていうようにリズミカルにニャーニャー鳴きながら。
娘や妻と違って、コヨミは感謝してくれているんだ。
まだ、頭しか撫でさせてくれないので、下僕としてだけどね。
とにかく、ぼくは猫に癒されるようになった。
コヨミは、家事をしているぼくの傍で過ごしてくれるようになった。
ぼくは、コヨミに話しかけながら家事をすることとなった。
コヨミはいい聞き役だった。
っていっても肯定も否定もしない。
ただ、聞いてくれているだけだ。
それでも、なんか癒されてしまう。
コヨミの顔を見ていると、全部わかっているようにみえる。
それでいいんだよって言ってくれているような。
ぼくはコヨミのおかげで、新しい生活に慣れていったんだ。
慣れない家事を一手に引き受けることになった。
家事なんて簡単。
最初はそう思っていた。
料理は少しやっかいだと思っていたが、それ以外はそんなことないと思っていた。
しかし、簡単だと思っていたごみ捨てをするにしても、家のどこにゴミ箱があるかなんて把握していない。
どうしても、ひとつかふたつは抜けることになる。
洗濯も洗濯機を回すのはいい。
そのあとの干す作業がうまくいかない。
どこにどう干していいのかわからない。
食事は壊滅的。
レシピどおりに作るのだが、何かを買い忘れる。
それで、似たようなもので代用するのだが、それがいけないらしい。
それに、見た目が最悪。
それに材料費が高いと文句を言われる始末。
なんでも、ちゃんと広告や店先をチェックして、安いもので食事をつくらないといけないらしい。
とにかく、ぼくは家族からケチをつけられることがあっても、感謝されることはなかった。
しかし、ひとり、いや一匹だけ感謝してくれるものがいた。
それは飼い猫のコヨミ。
雑種の茶トラ猫だ。
定年までは決してぼくになつくことはなかった。
むしろ、ぼくを避けていた。
ぼくも生き物は嫌いじゃない。
だから、猫の頭を撫でようと手を伸ばしたこともある。
しかし、全力で阻止されていた。
犬ならそんなことないだろう。
だから、ぼくは猫が苦手だった。
といってもぼくの視界にはいることはほとんどなかった。
お互いにいないものとして生活していたのだ。
ところが、コヨミのトイレ掃除や餌やりがぼくの仕事になったのだ。
コヨミはだんだん距離をつめてきてくれた。
ぼくのいる部屋にも入ってくるようになり、ソファのとなりで座るようになった。
そのうち、餌をあげるのがぼくという事がわかったみたいで、餌の時間になるとぼくも脚に身体をこすりつけるようになった。
こはん、ごはんだよっていうようにリズミカルにニャーニャー鳴きながら。
娘や妻と違って、コヨミは感謝してくれているんだ。
まだ、頭しか撫でさせてくれないので、下僕としてだけどね。
とにかく、ぼくは猫に癒されるようになった。
コヨミは、家事をしているぼくの傍で過ごしてくれるようになった。
ぼくは、コヨミに話しかけながら家事をすることとなった。
コヨミはいい聞き役だった。
っていっても肯定も否定もしない。
ただ、聞いてくれているだけだ。
それでも、なんか癒されてしまう。
コヨミの顔を見ていると、全部わかっているようにみえる。
それでいいんだよって言ってくれているような。
ぼくはコヨミのおかげで、新しい生活に慣れていったんだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる