王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第5章 ガルバン帝国

ニャール国副将軍ダオウルフ三世01

　ついにガルバン帝国が攻めてくるらしい。
　望むところだ。
　今度こそ、キャルロッテ王に恩を返すときだ。
　ミシディアと戦いでは十分に暴れられなかったからな。
　
　キャルロッテ王はわたしの、いやギオルグ族の恩人だ。
　ビリジアンテ連邦に虐げられてきたわが部族を解放してくれたのだ。
　わが部族だけではない。
　同じように農奴として扱われてきた少数民族を解放してくれたのだ。
　それでサタール地域とウラール地域は独立を果たした。
　わがギオルグも独立するように王に言われたが、わたしはそれを拒否した。
　ギオルグはニャール王国の一軍となることを選んだのだ。
　それは、わたしがキャルロッテ王にほれ込んだからだ。

　見た目は弱弱しいさえない老人だ。
　だが、その考えの深さにわたしは感服した。
　この人物が世界を統一したら、世界は変わる。
　平和な世界が訪れると確信したのだ。
　先代のベルナール王ではこんなふうに考えなかっただろう。
　しかし、キャルロッテ王は違う。
　すべてを見透かしたように行動する。
　抱いている猫に語りかけるようにして、自分の考えを告げる。
　この人物に命を捧げようと思った。

　しかし、まだわたしが全力で暴れる場は与えられていない。
　先日、キャルロッテ王より武器と防具を賜った。
　今回の戦争ではわたしを親衛隊として使ってもらえるとのことだ。
　王の直属の軍隊という役目だ。
　王を守り、王の命があれば敵を攻める。
　王の一番の信頼を受ける重要な部署だ。
　役職も副将軍に任命された。
　一命を投げうってでもこの重職を務めて見せる。
　
　そのために武器も与えられた。
　この武器は新素材を使っている。
　偃月刀はオリハルコンという鉱石を使っている。
　鉄でも切り裂くことができる。
　盾はアダマンタイト製だ、どんな剣でもこの盾を貫くことはできないだろう。
　それでは、この偃月刀と盾が戦ったら？だって？
　そんなもの決まっている。
　どっちも最強なのだ。
　なんせキャルロッテ王に与えられたものなのだからな。
　これで、王の前の敵を全滅させてやる。

　しかし、今回、ガルバン帝国に魔族がつくと言う。
　魔族というのはやっかいなやつらだ。
　集団行動は苦手だが、ひとりひとりが一芸を持っている。
　戦闘が得意なもの、魔法が得意なもの。
　それぞれがその中で一番なのだ。
　だが、キャルロッテ王とわたしがいる限り大丈夫だ。
　魔族なんて簡単に退けてやる。
　わたしは最強の武器に誓うのだった。