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第二章 いま
第16話 風
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「やっぱり、ちじゅ」
「え?」
知らない男子にあだ名を呼ばれて樹里はポカンとする。
「あの、どなたでしょうか?」
その時、隣に座っていたみやこちゃんが樹里の腕を引っ張った。
「ちょっとお兄ちゃん、まだ紹介してないのに勝手に私の友達に話しかけないでよ」
「お兄さん?」
改めて男子学生の顔を見上げる。彼は両の口の端をもたげて綺麗な笑顔を見せると頷いた。
「どうも。そいつの兄の中条(ちゅうじょう)衡(まもる)」
樹里は反射的にペコリと頭を下げた。
「あ、初めまして。この度はお招きいただきまして」
そう返したら、彼はブッと噴き出した。
「ここ、俺ん家じゃないんだけど」
そう言って、クククと高い背を曲げて暫く笑い続けている。
だって、他に何て挨拶していいかわからなかったのだ。
赤くなって俯く樹里の前で、彼はみやこちゃんに向かって声をかけた。
「みやこ、サンキュ。よく来たな。じやあ、彼女を紹介してよ」
みやこちゃんは樹里を自分の方に引き寄せてから顔を上げた。
「クラスメイトの千住樹里ちゃんよ。ちずみって言いにくくて、最初にちじゅみって呼んじゃってから、ちじゅって呼んでるの」
「へぇ、確かにちずみより、ちじゅみの方が言いやすいな」
みやこちゃんのお兄さんは樹里を見て軽く笑みを浮かべると頭を下げた。
「ちじゅちゃん、よろしく。小うるさい妹にいつも付き合ってくれてありがと。でも、やかましいのが過ぎる時は、遠慮なくそう言いなよ。我慢が過ぎると早死にするからさ。今生では長生きして、共白髪ってのに挑戦しような」
スッと自然に手を差し出され、握手するのかと握り返してから、かけられた言葉を反芻する。
「え、共白髪って、あの?」
それは夫婦に使う言葉じゃないだろうか?
「ちょっとお兄!紹介するなりナンパって、信じらんない!」
みやこちゃんの怒声に彼は首を竦めると、背を屈めて樹里の耳に口を寄せ、小さな声で囁いた。
「ちじゅ、初めましてではありませんよ」
「え?」
驚いて彼に向き直る。目が合う。秋の空のような、遠く深く澄んだ瞳。その瞳に吸い込まれそうになり、樹里は咄嗟に後退った。
「ちじゅ?」
みやこちゃんの声が聞こえるけど、どうしたらいいのかわからない。
「やはり綺麗さっぱり忘れてるのですね」
咎めの響きを含んだ声に樹里は慌てた。
「ごめんなさい。どこかでお会いしたのでしたっけ?」
みやこちゃんの家に遊びに行ったことはない。だから会ったとしたら駅とか道端とか学校?そう言われると見覚えがあるような気もしてくるけど、どこでだっただろうか。マジマジと見つめていたら、衡さんは黙ったまま眉を顰めて、握った樹里の手を強く引っ張り上げた。樹里はずり落ちかけたバッグを抱え直して慌てて立ち上がる。
衡さんは、樹里の手を掴んだまま、みやこちゃんに向かった。
「みやこ、ちぃと彼女借りるで。お前が行きたい言うてた研究室は、こいつに案内させるからさ」
言って、衡さんは一人の男子を紹介すると樹里を引っ張って歩き出した。
「ちょっとお兄!ちじゅをどこに連れてくん?」
「いや、ちょっと演し物の手伝いでもしてもらおうかと」
「手伝いなら私がすんのに」
みやこちゃんの申し出に衡さんはヒラヒラと手を振った。
「お前は今日は研究室の見学に来たんやろ?研究室では教授が手ぐすねひいて待ってるから、心ゆくまで喋り倒してこい。お前なら、いっぱしに討論出来るだろ」
「それはそうやけど、帰りはどうすんの?」
「話が終いになったらケータイ鳴らせよ」
「了解。でも、ちじゅに悪いこと教えんといてな。その子、純粋培養なんやから」
「知ってる。じゃな」
サッと踵を返して歩き出した衡さんに引っ張られて、樹里は講堂を出た。階段を上がって狭い扉を抜け、明るい外に出た途端、冷たい風が吹き荒ぶ。コートが風を孕んで捲き上がる。あちこちで上がる悲鳴。でも樹里は、先程彼が口にした言葉で頭がいっぱいだった。
「知ってる」
——知ってるって、どうして?例えどこかですれ違ってたとしても、話すのは今日が初めての筈なのに。
もしかして、みやこちゃんはお家で樹里のことを話してくれてたんだろうか?だとしたら、大切な友達と思って貰えているようで嬉しい。
そう考えて、ほっこりとした樹里だったが、次の瞬間、目の前に指を突き付けられていた。
「何をぼんやりしてますか。スカート!」
「え?」
目を落とせば、先程の突風に煽られたスカートがめくれていた。でも、そんなミニスカートを履いているわけでもないし、下にスパッツも履いてるし。そう、のんびり構えていたら、衡さんの手が樹里のスカートをババッと整えてコートもきっちり合わせてくれた。息つく間もないその動きに樹里は目を瞬かせる。
「あ、ありがとうございます。素早いですね。さすが、みやこちゃんのお兄さん」
礼を言うが、衡さんは口を引き結んで樹里を睨んだ。
「なぁにが、さすが。相も変わらず隙だらけやないですか」
「え、隙だらけ?」
問い返したら、衡さんは樹里を見下ろして、その綺麗な顎に軽く指をかけて口を開いた。
「ちじゅちゃんは誰か好きな人はいるの?」
「え?」
「付き合ってる人はいるのかと聞いてます」
樹里は首を横に振った。
「いえ、私なんか誰も相手にしませんから」
すると衡さんの目がスッと細まった。
「そういう所、まるで変わっていない。遠慮が過ぎると相手が付け上がると言ったでしょう?」
——え?
樹里の眼前に、細面で整った目鼻の綺麗な顔が迫る。咄嗟に後退った樹里の視界の中で、その口が声を発した。
「ちじゅ。いえ、千手の前。私は貴女を側に置きたい。宜しいですか?」
意志の強そうな瞳が樹里を射抜く。
それに……。
「宜しいですか?」
発せられた、その響きを受けた途端、樹里の胸がドクンと一つ大きく鼓動した。同時に身体の中を風がサァッと吹き抜けていく感覚がする。
そう、前にも誰かにそう問われた。でも、いつ?どこで?誰に?
直後、樹里の口から飛び出たのは、それに対する答え。
畏りました」
考える間も無く、口をついて出て来たその言葉に樹里自身が驚く。
——何?かしこまりましたって。そんな改まった言葉、普段使ったことないのに。
「え?」
知らない男子にあだ名を呼ばれて樹里はポカンとする。
「あの、どなたでしょうか?」
その時、隣に座っていたみやこちゃんが樹里の腕を引っ張った。
「ちょっとお兄ちゃん、まだ紹介してないのに勝手に私の友達に話しかけないでよ」
「お兄さん?」
改めて男子学生の顔を見上げる。彼は両の口の端をもたげて綺麗な笑顔を見せると頷いた。
「どうも。そいつの兄の中条(ちゅうじょう)衡(まもる)」
樹里は反射的にペコリと頭を下げた。
「あ、初めまして。この度はお招きいただきまして」
そう返したら、彼はブッと噴き出した。
「ここ、俺ん家じゃないんだけど」
そう言って、クククと高い背を曲げて暫く笑い続けている。
だって、他に何て挨拶していいかわからなかったのだ。
赤くなって俯く樹里の前で、彼はみやこちゃんに向かって声をかけた。
「みやこ、サンキュ。よく来たな。じやあ、彼女を紹介してよ」
みやこちゃんは樹里を自分の方に引き寄せてから顔を上げた。
「クラスメイトの千住樹里ちゃんよ。ちずみって言いにくくて、最初にちじゅみって呼んじゃってから、ちじゅって呼んでるの」
「へぇ、確かにちずみより、ちじゅみの方が言いやすいな」
みやこちゃんのお兄さんは樹里を見て軽く笑みを浮かべると頭を下げた。
「ちじゅちゃん、よろしく。小うるさい妹にいつも付き合ってくれてありがと。でも、やかましいのが過ぎる時は、遠慮なくそう言いなよ。我慢が過ぎると早死にするからさ。今生では長生きして、共白髪ってのに挑戦しような」
スッと自然に手を差し出され、握手するのかと握り返してから、かけられた言葉を反芻する。
「え、共白髪って、あの?」
それは夫婦に使う言葉じゃないだろうか?
「ちょっとお兄!紹介するなりナンパって、信じらんない!」
みやこちゃんの怒声に彼は首を竦めると、背を屈めて樹里の耳に口を寄せ、小さな声で囁いた。
「ちじゅ、初めましてではありませんよ」
「え?」
驚いて彼に向き直る。目が合う。秋の空のような、遠く深く澄んだ瞳。その瞳に吸い込まれそうになり、樹里は咄嗟に後退った。
「ちじゅ?」
みやこちゃんの声が聞こえるけど、どうしたらいいのかわからない。
「やはり綺麗さっぱり忘れてるのですね」
咎めの響きを含んだ声に樹里は慌てた。
「ごめんなさい。どこかでお会いしたのでしたっけ?」
みやこちゃんの家に遊びに行ったことはない。だから会ったとしたら駅とか道端とか学校?そう言われると見覚えがあるような気もしてくるけど、どこでだっただろうか。マジマジと見つめていたら、衡さんは黙ったまま眉を顰めて、握った樹里の手を強く引っ張り上げた。樹里はずり落ちかけたバッグを抱え直して慌てて立ち上がる。
衡さんは、樹里の手を掴んだまま、みやこちゃんに向かった。
「みやこ、ちぃと彼女借りるで。お前が行きたい言うてた研究室は、こいつに案内させるからさ」
言って、衡さんは一人の男子を紹介すると樹里を引っ張って歩き出した。
「ちょっとお兄!ちじゅをどこに連れてくん?」
「いや、ちょっと演し物の手伝いでもしてもらおうかと」
「手伝いなら私がすんのに」
みやこちゃんの申し出に衡さんはヒラヒラと手を振った。
「お前は今日は研究室の見学に来たんやろ?研究室では教授が手ぐすねひいて待ってるから、心ゆくまで喋り倒してこい。お前なら、いっぱしに討論出来るだろ」
「それはそうやけど、帰りはどうすんの?」
「話が終いになったらケータイ鳴らせよ」
「了解。でも、ちじゅに悪いこと教えんといてな。その子、純粋培養なんやから」
「知ってる。じゃな」
サッと踵を返して歩き出した衡さんに引っ張られて、樹里は講堂を出た。階段を上がって狭い扉を抜け、明るい外に出た途端、冷たい風が吹き荒ぶ。コートが風を孕んで捲き上がる。あちこちで上がる悲鳴。でも樹里は、先程彼が口にした言葉で頭がいっぱいだった。
「知ってる」
——知ってるって、どうして?例えどこかですれ違ってたとしても、話すのは今日が初めての筈なのに。
もしかして、みやこちゃんはお家で樹里のことを話してくれてたんだろうか?だとしたら、大切な友達と思って貰えているようで嬉しい。
そう考えて、ほっこりとした樹里だったが、次の瞬間、目の前に指を突き付けられていた。
「何をぼんやりしてますか。スカート!」
「え?」
目を落とせば、先程の突風に煽られたスカートがめくれていた。でも、そんなミニスカートを履いているわけでもないし、下にスパッツも履いてるし。そう、のんびり構えていたら、衡さんの手が樹里のスカートをババッと整えてコートもきっちり合わせてくれた。息つく間もないその動きに樹里は目を瞬かせる。
「あ、ありがとうございます。素早いですね。さすが、みやこちゃんのお兄さん」
礼を言うが、衡さんは口を引き結んで樹里を睨んだ。
「なぁにが、さすが。相も変わらず隙だらけやないですか」
「え、隙だらけ?」
問い返したら、衡さんは樹里を見下ろして、その綺麗な顎に軽く指をかけて口を開いた。
「ちじゅちゃんは誰か好きな人はいるの?」
「え?」
「付き合ってる人はいるのかと聞いてます」
樹里は首を横に振った。
「いえ、私なんか誰も相手にしませんから」
すると衡さんの目がスッと細まった。
「そういう所、まるで変わっていない。遠慮が過ぎると相手が付け上がると言ったでしょう?」
——え?
樹里の眼前に、細面で整った目鼻の綺麗な顔が迫る。咄嗟に後退った樹里の視界の中で、その口が声を発した。
「ちじゅ。いえ、千手の前。私は貴女を側に置きたい。宜しいですか?」
意志の強そうな瞳が樹里を射抜く。
それに……。
「宜しいですか?」
発せられた、その響きを受けた途端、樹里の胸がドクンと一つ大きく鼓動した。同時に身体の中を風がサァッと吹き抜けていく感覚がする。
そう、前にも誰かにそう問われた。でも、いつ?どこで?誰に?
直後、樹里の口から飛び出たのは、それに対する答え。
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