王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第4章 ミシディア共和国

比留間明夫33

　目の前には100隻を超える船団が迫っている。
　見渡す限り黒い船が並んでいる。
　まるで島だな。
　海軍を逃がしておいてよかった。
　こんなのとまともに戦ったら、押しつぶされるだけだからね。

　ぼくは海軍基地の中にある塔の中にいた。
　そこから双眼鏡で戦況をみている。
　あの大砲の射程距離では、ここまでは届かないのだ。
　もちろんキャットGPTさんの計算だ。

　とにかく、海軍施設とその周辺は避難してある。
　そして、海軍は逃がしてある。
　ニャール王国の海軍は中小型船が多いからな。
　わからないうちに逃がすのは簡単だった。
　でも、弱い海軍じゃない。
　その操船技術でスピードとテクニックで相手を翻弄する。
　そして、船を横づけして乗り込んで奪う。
　まさに海賊のやり方だ。
　もともとニャール水軍は海賊の寄せ集めだからね。
　国の後ろ盾をもって海賊できるってことで集まったらしい。

　だから、あとで十分に暴れさせるつもりだ。
　海軍の将軍も意気込んでたからね。
　
　さて、戦況は作戦通りにいってる。
　あの巨大戦艦を中心にぞくぞくと港に向かっている。
　もう少しひきつけないとね。
　ミシディア軍の大砲が次々と火を吹く。
　海軍基地の壁がどんどん破壊されていく。
　基地の中の建物も崩されている。
　なかなかの威力だ。
　でも、コヨミの作ってくれた大砲ほどではない。
　射程距離も半分くらいかな。
　キャットGTPで作った大砲なら、こんなに落ち着いていられない。
　
「そろそろ配置につきます」
　マルス将軍が立ち上がる。
　
「はい、お願いします。
　とにかくスピード感をもってやりましょう。
　長引けば犠牲が大きくなります」
　そう、できるかぎり少ない犠牲で戦争を終わらせたい。
　ニャール王国は領地も賠償金も必要ないのだから。
　戦争を終わらせて、話し合いと協力で運営される世界を望むだけだ。

「わかりました。
　それでは作戦どおりに。
　王の指令をお待ちしています」
　
「作戦実行のときはこれで連絡します」
　ぼくはトランシーバーみたいなのを手にする。
　これも最高の武器だ。
　この時代、伝令とか狼煙によって命令をするのだ。
　それから考えると意思統一できるのは、すごいアドバンテージだ。

　マルス将軍はそのまま指令室を出ていくのだった。