隣の先生

原田うらん

文字の大きさ
上 下
33 / 41

『ああ、先生の匂いだ』

しおりを挟む
「私、先生の匂い好きよ」

「どうした急に」

「急じゃないわ。いつもここに来ると思うの、『ああ、先生の匂いだ』って。安心するの」

「そりゃどうも」

「もうこのままここに住みたいくらい」

「帰れ」

「久しぶりにその台詞を聞いたわ」

「最近甘やかしてたからな」

「強気に言うけれど強制的に追い出さない甘さ、好きよ」

「お前どうしたんだ。熱でもあるんじゃないのか」

「……バレたか」

「帰れよ!」
しおりを挟む

処理中です...