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第3話 サドのオレ様にキスされました?
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「おい、森みや。これ」
呼ばれて、パッと立ち上がり、ワフワフと駆けていく。
「はい、何でしょう?」
「何だ、この文書は」
ぺらりと出される一枚の紙。朝、小川くんに渡したものだ。
「はい。指示通り、皆が理解しやすくて親しみやすいようにと心がけました!」
「それで四コマにしたと?」
「はい!」
元気よく返事する。褒めて褒めて、と目には見えないシッポを振るわたし。森美也乃。でもクラスメイトで議長の小川くんには森みやと呼ばれている。
「ええ。頑張りました。文章だけだと読んでくれなくても、漫画なら読んでくれる人もあるかなって」
つい先週、小川くんに彼女申請をしたばかり。ちゃんとした返事は貰ってないけど、それから森みやって呼ばれるようになって、話しかけられることも増えたから、少しは近付いたのかなと勝手に思ってる。
小川くんはペラペラと何枚かめくった後に、その紙でわたしの頭をパコンとはたき、「却下」と一言で断罪した。
「えぇっ?どうしてですか?」
「紙の無駄だ。簡潔にわかりやすくと言った筈だが、何故4枚ものボリュームになってる。全校生徒と先生方に配るんだぞ。お前、会計のクセに経費削減って言葉を知らんのか」
「あ。じゃあ、両面コピーにするとか」
「トナーの無駄」
「じ、じゃあ、縮小コピーして、4分の1サイズで載っけるとか」
そう言ったら、頭をワシワシとされた。
「そこまでして載っけたいか」
「ワン!」
だって、褒めて貰おうと思って徹夜で頑張ったんだもの。
でもそれを言ったらもっと怒られそうだから、黙ってじっと小川くんを見つめる。
すると小川くんはバツが悪そうな顔をした。
「わかった。意欲だけは買ってやる。ただし、四つは載せられない。内容をもっと精査して、この罰則事項と超過料金についての2本の四コマにしてこい」
「はい」
「あと、キャラは猫にしろ」
「え、はい?」
「聞こえなかったのか?猫で描け!でなけりゃ全部ボツにするぞ!」
「はいぃ!」
わたしは席へ駆け出戻って紙に向かう。
えーと、罰則事項と何だっけ?ああ、超過料金について。
「森ちゃんたら、こき使われてるねぇ」
隣の席の矢部ちゃんが机を覗き込んでくる。
「わ、森ちゃんたら上手。漫画家みたい」
矢部ちゃんの大きな声に皆が振り返るのが恥ずかしくなって、わたしは慌てて机に覆い被さった。
「まだ見ちゃダメ。途中だし下手だから」
「そんなことないよ、すごい可愛い。この子なんか、森ちゃんそっくり。で、これは、アレ?」
「え?」
アレと言って矢部ちゃんがそっと後ろを振り向く。その視線の先には小川くん。
そのコマでは、キャラが「○○すると罰として総合得点から減点するので、厳重に注意するように」と喋っている。そのキャラの目つきは三白眼。なるべく可愛らしくと思ったんだけど、言われてみると確かに小川くんに似てる。
プププと笑ったわたしの横に誰かが立った。あ、と思う間もなく、わしわしと頭を撫でくり回される。
「アレって誰のことだ?」
ヒィィ。
「お、小川くんのことではありません!」
「じゃあ、誰だ?」
「え、それはその。一番偉い人です」
「へぇ。で、それは誰?」
「お」
でも言えるワケない。
ううぅ、
「お、鬼アクマ!」
つい叫んでしまったわたしの前で小川くんの目がキランと光る。
「へぇ、鬼アクマねぇ。じゃあ、それ会長に言っとくわ」
「いえっ、とんでもない。会長様はこちらです!」
一番下のコマで、「皆さん、しっかりルールを守りましょうね」とニッコリ微笑んでるシャム猫を指差す。
うちの生徒会長は美人さん。将来は大学のミスコンに選ばれるだろうっていうくらいの才媛。
「まさかそんな、会長様をアレ呼ばわりなんて、とてもとても」
「じゃあ、この目つきの悪い黒猫は誰だ?」
言葉と同時に首根っこをつままれる。
思わず「ニャア!」と鳴いてしまったわたしに、矢部ちゃんは爆笑し、小川くんは氷のような冷たい目を浴びせた。
「変な声出すな!」
「ご、ごめんなさい」
「それより描き終わったのか?」
「え、あ、もう少し」
さっさと取り上げようとする小川くんの手から紙を守ろうと前屈みになったら、その手の甲にぶつかってしまった。わたしの小さなバストが。慌てて飛びずさって紙を差し出す。
「あ、はい。完成です。これで!」
気付かれちゃったかな?いや、気付かなかったみたい。どうせわたしの胸は小さいし分からなかっただろう。小川くんは2本の四コマを無言で眺めた後に、
「ここ、漢字間違えてる」と言って突き返してきた。
粘着テープが、念着テープになってる。お前は超能力者か」
「あ、ホントだ」
「それに不要な書類は破棄の前に裏紙として再利用の所が不用になってる。それと破棄の破れるの石が手偏になってる。いらん書類を披露するつもりか」
「あ、はい。でも不要と不用ってなんか違うんですか?」
尋ねたわたしの頭をわしゃわしゃと掻き回し、小川くんはビシッと言った。
「いいからとっとと直して、また印刷してこい!」
はいっと返事をして駆け出したわたしに、小川くんは追加の一言。
「不用と不要の違い、後できちんと調べて報告しろ」
「はいっ!」
ふえーん、やっぱり小川くんはオレ様です。
何とか1枚に収めた書類を試し刷りし終えた小川くんが言った。
「うん、見やすくなった。これなら伝わるだろう」
それって褒めてくれてるんですか?
パタパタと尻尾を振ってドキドキと小川くんを見つめるわたしの頭の上にポンと手を置いて小川くんは言った。
「次は当日のタイムテーブルを作れ」
「へ?」
「一般の生徒と各委員、全て別のタイムスケジュールになってる」
「ほえ?」
「生徒会、会場係、模擬係、舞台係、それから統括係に会計係。これらの係別のタイムテーブルを各委一枚で作れ」
ヒーン。終わったと思ったら次が来た。サドだ。
「え、と生徒会に会場係、あと何でしたっけ?」
「せ、か、も、ぶ、と、か」
「はい?」
「生徒会、会場係、模擬係、舞台係、統括係、会計係の六つの頭文字だ。簡単な記憶術だよ。もう覚えたな?」
「はい!背がノブとか。あれ、セカンドもむとか?」
「セカンドの何を揉むつもりだ?」
「え、肩?」
反射的に答えたら、ブッと小川くんが噴き出した。
わぁ。笑顔が見られた。ひそかに喜ぶわたしの前で小川くんは顔をクールモードに戻した。
「肩なんか揉んでどうすんだよ」
「いや、お疲れなのかな、と」
わしゃわしゃと髪が捏ねくられる。
「この頭、大分お疲れのようだな。全く働いてないだろ?」
あったかい大きな手はそのまま、みやの頰を摘んだ。ムニムニと揺らされる。
目の前に迫る細いフレームの眼鏡にドキドキする。
──近い。近過ぎます。
「は、はい。昨日は四コマ描いててつい寝そびれて」
敬礼したい気持ちでそう答える。
「だろうな。大きなクマ飼ってるぞ」
「え、熊?」
「目の下、クマが出来てる」
「えっ?」
クマって動物じゃなくて目のクマ?
やだ、わたしったらそんな顔小川くんに見せてたんだ。
逃げたいけれど小川くんの手はわたしの頰を挟んだまま。逃げるに逃げられない。目の前でその口が動いた。
「寝不足してると胸が育たないぞ」
「へ?」
「別にペタでもいいけど」
「え?」
小川くんの目が妖しく光った、ように感じる。
俺にとっては腹がメインで、そっちはセカンドだから」
「へ?」
胸って、ペタって、やっぱりさっきぶつかっちゃったのバレてた、んだ。
ヒイイ。
おまけにメインとかセカンドとか、なんかメニューみたい。
綺麗に平らげると言った彼の言葉が頭の中をリフレインする。
──どうしよう?頭は爆発寸前。でも、小川くんの手は離れない。
「お前のほっぺた柔らかいな」
ムニムニと潰され、伸ばされる頰。
「頭は猫っ毛だし、触り心地がいい。お前、いいもん持ってるじゃん」
「あ、ありがとう」
わ、嬉しい。褒められた。
と思った瞬間に、ちゅっと唇が鳴った。
——え?
目の前に迫っていた眼鏡のフレームが一瞬見えなくなった後にまた見えて、遠ざかっていく。
──あれ?あれ?今のもしかして。
浸る間もなく、小川くんは指を突きつけて言った。
「じゃあ、セカモブトカの六つのタイムテーブル、今日の22時までな。イラストや写真はいらんから、漢字よく見直せよ」
既に小川くんは通常モード。
──あれ?気のせい?
ボーッとしてから、ふと気付く。
「22時?」
23時じゃないの?と思ったわたしの考えを見通したか、小川くんは薄く笑った。
「修正時間を見込んでんだよ。分かったな?」
ヒーン、やっぱり小川くんはサドのオレ様です。
呼ばれて、パッと立ち上がり、ワフワフと駆けていく。
「はい、何でしょう?」
「何だ、この文書は」
ぺらりと出される一枚の紙。朝、小川くんに渡したものだ。
「はい。指示通り、皆が理解しやすくて親しみやすいようにと心がけました!」
「それで四コマにしたと?」
「はい!」
元気よく返事する。褒めて褒めて、と目には見えないシッポを振るわたし。森美也乃。でもクラスメイトで議長の小川くんには森みやと呼ばれている。
「ええ。頑張りました。文章だけだと読んでくれなくても、漫画なら読んでくれる人もあるかなって」
つい先週、小川くんに彼女申請をしたばかり。ちゃんとした返事は貰ってないけど、それから森みやって呼ばれるようになって、話しかけられることも増えたから、少しは近付いたのかなと勝手に思ってる。
小川くんはペラペラと何枚かめくった後に、その紙でわたしの頭をパコンとはたき、「却下」と一言で断罪した。
「えぇっ?どうしてですか?」
「紙の無駄だ。簡潔にわかりやすくと言った筈だが、何故4枚ものボリュームになってる。全校生徒と先生方に配るんだぞ。お前、会計のクセに経費削減って言葉を知らんのか」
「あ。じゃあ、両面コピーにするとか」
「トナーの無駄」
「じ、じゃあ、縮小コピーして、4分の1サイズで載っけるとか」
そう言ったら、頭をワシワシとされた。
「そこまでして載っけたいか」
「ワン!」
だって、褒めて貰おうと思って徹夜で頑張ったんだもの。
でもそれを言ったらもっと怒られそうだから、黙ってじっと小川くんを見つめる。
すると小川くんはバツが悪そうな顔をした。
「わかった。意欲だけは買ってやる。ただし、四つは載せられない。内容をもっと精査して、この罰則事項と超過料金についての2本の四コマにしてこい」
「はい」
「あと、キャラは猫にしろ」
「え、はい?」
「聞こえなかったのか?猫で描け!でなけりゃ全部ボツにするぞ!」
「はいぃ!」
わたしは席へ駆け出戻って紙に向かう。
えーと、罰則事項と何だっけ?ああ、超過料金について。
「森ちゃんたら、こき使われてるねぇ」
隣の席の矢部ちゃんが机を覗き込んでくる。
「わ、森ちゃんたら上手。漫画家みたい」
矢部ちゃんの大きな声に皆が振り返るのが恥ずかしくなって、わたしは慌てて机に覆い被さった。
「まだ見ちゃダメ。途中だし下手だから」
「そんなことないよ、すごい可愛い。この子なんか、森ちゃんそっくり。で、これは、アレ?」
「え?」
アレと言って矢部ちゃんがそっと後ろを振り向く。その視線の先には小川くん。
そのコマでは、キャラが「○○すると罰として総合得点から減点するので、厳重に注意するように」と喋っている。そのキャラの目つきは三白眼。なるべく可愛らしくと思ったんだけど、言われてみると確かに小川くんに似てる。
プププと笑ったわたしの横に誰かが立った。あ、と思う間もなく、わしわしと頭を撫でくり回される。
「アレって誰のことだ?」
ヒィィ。
「お、小川くんのことではありません!」
「じゃあ、誰だ?」
「え、それはその。一番偉い人です」
「へぇ。で、それは誰?」
「お」
でも言えるワケない。
ううぅ、
「お、鬼アクマ!」
つい叫んでしまったわたしの前で小川くんの目がキランと光る。
「へぇ、鬼アクマねぇ。じゃあ、それ会長に言っとくわ」
「いえっ、とんでもない。会長様はこちらです!」
一番下のコマで、「皆さん、しっかりルールを守りましょうね」とニッコリ微笑んでるシャム猫を指差す。
うちの生徒会長は美人さん。将来は大学のミスコンに選ばれるだろうっていうくらいの才媛。
「まさかそんな、会長様をアレ呼ばわりなんて、とてもとても」
「じゃあ、この目つきの悪い黒猫は誰だ?」
言葉と同時に首根っこをつままれる。
思わず「ニャア!」と鳴いてしまったわたしに、矢部ちゃんは爆笑し、小川くんは氷のような冷たい目を浴びせた。
「変な声出すな!」
「ご、ごめんなさい」
「それより描き終わったのか?」
「え、あ、もう少し」
さっさと取り上げようとする小川くんの手から紙を守ろうと前屈みになったら、その手の甲にぶつかってしまった。わたしの小さなバストが。慌てて飛びずさって紙を差し出す。
「あ、はい。完成です。これで!」
気付かれちゃったかな?いや、気付かなかったみたい。どうせわたしの胸は小さいし分からなかっただろう。小川くんは2本の四コマを無言で眺めた後に、
「ここ、漢字間違えてる」と言って突き返してきた。
粘着テープが、念着テープになってる。お前は超能力者か」
「あ、ホントだ」
「それに不要な書類は破棄の前に裏紙として再利用の所が不用になってる。それと破棄の破れるの石が手偏になってる。いらん書類を披露するつもりか」
「あ、はい。でも不要と不用ってなんか違うんですか?」
尋ねたわたしの頭をわしゃわしゃと掻き回し、小川くんはビシッと言った。
「いいからとっとと直して、また印刷してこい!」
はいっと返事をして駆け出したわたしに、小川くんは追加の一言。
「不用と不要の違い、後できちんと調べて報告しろ」
「はいっ!」
ふえーん、やっぱり小川くんはオレ様です。
何とか1枚に収めた書類を試し刷りし終えた小川くんが言った。
「うん、見やすくなった。これなら伝わるだろう」
それって褒めてくれてるんですか?
パタパタと尻尾を振ってドキドキと小川くんを見つめるわたしの頭の上にポンと手を置いて小川くんは言った。
「次は当日のタイムテーブルを作れ」
「へ?」
「一般の生徒と各委員、全て別のタイムスケジュールになってる」
「ほえ?」
「生徒会、会場係、模擬係、舞台係、それから統括係に会計係。これらの係別のタイムテーブルを各委一枚で作れ」
ヒーン。終わったと思ったら次が来た。サドだ。
「え、と生徒会に会場係、あと何でしたっけ?」
「せ、か、も、ぶ、と、か」
「はい?」
「生徒会、会場係、模擬係、舞台係、統括係、会計係の六つの頭文字だ。簡単な記憶術だよ。もう覚えたな?」
「はい!背がノブとか。あれ、セカンドもむとか?」
「セカンドの何を揉むつもりだ?」
「え、肩?」
反射的に答えたら、ブッと小川くんが噴き出した。
わぁ。笑顔が見られた。ひそかに喜ぶわたしの前で小川くんは顔をクールモードに戻した。
「肩なんか揉んでどうすんだよ」
「いや、お疲れなのかな、と」
わしゃわしゃと髪が捏ねくられる。
「この頭、大分お疲れのようだな。全く働いてないだろ?」
あったかい大きな手はそのまま、みやの頰を摘んだ。ムニムニと揺らされる。
目の前に迫る細いフレームの眼鏡にドキドキする。
──近い。近過ぎます。
「は、はい。昨日は四コマ描いててつい寝そびれて」
敬礼したい気持ちでそう答える。
「だろうな。大きなクマ飼ってるぞ」
「え、熊?」
「目の下、クマが出来てる」
「えっ?」
クマって動物じゃなくて目のクマ?
やだ、わたしったらそんな顔小川くんに見せてたんだ。
逃げたいけれど小川くんの手はわたしの頰を挟んだまま。逃げるに逃げられない。目の前でその口が動いた。
「寝不足してると胸が育たないぞ」
「へ?」
「別にペタでもいいけど」
「え?」
小川くんの目が妖しく光った、ように感じる。
俺にとっては腹がメインで、そっちはセカンドだから」
「へ?」
胸って、ペタって、やっぱりさっきぶつかっちゃったのバレてた、んだ。
ヒイイ。
おまけにメインとかセカンドとか、なんかメニューみたい。
綺麗に平らげると言った彼の言葉が頭の中をリフレインする。
──どうしよう?頭は爆発寸前。でも、小川くんの手は離れない。
「お前のほっぺた柔らかいな」
ムニムニと潰され、伸ばされる頰。
「頭は猫っ毛だし、触り心地がいい。お前、いいもん持ってるじゃん」
「あ、ありがとう」
わ、嬉しい。褒められた。
と思った瞬間に、ちゅっと唇が鳴った。
——え?
目の前に迫っていた眼鏡のフレームが一瞬見えなくなった後にまた見えて、遠ざかっていく。
──あれ?あれ?今のもしかして。
浸る間もなく、小川くんは指を突きつけて言った。
「じゃあ、セカモブトカの六つのタイムテーブル、今日の22時までな。イラストや写真はいらんから、漢字よく見直せよ」
既に小川くんは通常モード。
──あれ?気のせい?
ボーッとしてから、ふと気付く。
「22時?」
23時じゃないの?と思ったわたしの考えを見通したか、小川くんは薄く笑った。
「修正時間を見込んでんだよ。分かったな?」
ヒーン、やっぱり小川くんはサドのオレ様です。
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