【R18】エートくん 漫(マン)遊記 よくわからないうちに諸国をめぐって諸悪と戦うことになりました

まんじゅう屋

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4.バリアの町の高台で

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  目を覚ますと、また知らない場所だった。
  部屋の外から、楽しげな鼻歌と料理の音が聞こえる。そうか、ここライウェさんの家か。夕べどうしたんだっけ?
  なんか、太陽が黄色く見えるなぁ。
  よく思い出せないや。全身筋肉痛。脚と腰が痛い。一杯歩いたからね。
  ともかく、全裸だったので、服を着る。

「あら、おはよ、よく眠れた」

  ライウェさんの軽やかな笑顔。なんか、キラキラしてツヤツヤしてるのは気のせいかな。朝日のせいかな、オレンジ色の髪が輝いてフワフワしてる。

「んチュっチュパっちゅっチュルっジュっンジュルっ」

  おはようのキスにしては、濃厚すぎるのをされる。
  ちょっと固めの舌が激しく僕の腔内で暴れる。

「んふっ昨日はイッパイくれてありがと!んチュッ!」
「んぐっんん」
「あぁんっ朝から欲しくなっちゃうん」
「あっんんっ!ちょっ!んん」

  ライウェさんは僕の首筋にキスしながら、硬くなってる股間をいやらしく撫で回す。

「今日もチ○ポ元気ね、凄いわ、夕べあんなに出したのにっ」

  あぁ・・・思い出してきた・・・。

「おーい!エート迎えに来たぞー!!!」

  アトミちゃんの大声が外から飛んできた。

  夕べはライウェさんの手伝いをして疲れて寝てしまったので、そのまま泊まらせて貰った、ということになっていた。

「まったく体力のないヤツだなぁ」
「ライウェさんは随分と、はつらつとされておるのぉ」
「ライウェさんの「ベッド」は気持ち良かったかしら?」

  からかわれながら、パンをかじる。アトミちゃんにはバレてないようだけど、御方さまとサーサさんは、明らかに分かってるよね。

「もう出発ですか?」
「ん、そうじゃのぅ、どうするかのぉ」

  御方さまはカップの中を見ながら、曖昧な答えをする。サーサさんとアトミちゃんは何も言わない。聞いちゃ行けないことだったんだろうか。僕も無言で食事に戻る。

「この町には霊験あらたかな神像があると聞きますわ」

  サーサがその神像が目の前にあるかのように、胸の前で手を合わせる。むにゅっと押し寄せられた谷間が、その、すごい。

「クシティ様ですね」

  ライウェさんがお茶のお代わりを注ぎながら言う。

「昔、国中に疫病が流行ったとき、偉い神官様がここにクシティ様の像をつくったところ、疫病がたちまちに収まった、と言われています」
「ふむ、それは是非参詣しておきたいな」

  アトミちゃんは、あんまり関心なさそうだ。

「クシティ神はすべての人を救う、とくに子供の守り神なの」

  サーサさんがアトミちゃんの顔を見ながら言う。

「知ってる、あと俺は子供じゃないから、エートお前は良く拝んでおけよ」
「ぼ、僕だって」

  昨日、大人になりました、などとはこの場では口が裂けても言えない。
  その後、ライウェさんから、名所をいくつか聞かせて貰った。




「女の旅人に良いようにあしらわれたようだな」
「お耳が早い、全くお恥ずかしい話しです」
「あんまり派手なことをされると、こちらも庇いきれんぞ」
「申し訳ありません、ですがこちらも体面を保つ必要があります、舐められたままでは・・・」
「また町中で喧嘩を起こす気か」
「ヤクザに盾突いたら恐ろしいことになる、とカタギのものに分からせておかないと」
「ほう、こわいこわい」
「あの女連中は旅人です、長くはおりません、出て行ったところを見て、発端になった料理屋を襲います」
「衛士が出なければならんような事件は駄目だ」
「しかし」
「事件にならなければ良いのだ、料理屋はサンパディ亭だったな」
「はい」
「そこの女亭主が突然行方不明になって、それで良かろう」
「遺体はないので殺しではなく、事件ではない」
「だが、町の者は真実を理解する、誰によって何故そうなったのか」
「お見事でございます」
「ま、わしに任せておけ、それにしてもサンパディ亭か」
「ご存じでしたか」
「ん、あれは何年前のことだっかの、あそこの前の亭主も行方不明にした」
「お聞かせ願えますか」
「あの時、旅芸人の一座が来ておってな、そのなかの女が、これがとうが立っているが良い女でな」
「手込めにされたと」
「聞き捨ての悪い、まぁそうじゃ、だがあんまり拒むのでな、ちょっとやりすぎてしまった」
「おやおやお代官様ともあろう御方が」
「それを始末させようとしたところを例の亭主に見られたのでな」
「いやいや、さすがでございます、我々などは足下にも及ばぬ御方でございますな」
「ふっそんなに褒めるな、ん、酒が切れたぞ」
「はい、今日はきれいどころも用意しております、お楽しみください」




  僕とサーサさんは、例の神像を拝んだあと、昔の皇帝がここに来たときに滞在したというわれる場所に来ていた。御方さまとアトミちゃんは、町を見て歩きたいと別行動になった。
  皇帝の遺跡は高台にあった。

「ここで間違いないようね」

  町外れの高台に登ると、大きな石がゴロゴロと転がっていた。それらには加工のあとがみられた。

「見て、良い景色よぉ」

  バリアの町を一望、とまではいかないけど、町並が良く見えた。山と平地の境目の町なんだなぁ。山の濃い緑色が、町のオレンジ色の屋根に入れ替わる。素朴でキレイな景色だ。
  大きな石に腰掛け、休憩することとなった。
  休憩、というか、「御休憩」になった。
  サーサさんは、その柔らかく大きな胸を押しつけ僕の耳を優しく噛んだ。

「はむっむちゅっちゅっ」

  全身がブルブルっと震え、股間に血が集まってゆくのがわかった。

「ふふっ今日は、おっぱいでしてあげましょうねぇ」

  スルスルっと服をはだけ、大きな二つの乳房をブルンと出す。
  すごい、としか言いようがない。
  圧倒的な存在感と重量感。

「さわって良いのよぉ」

  僕の手を掴み、白い塊に触れさせる。
  大きすぎて、僕の手ではすべてを掴みきれない。
  なにこれすごい!
  指がっ!沈む!
  御方さまやライウェさんのおっぱいも柔らかくって、触ってるだけで幸せな気分になれたが、いや、もう、これは別次元の存在でしゅ!!
  ふわふわ?
  ぷにゅぷにゅ?
  何と表現して良いか分からず、とにかく揉む。僕の思いのままに、どんな形にも変型する見事な柔軟性だ。

「あぁんっんんっ」

「すっすみませんっ!ついっ夢中で!」

  慌てて手を引き、両手を高く上げ、降伏の姿勢を取ってしまう。

「んんっイイのぉもっとしてっ」

  そう言いながら、サーサさんは手を伸ばし、僕の服もはだけさせていく。

「ふふっかわいい乳首」

  白い指先が僕の乳首を優しく撫でる。

「ああっ!サ、サーサさんっ!!」

  僕の乳首が、乳首を触られることが、こんなに気持ちイイなんて知らなかった。男も感じるんだなぁ。
  そうだ、サーサさんにも乳首で気持ち良くなってもらわなきゃ。
  僕の心を読んだのか、ぐいっと胸がこちらに突き出される。ほらほら、して!と。
  僕は、人差し指の先で、そっと触れ、グリグリとおっぱいに押し込んでみる。おっぱいの弾力と、ムクムクと硬くなる乳首に跳ね返される。
  やわらかいおっぱいと、コリコリの乳首のコントラスト。僕の指先、手のひらが気持ちイイ。

「あんっ優しく撫でられるのいいわぁ」

  艶めかしく身体を揺らす。もっとしてと、おっぱいが言ってる。
  サーサさんの左右の乳首は、ちょっと離れている。喧嘩して、顔を合わせようとしない人たちのように、そっぽを向いている。
  おっぱいをムニュっと寄せ、両の乳首を対面させる。
  爆乳のサーサさんだからできる遊びだ。

「んふっ乳首もとっても気持ちイイわぁ」

  ムニュムニュ、コリコリと、乳首同士を擦り合わせる。

「あんっ!それっ!んんんっ!!乳首っ!!イイっっっ!!」

  調子に乗って、グリグリと擦り合わせると、対抗してサーサさんも僕の乳首を摘まみ、グリグリと刺激する。

「あぁぁぁっ!サーサさんっ!乳首っ気持ちイイ!」

「私もっ!お姉さんもっお姉さんの乳首もっ気持ちイイよぉっ!!」

  町外れとはいえ、まわりに人が来ないと限らない。でも、そんなことを忘れて太陽の下、二人でおっぱいを触りあった。

「はぁはぁはぁっ!ねぇっおっぱいっ!おっぱい舐めてっ!お姉さんのおっぱい食べてっ!」

  言われるまでもなく、僕はサーサさんのおっぱいにとびついた。
  でも、最初にしたのは、味わうことではなく顔を埋めることだった。

  ぷにょん。

  うわぁ、なんて心地よさ。そりゃぁ手で感触は味わって知ってはいたけど、う~ん、すごい。こんな弾力の枕があったら絶対に売れる。僕は買う。
  むにむにと揉みながら、両の乳房で顔を包み込む。あぁ顔が気持ちイイ。
  いや、駄目だ。僕ばっかり楽しんでないで、サーサさんも気持ち良くしてあげなきゃ!
  まずは乳首だ。
  濃いピンク色で、ピンと尖った左の乳首を舌ではじく。同時に、右の乳首を指で摘まむ。

「あんっ」

  艶っぽい声が僕の股間に響く。
  一気に乳首に吸い付く。そして、吸う。

「んんんんんっっっっ!!!!!」

  吸い、舌で乳首を転がし、また吸う。

「乳首っ!あんっ!!吸われてるぅっ!!!」

  今度は右の乳首に吸い付く。

「んあんっ!おっぱいっイイっ!」

  グニグニと揉みながら、口を、顔を押しつけながら、吸い、舐めまくる。コリコリした乳首がたまらなく美味しい。

「んふっエートくん、赤ちゃんみたいねぇ、あんっ!ママのおっぱいにっ!んんっ!吸い付いてっんんっあぁっ!気持ちイイわよぉっ!!」

  サーサさんは僕の髪を優しく撫でてくれる。あぁ気持ちいい。本当にサーサさんの赤ちゃんになったみたい。一心不乱に乳首を吸う。

「はぁんっ!もっとぉっ!もっと強く吸って良いのよぉっ!赤ちゃんっ!おっぱい吸ってぇ!」

  もっと?!と思いつつ、一生懸命吸う。
  サーサさんは、身体をくねらせる。

「あっっっっっ!そっそうっっっっ!!それっっっっ!!イイっっ!!乳首っ!おっぱいっ吸われちゃうっ!イイっ!!!!」

  サーサさんが身体を小刻みに震わせ、僕の頭を強く抱きしめる。というか、おっぱいに押しつける。

「はぁぁんっ!赤ちゃんっ!もっとぉっ!もっとおっぱい吸ってぇっっ!ママのおっぱいっちゅっちゅしてっ!!!!」

  わかったよママ!と心の中で返事をし、さらに吸う。揉む。摘まむ。吸う。揉む。摘まむ。

「はうっっっ!!!ああああっっっっっっ!!!イクっ!イクっ!!イっちゃうっ!!!!あんんんっっっっっ!!!乳首でっ!おっぱいイっちゃうっ!!」

  僕の頭をおっぱいの中に取り込もうとしてる、ってぐらい強く抱きしめられながら、ママは、サーサさんは、身体をビクンビクンと痙攣させた。

「!!!!!!!!!!!!!」

  声にならない声を出しながら、息を切らせ、僕の髪に顔を埋める。激しい息が僕の頭を熱くする。
  まだ、僕はおっぱいに食らいついたままで、サーサさんは、身体を震わせている。

  どれくらい経ったか、サーサさんは荒い息を落ち着かせようと、大きく深呼吸をし、ぼくの頭を解放した。

「はぁはぁっはぁぁっ!すっごくっ!はぁっ!良かったわっふうっ!」

  はい、と僕は口のまわりの唾液を拭く。
  サーサさんの右乳首は、少し紫色になっていた。

「いっぱい吸って貰っちゃったけど、ママのおっぱい、ミルクでないのよねぇ」

  そういって、自分の両乳房をムニュっと持ち上げ、寄せる。上気した頬に、うるんだ細い眼が艶っぽく僕を見る。

「だから、ママのおっぱいで、赤ちゃんのおち○ちん絞って、ミルク出してあげるわぁ」

  僕のナニが、ママ・・・サーサさんのおっぱいに包み込まれる。しつこいようだけど、柔らかく、温かい。手と顔で充分理解したはずだけど、股間のモノで、三度、サーサさんのおっぱいのすばらしさを確認した。

「やっぱりエートくんのおち○ちん、硬くって熱くって、すごいわぁ」

  サーサさんは両手で巨乳を寄せて、すっぽりと僕のモノを包み込んでしまう。僕のサイズだと完全に埋もれて、見えなくなってしまう。

「おち○ちん、ママのおっぱいの中でドクンドクンいってるわよぉ、んふふっ、元気元気」

  おっぱいを左右からグニグニと動かし、僕のモノを全方向から刺激する。手、口、膣、いずれとも違う、未知の刺激だった。

「んあっっ」

  思わず声がでちゃった。

「あぁんっ赤ちゃん、気持ちいいんでちゅねぇ、ママのおっぱい、気持ちいいんでちゅねぇ、もっともっと気持ち良くしてあげまちゅねぇ」

  ツーっと唾液が谷間に流れ僕を包み込み、サーサさんは上下にゆっくりと動き始める。次から次へと唾液は送り込まれ、谷間の中はヌルヌルのグチュグチュになり、僕のナニに強烈な刺激を与えてきた。

「どう?はぁはぁっ赤ちゃんっ!ママのおっぱいっどう?!」

「は、はいっ!ママ!ママのっおっぱいっ気持ちイイよっ!」

「よかった!ママうれしいっ!もっと!もっと!気持ち良くなって!!」

  グニュグニュ、グチュグチュとおっぱいは僕をしごき上げる。
  さらに、サーサさんのコリコリの乳首が僕の下腹部を擦る。くすぐったいような妙な快感が、またイイ。

「ふふっ乳首、気持ちイイわぁ」

  わざと当てているようだ。
  息を荒くして、上目遣いで僕の顔を見るサーサさん。キレイで、いやらしい。
  自然と顔が近づき、キスをする。

「んチュっ!んんっ!チュっチュゥゥっ!」

  唇を吸い合い、味わう。

「ふふっ、チュウしたら、おち○ちん、大きくなったみたい」

  かわいく笑って、唇を突き出す。

「チュチュパっ!んんチュっ!グチュっ!んんっっ!」

  僕はキスに夢中になってるけど、サーサさんはその間も熱く柔らかくヌルヌルなおっぱいを動かして、僕のナニをしごくことを忘れない。

「あぁっママぁぁぁぁ」

「赤ちゃん!ママの赤ちゃんっ!おち○ちんがっビクンビクンしてるわっ!」

「んんんんっっ!あぁぁっん!おっぱいがっ!ママのおっぱい気持ちイイよぉぉぉ!」

「ママもっ!ママもイイわっ!赤ちゃんの硬くてっ太くてっ!おち○ちんっ大好きぃぃ!」

「うんっ!おっぱいっ!柔らかくって!!あぁぁぁぁぁっ!!おっきくってっっ!!あぁぁっっもうっっっっ!」

「イクのねっ!!おち○ちんっ!イクのねっ!!あぁっ!膨らんでるわっ!!おち○ちんがっ!熱いっ!」

「んんんんっ!!もうっっっっっ!あぁぁっっっ!!!ママっっっっっ!!」

「いいわよ!イって!!!ママのおっぱいの中でっっっ!いっぱい出して!!!赤ちゃんのミルクっっ!!!!ドピュドピュちょうだい!!!」

  サーサさんは、ママは、最後のトドメと言わんばかりに唾液を流し込み、おっぱいをさらにギュウっと寄せ、激しく上下する。

「うんっっっ!!あぁぁぁぁぁっ!!!!イっイクっっっっ!!!出るっっっ!!!」

  ドピュっっっっっっっっドピュピュピュっっっっっっ!!

  谷間から、精液が噴き出した。

  ビュルっ!!ドピュピュっっっt!!!

  サーサさんは口を開け、舌を出し、それを受け止めようとする。さらに顔にビチャビチャと飛び散る。

「はぁはぁっっすごいわぁぁミルクぅいっぱいぃぃ」

  おっぱいと僕のナニを解放し、顔や胸のあちこちにばらまかれた僕の液体をぬぐい取る。

「ズリュっっっっジュジュぅぅぅ」

  うっとりしながら、美味しそうに嗜む。

「ふふっとっても美味しいわよ、エートくんも舐める?」

「えっいえっ僕はいいですっ」

「あら、美味しいのに、じゃぁお姉さんのアソコのお汁ならどうかしら?」




「代官所の下っ端が、間違いないと」
「カスだな」
「少々気が引けましたが、郊外の無縁墓を堀りました、こちらの亭主のものかと」
「店の紋じゃな」
「それよりも本人が狙われてるんじゃないですか?」
「こんな真っ昼間に、いやわからんな」




  サーサさんが、びっしょりと濡れた秘所を開いたその時だった。

  ピリリリリリリリリリィィィィィィ!!!!

  鳥のような、虫のような、笛のような音が聞こえた。

「もうっこれからってときにっ!!」

  サーサさんは濡れた股間をサッと拭き、服を整える。

「エートくんもっ!急いでっ!」

  いやらしいお姉さんは、そこにはもういなかった。

  ピッピッピピリリリリリィィィ!

「よしっ!大当たりだわぁ!あそこの繁み!あそこに隠れましょっ!」

  何だか分からないけど、先っちょも拭かずに服を着て、繁み飛び込んだ。
  間もなく、覆面をした男達があらわれた。八人、いや九人。大きな麻袋を二人がかりで抱えている。
  サーサさんが僕の耳元で、

「あの麻袋、あれは多分ライウェさん」

とささやいた。

「動いてるから、まだ生きてるわ、隙を見て助けてあげて」

  サーサさんはナイフ、というにはすこし長目の短刀を出し、僕に持たせた。生唾を呑み込み、はいと小さく返事をする。
  次の瞬間、サーサさんは覆面の集団の前に飛び出す。

「その袋、大人しく渡してくださいな、そうすれば命ぐらいは許してあげますよぉ」

  そんなこと言われて、渡すヤツなどどこにもいないのはサーサさんだって分かっているだろう。

「なんだてめぇは!」

  覆面たちは剣を抜き、構える。いくらサーサさんが強くっても、一対九なんて無理だ。

「半分は受け持ちましょう、サーサ」

  どこからともなく、キリっとした女の人が現れた。金色のポニーテールが揺れている。ほらっといって、鞘をサーサさんに投げる。

「ありがと、じゃ半分お願いね、ドミル」

  サーサさんの知り合いなのか。
  男たちは、麻袋を持った二人と少し恰幅の良い男 ーリーダーなのだろうかー を守るように円陣を作り、サーサさんたちをにらみつける。
  太陽に照らされた剣たちが、夕べのヤクザとの喧嘩とはわけが違うと語っているようだった。怖かった。脚が、身体が震えた。
  覆面の中の一人が奇声を上げながら、サーサさんに斬りかかった。
  戦いが始まった。
  敵の九人中三人が参加していないので、二対六だった。サーサさんもドミルさんも、抜群に強く、五分五分にもち込んでいた。

「アネゴ!サーサ!待たせたな!!!!」

  アトミちゃんが猛ダッシュしてきた。さらに、銀色の髪の御方さまによく似た美女と、御方さまがあらわれた。
  敵も麻袋を投げ捨て、全員が戦いに加わった。五対九。
  金属同士がぶつかりあい、男の怒号と悲鳴があがっている。
  僕の行動する番だった。
  繁みから繁みへ、早く、でも静かに。僕ではあの男たちとは戦えない。鼓動が激しくなり、息が苦しい。でも行かなきゃ。
  この辺で良いはずだ。草むらから顔を覗かせると、ぴったり。人が入っている大きさの麻袋があった。
  敵はみな御方さまたちとの戦いに夢中だ。
  ぬかるみに足を取られながら、袋に飛びつき、短刀で切り裂いた。
  縛られ、目隠しされ、猿ぐつわされたライウェさんがいた。

「僕です!動かないで」

  もがく彼女の目隠しを取り、手足の拘束を解く。

「エートくん!!私!何がっ!!??」
「大丈夫です!御方さまたちがっ!もう大丈夫です!」

  御方さま達を見ると、敵が増えていた。倒れているのが五、六人。覆面をした男が十数人いた。

「えぇい!何をやっておる!殺せっ!!やってしまえ!!!」

  リーダー格が剣を振り回している。
  人数は関係ない。御方さま達の方が圧倒的に上だった。ドミルさんも、もう一人の知らない銀髪のお姉さんも、スゴイ強さだった。

「サーサ!アトミ!もうこの辺で良かろう!」

  御方さまが大きな声を出した。

「鎮まれ!」
「鎮まれ!鎮まれ!!鎮まれぇい!!!!」

  四人は御方さまの左右に列び、混沌を征した。
  敵の連中は剣を構えたまま、距離を置き、態勢を整えている。
  張り詰めた空気の中、アトミちゃんが懐からなにやら光るものを取り出した。

「この紋章が目に入らぬかっ!こちらにおわす御方をどなたと心得る!恐れ多くも先帝陛下が御皇女!!メイリー内親王殿下にあらせられるぞ!!!!」

  アトミちゃんが、なんかスゴイことを叫んでる。「皇女」?「内親王」?僕もライウェさんも、そして悪党連中も事態が理解できずに固まっていた。
  サーサさんが、いままで見せたことのなかったようなキリっとした顔をしてる。そして、良く澄んだ声で一喝した。

「皇女殿下の御前である!一同頭が高い!!!控えおろう!!!!」

  何が何だかさっぱりわからなかったが、僕の中の遺伝子が勝手に僕をひざまずかせ、平伏させていた。
  周りの男達も、ライウェさんも同じだった。ゴツゴツした石の上で膝をついていた。

「バリア代官!プロスプレース=トラス!!!」
「ははっ!!」

  リーダー格の男が額を石に打ち付ける。

「貴様は代官の職にありながら、博徒共から賄賂をとり民を苦しめるなど不届き千万!さらには自らの過ちを隠さんがため、そこなライウェの夫を亡き者とするなど全く以て言語道断!!」

  御方さまが代官をにらみつける。ライウェさんの夫?!旅芸人と出てったって、亡き者?
  となりのライウェさんを見る。血の気の引いた真っ白な顔で御方さまの方をポカンと見つめている。
  何か、声をかけなきゃ・・・でも、何て・・・。

「ライウェ、辛い話しじゃ、お主の夫は、この男の不義の口封じに殺されたのじゃ」

  銀髪さんが音を立てずにこちらに近づき、木札のようなものを差し出す。

「これは・・・夫の・・・うちの鑑札・・・」

  ライウェさんはそれを抱きしめ、崩れ落ちる。銀髪さんと僕で抱きかかえると、ライウェさんは、ごめんなさい、ごめんなさいと小さく呟きながら震えていた。

「トラス、何か申し開きはあるか」
「・・・」
「追って領主より沙汰がある」
「・・・皇女殿下が我が町に行啓されるなどということは聞いてはおりません」
「ほう」
「こんなところに皇女殿下などおらぬっ」

  代官は立ち上がりながら、剣をとった。代官の部下達はざわつく。自分たちは誰に従うべきか、一瞬では答えが出ない。

「ではどうしようというのかのぉ」
「また口封じかっ!悪あがきはやめとけっオッサン!!」
「皇女殿下と知っての狼藉、死に値しますよ」

  御方さまの前後左右を四人がまもる。

「なぁ、ライウェ、この悪人をどうすべきと思う」

  ライウェさんはビクっとし、僕の腕の中で固まる。そして、僕にしか聞こえない声で、ありがとうとささやき、身体を起こした。

「皇女殿下に申し上げます、夫の仇討ちの機会をお与えください」

  代官もさすがに強かったが、ライウェさんの静かな怒りがそれを上回った。


  その晩、ライウェさんは前日より増して激しかった。


  あとで聞いた話だけど、ライウェさんのお父さんは剣士で、ライウェさん自身も子供の頃から剣を学び、いまでも護身用に道場に通っているとのことだった。
  さらに事件後は、新代官から謝罪をうけ、亡夫の無念を晴らした貞女として評判になった。サンパディ亭は大いに繁盛し、クシティ神像とならぶ、バリアの町の名所となったという。


「エート、残っても良かったんじゃぞ」
「はぁ・・・」

  実は、少し迷った。記憶が戻るかどうかわからないし、ライウェさんのお店で働かせてもらって、と。でも、御方さま達と旅をしてみたいという気持ちが勝った。着いてくのは大変だし、足を引っ張るのは分かっているけど。記憶がないんだ。色々なところを見て、学びたい。そう思った。
  それに「貞女」で評判のお店に、僕がいたら、ねぇ。

「エートくんは、お姉さん達といたいのよねぇ」

  サーサさんに抱きつかれる。
  おっぱい柔らかい。

「ばっばかっ何してんだっサーサっ!エートもっ!にやついてるんじゃねぇ!」

  こっちの旅の方が、ちょっと面白そうだし。

つづく
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