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第2話 サドで自信家で我儘なオレ様のイヌになりました
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そうよね、そうよね。可愛いもんね、とニヤニヤしながら中身を確認する。
「猫は可愛いけど、文書の中身はお粗末で食えない」
──うわ、そう来たか。
「猫の写真はWordに貼るな。俺個人宛に元画像を送れ。文書の方はプリントして赤入れしたものをスキャンして添付したから、それをよく確認しながら修正してグループ宛にあと30分以内に送信しろ。分かったな?」
あと30分?それにこの口調。
小川くんはオレ様だ。我儘でサドでオレ様な議長なんだ。
わたしはヒーンと泣きながら必死で文書を修正し、前書きも入れてグループ宛に何とか日付が変わる前に送信した。そしたら小川くんから一言メッセージがあった。
「まぁまぁ美味しくいただきました」
あれ、23時に寝るって言ってたのに。
もしかして起きて待っててくれたのかな。
翌日、勇気を出してお礼を言いに行く。
だけど、
「いいよ、別に。時間守ったし」
サラッとクールに返される。
——ちぇ、一言だけかぁ。
ちょっとガッカリしながら席に戻ろうとしたら、小川くんが続けた。
「ああ、あの文書だけどさ、口語調になってた所、全部打ち直しといたから。誤字脱字もまだ残ってた。次からもっと気をつけて作成して」
「へ?あ、はい。ごめんなさい」
差し出された文書を見たら、タイトルから書式からフォントから、美しく体裁を整えられた立派な別嬪文書になっていた。
何、これ。昨日わたしが作った文書とはまるで別人じゃん。
「じゃあそれ、印刷室で700部刷って各クラスで生徒全員に分けられるようにクラスの人数ごとに仕分けといて」
「な、700?それに仕分けって?」
「1は40404042。2は38414041。3は3940384041」
わたしは目をパチクリさせた。
「それ、なんの暗証番号?鍵?それとも金庫?」
「はぁ?金庫の番号なんかまだ教えられるワケないだろ。各学年とクラスの人数だよ。委員会入っときながら、そんなのも覚えてないのか」
「ごめんなさい!」
「もういいから印刷室までダッシュして700部先に刷っておけ。すぐに追いかけるから」
「はい!」
ドアを指さされてわたしは一目散に部屋を飛び出した。それから気付く。
印刷室ってどこ?
立ち止まったわたしの後ろでドアが開き、ゴンと後頭部を打たれる。
「あ、悪い。つか、まだそこにいたのか。ノロノロしてたら授業に遅刻するぞ」
「あ、あの。印刷室がわからなくて」
ジロリとまた睨まれる。
「職員室の隣。教頭室の反対側。早く行け!」
「はいぃ」
「あ、くれぐれも向きとか印刷ミスるなよ?予算削られるからな。会計のクセにって皆に恨まれるぞ」
「ひぃぃ!」
「あと30分だ。走れ!」
「はいぃ!」
懸命に走ったけど、印刷室に着いたら、何故かもう小川くんがいて、印刷機に向かってる。え、何で?わたし、階段駆け上ったのに。もしや、彼は忍者?
——ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。
印刷機の設定ボタンを操作して振り返った小川くんが手を差し出す。
「ほら、早くそれ寄越せよ」
言われて握ってた書類を渡す。
「お前、これ握りしめてたな。紙がよれてるじゃないか」
そんなこと言われても。
——ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン。
印刷機が紙を吐き出す音。みーやなら、あっという間に逃げ出しそうな物凄く大きな音なんだけど、小川くんは平気で横にいて、吐き出される紙を一枚手に取ってチェックしてる。部屋の中は印刷機の出す熱で暑い。生徒会室からダッシュしてきたわたしは汗びっしょり。ポケットに入れてたミニタオルで汗を拭い、ホッと息をつく。小川くんはと見れば、彼も汗だくだった。タオルは教室に置いてきちゃったのかな。貸してあげようか。でも使っちゃった。反対側のポケットを探ったら予備のハンカチが入ってた。
「あの。これ、洗濯してあるから、良かったら使って」
小川くんは驚いた顔でわたしを見た後に首を横に振った。
「汚れるからいい」
「大丈夫だよ。ほら、せっかく刷った書類が濡れちゃうから」
そう言ったら、小川くんは少しムウとした顔をした後に渋々受け取った。
「ありがとう」
「どういたしまして」
笑って答えたら、小川くんがフンと向こうを向いた。その顔が少し赤い気がするのは、暑さのせいだろうか。それとも、もしかしてちよっと照れてる?
——ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン。
機械が紙を吐き出す音。規則的でなんだかウキウキしてくる。踊りたくなっちゃう。
小川くんをチラと見たら、彼もそうらしく、その指がコツコツとリズムを叩いてた。
「楽しいね」
話しかけたら小川くんがわたしを見た。
「森って下の名前なんていうの?」
「ミヤノ、だよ」
——ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン。
「え?ごめん、聞こえない」
「森、美也乃です!」
印刷機に負けないように大きな声を出したら、ああと言われた。
「それで、みーやなわけね」
「え?」
「どっかで見たことある猫だと思ったんだ」
「え?」
「これ、『焼肉みーや』ってタイトルがついてた投稿」
そんな言葉と共に見せられたスマホの画面には、みーやと並んで同じ姿勢でゴロンと昼寝してる、わたし。わたしの顔は一応加工されてパッと見はわからなくなってるけど、けど、けど。
智也のヤツ。いつの間にこんなものをアップしてたのか。いや、その前に撮ってたのか。気付かなかったわたしが悪いのか。
「いや、これはね。弟が勝手に」
虚しく言い訳しながら、画面の中の惨状に絶望する。
散らかった部屋。大量の猫グッズの中に本物の猫とわたし。同じ向きで同じダラけた格好でゴロンと手足を丸めて眠ってる。
──マヌケだ。
始まるかと思った恋が終わった音がした。ガックリ肩を落とす。
「猫は飼い主に似るって言うけどさ、森はイヌみたいだな」
「それ弟にも言われた」
ブスッと答える。
「ふぅん、いいんじゃん?素直で忠実で俺は犬も好きだけど?」
「え?」
好き?聞き間違えだろうか?
それより、頭は大丈夫?」
「え、頭?」
「さっき、ドアぶつけちゃったろ?ごめんな。急いでたもんで。腫れてない?」
頭の後ろに添えられる手の平。突然の接近にわたしの心臓が爆走する。
「だ、大丈夫だよ。わたし石頭だから」
そう言ったら、小川くんは笑った。
「あ、ごめん。触っちゃった。森って猫っ毛なんだな」
「あ、うん。ストパーかけたこともあるんだけど、クセがつきにくいみたいで、すぐ戻っちゃったの」
「ふぅん、そのままでいいんじゃん?やわらかくて猫っぽくて似合ってるよ」
「え、猫っぽい?」
「うん。森って性格はイヌなのに見た目は猫みたいで面白い」
面白いって、それは褒め言葉ではないでしょうけど。
でもわたしは小川くんに訊ねていた。
「イヌみたいな性格の猫を彼女にする気はありませんか?」
そしたら小川くんはニヤッと笑って答えた。
「丸いお腹を触らせてくれるなら考えてもいいかな」
「そ、それは、みーやの?それとも」
皆まで言えずに真っ赤になって俯いたわたしに小川くんはニヤリと笑って言った。
「さて、どっちにしようかな。美味しいなら両方とも綺麗に平らげる自信あるけど?」
ヒィィ。
後日、小川くんは貸したハンカチの代わりにと可愛くラッピングされた何かを渡してくれた。
「え、何?開けていいの?」
頷く小川くんの前で早速開けさせて貰う。中から出てきたのは柔らかい触り心地の可愛いミニタオル。
「わぁ、これシッポが付いてる」
「うん。猫タオル。同じの持ってるかもしれないけど」
「ううん、持ってない。ありがとう!すごく嬉しい。でもいいの?小川くんも猫好きなんでしょ?」
「さすがにそれは俺、使えないから」
「そぉ?そんなに目立たないよ、このシッポと耳」
そう言って、タオルの隅から顔を覗かせている黒いシッポと猫耳をツンツンする。
「いや。いい。代わりにこの猫貰ったから」
そう言って彼がズボンのポケットから取り出したのは先日彼に貸したハンカチ。確かにそのハンカチにも小さく黒猫の刺繍はしてあった。
「それに、その内、大きな猫と小さな猫を食べに行く予定だし」
え、えーと、それはどういう意味でしょうか?
仄かに笑う声が色っぽくてヤバイんですけど。
「あ、頭から?尻尾から?」
ドキドキしながら聞いたら、彼は首を傾げて頬杖をついた。右手の指で眼鏡のフレームを軽く左右に揺らす。
「どっちから食われたい?」
眼鏡の奥から切れ長の目がわたしを射抜く。
どうしよう?
鬼アクマでサドで我儘で自信家のオレ様に何て答えたらいい?
スマホの画面は真っ暗。みーやは応えてくれない。
うーん、うーん。悩んだ後にわたしは答えた。
「多数決で決めましょうか」
直後、
「却下」と落とされた。
そして続くアクマの魅惑的な低い笑い声。
すっかり魔に魅入られてしまったネコのみやに天使さまは救いの手を差し延べて下さるのでしょうか?
※※※
思いつきで一気に書いてしまったラブコメもどきです。読んで下さった方にお礼申し上げます。
「猫は可愛いけど、文書の中身はお粗末で食えない」
──うわ、そう来たか。
「猫の写真はWordに貼るな。俺個人宛に元画像を送れ。文書の方はプリントして赤入れしたものをスキャンして添付したから、それをよく確認しながら修正してグループ宛にあと30分以内に送信しろ。分かったな?」
あと30分?それにこの口調。
小川くんはオレ様だ。我儘でサドでオレ様な議長なんだ。
わたしはヒーンと泣きながら必死で文書を修正し、前書きも入れてグループ宛に何とか日付が変わる前に送信した。そしたら小川くんから一言メッセージがあった。
「まぁまぁ美味しくいただきました」
あれ、23時に寝るって言ってたのに。
もしかして起きて待っててくれたのかな。
翌日、勇気を出してお礼を言いに行く。
だけど、
「いいよ、別に。時間守ったし」
サラッとクールに返される。
——ちぇ、一言だけかぁ。
ちょっとガッカリしながら席に戻ろうとしたら、小川くんが続けた。
「ああ、あの文書だけどさ、口語調になってた所、全部打ち直しといたから。誤字脱字もまだ残ってた。次からもっと気をつけて作成して」
「へ?あ、はい。ごめんなさい」
差し出された文書を見たら、タイトルから書式からフォントから、美しく体裁を整えられた立派な別嬪文書になっていた。
何、これ。昨日わたしが作った文書とはまるで別人じゃん。
「じゃあそれ、印刷室で700部刷って各クラスで生徒全員に分けられるようにクラスの人数ごとに仕分けといて」
「な、700?それに仕分けって?」
「1は40404042。2は38414041。3は3940384041」
わたしは目をパチクリさせた。
「それ、なんの暗証番号?鍵?それとも金庫?」
「はぁ?金庫の番号なんかまだ教えられるワケないだろ。各学年とクラスの人数だよ。委員会入っときながら、そんなのも覚えてないのか」
「ごめんなさい!」
「もういいから印刷室までダッシュして700部先に刷っておけ。すぐに追いかけるから」
「はい!」
ドアを指さされてわたしは一目散に部屋を飛び出した。それから気付く。
印刷室ってどこ?
立ち止まったわたしの後ろでドアが開き、ゴンと後頭部を打たれる。
「あ、悪い。つか、まだそこにいたのか。ノロノロしてたら授業に遅刻するぞ」
「あ、あの。印刷室がわからなくて」
ジロリとまた睨まれる。
「職員室の隣。教頭室の反対側。早く行け!」
「はいぃ」
「あ、くれぐれも向きとか印刷ミスるなよ?予算削られるからな。会計のクセにって皆に恨まれるぞ」
「ひぃぃ!」
「あと30分だ。走れ!」
「はいぃ!」
懸命に走ったけど、印刷室に着いたら、何故かもう小川くんがいて、印刷機に向かってる。え、何で?わたし、階段駆け上ったのに。もしや、彼は忍者?
——ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。
印刷機の設定ボタンを操作して振り返った小川くんが手を差し出す。
「ほら、早くそれ寄越せよ」
言われて握ってた書類を渡す。
「お前、これ握りしめてたな。紙がよれてるじゃないか」
そんなこと言われても。
——ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン。
印刷機が紙を吐き出す音。みーやなら、あっという間に逃げ出しそうな物凄く大きな音なんだけど、小川くんは平気で横にいて、吐き出される紙を一枚手に取ってチェックしてる。部屋の中は印刷機の出す熱で暑い。生徒会室からダッシュしてきたわたしは汗びっしょり。ポケットに入れてたミニタオルで汗を拭い、ホッと息をつく。小川くんはと見れば、彼も汗だくだった。タオルは教室に置いてきちゃったのかな。貸してあげようか。でも使っちゃった。反対側のポケットを探ったら予備のハンカチが入ってた。
「あの。これ、洗濯してあるから、良かったら使って」
小川くんは驚いた顔でわたしを見た後に首を横に振った。
「汚れるからいい」
「大丈夫だよ。ほら、せっかく刷った書類が濡れちゃうから」
そう言ったら、小川くんは少しムウとした顔をした後に渋々受け取った。
「ありがとう」
「どういたしまして」
笑って答えたら、小川くんがフンと向こうを向いた。その顔が少し赤い気がするのは、暑さのせいだろうか。それとも、もしかしてちよっと照れてる?
——ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン。
機械が紙を吐き出す音。規則的でなんだかウキウキしてくる。踊りたくなっちゃう。
小川くんをチラと見たら、彼もそうらしく、その指がコツコツとリズムを叩いてた。
「楽しいね」
話しかけたら小川くんがわたしを見た。
「森って下の名前なんていうの?」
「ミヤノ、だよ」
——ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン。
「え?ごめん、聞こえない」
「森、美也乃です!」
印刷機に負けないように大きな声を出したら、ああと言われた。
「それで、みーやなわけね」
「え?」
「どっかで見たことある猫だと思ったんだ」
「え?」
「これ、『焼肉みーや』ってタイトルがついてた投稿」
そんな言葉と共に見せられたスマホの画面には、みーやと並んで同じ姿勢でゴロンと昼寝してる、わたし。わたしの顔は一応加工されてパッと見はわからなくなってるけど、けど、けど。
智也のヤツ。いつの間にこんなものをアップしてたのか。いや、その前に撮ってたのか。気付かなかったわたしが悪いのか。
「いや、これはね。弟が勝手に」
虚しく言い訳しながら、画面の中の惨状に絶望する。
散らかった部屋。大量の猫グッズの中に本物の猫とわたし。同じ向きで同じダラけた格好でゴロンと手足を丸めて眠ってる。
──マヌケだ。
始まるかと思った恋が終わった音がした。ガックリ肩を落とす。
「猫は飼い主に似るって言うけどさ、森はイヌみたいだな」
「それ弟にも言われた」
ブスッと答える。
「ふぅん、いいんじゃん?素直で忠実で俺は犬も好きだけど?」
「え?」
好き?聞き間違えだろうか?
それより、頭は大丈夫?」
「え、頭?」
「さっき、ドアぶつけちゃったろ?ごめんな。急いでたもんで。腫れてない?」
頭の後ろに添えられる手の平。突然の接近にわたしの心臓が爆走する。
「だ、大丈夫だよ。わたし石頭だから」
そう言ったら、小川くんは笑った。
「あ、ごめん。触っちゃった。森って猫っ毛なんだな」
「あ、うん。ストパーかけたこともあるんだけど、クセがつきにくいみたいで、すぐ戻っちゃったの」
「ふぅん、そのままでいいんじゃん?やわらかくて猫っぽくて似合ってるよ」
「え、猫っぽい?」
「うん。森って性格はイヌなのに見た目は猫みたいで面白い」
面白いって、それは褒め言葉ではないでしょうけど。
でもわたしは小川くんに訊ねていた。
「イヌみたいな性格の猫を彼女にする気はありませんか?」
そしたら小川くんはニヤッと笑って答えた。
「丸いお腹を触らせてくれるなら考えてもいいかな」
「そ、それは、みーやの?それとも」
皆まで言えずに真っ赤になって俯いたわたしに小川くんはニヤリと笑って言った。
「さて、どっちにしようかな。美味しいなら両方とも綺麗に平らげる自信あるけど?」
ヒィィ。
後日、小川くんは貸したハンカチの代わりにと可愛くラッピングされた何かを渡してくれた。
「え、何?開けていいの?」
頷く小川くんの前で早速開けさせて貰う。中から出てきたのは柔らかい触り心地の可愛いミニタオル。
「わぁ、これシッポが付いてる」
「うん。猫タオル。同じの持ってるかもしれないけど」
「ううん、持ってない。ありがとう!すごく嬉しい。でもいいの?小川くんも猫好きなんでしょ?」
「さすがにそれは俺、使えないから」
「そぉ?そんなに目立たないよ、このシッポと耳」
そう言って、タオルの隅から顔を覗かせている黒いシッポと猫耳をツンツンする。
「いや。いい。代わりにこの猫貰ったから」
そう言って彼がズボンのポケットから取り出したのは先日彼に貸したハンカチ。確かにそのハンカチにも小さく黒猫の刺繍はしてあった。
「それに、その内、大きな猫と小さな猫を食べに行く予定だし」
え、えーと、それはどういう意味でしょうか?
仄かに笑う声が色っぽくてヤバイんですけど。
「あ、頭から?尻尾から?」
ドキドキしながら聞いたら、彼は首を傾げて頬杖をついた。右手の指で眼鏡のフレームを軽く左右に揺らす。
「どっちから食われたい?」
眼鏡の奥から切れ長の目がわたしを射抜く。
どうしよう?
鬼アクマでサドで我儘で自信家のオレ様に何て答えたらいい?
スマホの画面は真っ暗。みーやは応えてくれない。
うーん、うーん。悩んだ後にわたしは答えた。
「多数決で決めましょうか」
直後、
「却下」と落とされた。
そして続くアクマの魅惑的な低い笑い声。
すっかり魔に魅入られてしまったネコのみやに天使さまは救いの手を差し延べて下さるのでしょうか?
※※※
思いつきで一気に書いてしまったラブコメもどきです。読んで下さった方にお礼申し上げます。
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