王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第5章 ガルバン帝国

ガルバン帝国 ベリアード大帝08

　我々はニャールとの国境に軍を進める。
　これまでは順調だ。
　それも不思議なくらいに。
　普通、ここまでに邪魔をしてくるはず。
　確かに橋を壊したりしてあるところはある。
　しかし、攻めてくることはないのだ。
　わたしなら、ここまで正面からくると、国境につくまでに勝負を賭ける。
　国境まで軍を進められると踏みつぶされるだけだ。
　それよりも、街道には狭いところもある。
　そこに伏兵をひそめて、勝てないまでも数を減らす。
　それが、この戦争の対処法だ。
　そんなことをしても無駄なんだがな。
　今回は数の勝負だ。
　相手はこっちの20分の1以下の戦力。

　といってもビリジアンテやミシディアが傘下に入っている。
　そこから軍を出されると、こっちの数を超える。
　しかし、その動きはないようだ。
　もちろん、両国にも牽制をしている。
　わたしの名前で書簡を送ったのだ。
　もし、今回の戦争に一兵でも派兵したら、敵とみなす。
　そういう内容だ。
　スパイからの報告ではいまのところ両国に動きはない。

　本当にバカなやつらだ。
　帝国を潰す最後のチャンスなのにな。
　わたしなら3国の全力で帝国を潰す。
　それしか、この戦争に勝利する方法はないからだ。
　ニャール王国ごときに負けた二国。
　個別に戦うなら、脅威ではない。
　
　もうすぐ国境だな。
　全軍そろったところで、一気に型をつけてやる。
　ただ、勝つだけではだめだ。
　徹底的に叩きのめす。
　それで、この大陸の覇王が誰か見せつけてやる。
　帝国に逆らうことが出来なくなるくらいにな。

　ニャール王国はこれまでもからめ手を使ってくる国だった。
　物資も兵力にも劣る国が生き延びるにはそれしかなかったのだろう。
　ビリジアンテもミシディアも完敗というわけではない。
　あくまで奇策に負けたのだ。
　一度引き上げて立て直せばなんとかなったはずだ。
　結局、キャルロッテというのはペテン師なのだ。
　それを打ち破るには、王者の戦いしかない。
　真正面から踏みつぶすのだ。
　緒戦で大敗すると、やつらは交渉に持ち込もうとする。
　その時、さらに軍を進めて、相手の心を折る。
　ニャール王国というのは不気味な国だからな。
　独特の文化を有し、独自の言語を話す。
　兵士も粘り強く、独自の剣技を使う。
　そんな国に勝つためにはこれしかないのだ。
　わたしは全軍で攻める準備をするよう将軍たちに指示をするのだった。