王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第4章 ミシディア共和国

ミシディア共和国海軍副司令官ヒルヴァ02

　１０隻程度で我が艦隊に喧嘩を売るわけはない。
　ただの偵察だろう。
　しかし、油断をしてはいけない。
　ここを攻められたら戦略上まずいのだ。
　潰しておこう。
　これが軍の人間のやりかただ。
　技術屋ふぜいにはたぶんわからないだろう。

「砲撃準備、目標、ニャール王国の偵察船」
　わたしは、部下に命じる。
　部下たちは動き始める。

　偵察船など大砲で簡単に破壊できるだろう。
　砲撃の準備が終わるとわたしは砲撃の指示をする。

「砲撃開始！」
　わたしの合図で5門の砲が火を吹く。
　わたしは双眼鏡で目標を確認する。
　相手の船が吹っ飛んで沈んでいくのは気持ちがいい。
　
　しかし、砲弾は目標を捕らえられない。
　なんだあの動きは……
　水柱が上がるだけで、砲撃を回避している。
　あの船は帆船でもない。
　まるで、魚のように自分の力で動いているのだ。
　もしかして、魔導船なのか。
　ミシディアは巨大戦艦に魔導技術を使ったが。
　ニャール王国はあのような小型船にその技術を使っているというのか。
　
　砲撃は当たらない。
　しかたない。やつらを追いかけて潰すしかない。
　我々は船主を偵察船に向ける。
　そのとたん、大きな衝撃が起こる。
　どういうことだ。
　やつらは砲弾を撃ったのではない。

　また衝撃が起こる。
　どういうことだ。

「副司令官、船底の方が破壊されています。
　船に海水が流れ込んでいます」
　船に水が入ってきているだと、そんなことになったら沈没するではないか。
　
「止めろ。すぐに海水の侵入を防げ」

「無理です。
　船底に穴が開いています。
　水の勢いが強すぎてふさぐことはできません」
　
　船が傾いていくのがわかる。
　船尾からどんどん下がっていく。
　どういうことだ。砲弾は飛んでこなかったはず。
　ありえないが、水中から攻撃されたとしか思えない。
　そんなばかなことがあるか。
　わたしは傾きに耐えきれず、近くの手すりを掴んで耐えるのだった。