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本編
職業調査
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「職業調査?」
「そう、家族の仕事について話を聞いて、この紙に記入しないといけないの」
姪はファイルから二枚の紙を取り出す。
ふむふむ。
たしかに、保護者用のプリントに書いてある。家族の続柄や職業名、それからやりがいなど質問するので協力するようにと。
えーっ、めんどくさい。それが、正直な感想だった。どうにか、切り抜けられないだろうか。
「姉さんに聞けばいいじゃないか」
「お母さんに電話したくない」
そういわれましても…。
「でも、別に授業関連なら怒られることもないんじゃないか」
「それはそうだけど…。前に聞いたときは社外秘の内容が多すぎるから実はお母さんもわかってないっていわれた」
「……」
たしかに、そんなことを言っていた。
うーん、万策尽きた。
別にこの課題を手伝うのは問題ない。ただ今のおれの仕事はアパートの大家で自称作家、時々バイト。
大家の仕事と言ってもただアパートで暮らしているだけ、しかも持ち主は友達の親父であり何かをしているわけではない。
とどのつまり、「フリーター」だ。
「おじさん、さっきからなんとか逃げようとしてるよね」
「べっ、別にそんなことないけど」
うそだけど。
「じゃあ、協力してよ」
フリーターに話を聞いても意味ないと思うけど。
「ねえ、おじさん。わたしが、ほぼフリータの話を率先して聞きたいと?」
「すいません。ぜひとも協力させていただきます。」
<・・・>
「はい、これで全部ね」
「ふーっ、終わったー」
頬を机につける。
机の冷たさが気持ちいい。
「あんなんでよかったの?」
「いいの、いいの。書いて出すだけなんだから」
「……」
それなら、本当に俺でなくてよかったのでは…。
姪がじーっと、俺の顔を見ている。
「なに」
「別になにもないけど」
「なくはないだろ」
「ないよ」
「聞きたいことがあるならなんでも、聞いてくれていいよ」
「だから、別になにもないって!!」
なにを怒っているんだろう。別に、そこまで怒ることじゃないだろうに。この時期の女の子は難しいのかもしれない。
「別にそこまで怒ることじゃないだろう」
「ごめんなさい」
こういうときは素直なんだよな。
「で、なに?」
「いや、そのなんで作家になろうとしているのかなって。普通ならここまで通用しなかったらあきらめるんじゃないかなって」
なんだそれぐらいのことか。姪なりに気を使ってくれたのだろう。正直、いろいろな人に言われすぎて慣れた。
「まあ、普通はそう思うよな。俺もたまに思う。このまま自分で書き続けていてもいいのかって」
天井を仰ぎながら、姪の質問に答える。
「じゃあ、なんで続けているの?」
「それは少なからず見てくれている人がいるからだよ」
「本当に?」
おれは姪と向き合って顔をみて答えようとする。
しかし、すぐに返事はできなかった。そうさせない違和感が自分にはあってのどに蓋をされたように声がでなかった。
「これからも書き続けてね。あなたの作品嫌いじゃないから」
と、大学時代に言われたことを思い出した。これはやめそうになった時に出てくる一種の”呪い”みたいなものだ。
ただ、それだけが書き続ける理由ではない。
「本当だよ」
まあ、姪には関係ない話しだから。
「そう、家族の仕事について話を聞いて、この紙に記入しないといけないの」
姪はファイルから二枚の紙を取り出す。
ふむふむ。
たしかに、保護者用のプリントに書いてある。家族の続柄や職業名、それからやりがいなど質問するので協力するようにと。
えーっ、めんどくさい。それが、正直な感想だった。どうにか、切り抜けられないだろうか。
「姉さんに聞けばいいじゃないか」
「お母さんに電話したくない」
そういわれましても…。
「でも、別に授業関連なら怒られることもないんじゃないか」
「それはそうだけど…。前に聞いたときは社外秘の内容が多すぎるから実はお母さんもわかってないっていわれた」
「……」
たしかに、そんなことを言っていた。
うーん、万策尽きた。
別にこの課題を手伝うのは問題ない。ただ今のおれの仕事はアパートの大家で自称作家、時々バイト。
大家の仕事と言ってもただアパートで暮らしているだけ、しかも持ち主は友達の親父であり何かをしているわけではない。
とどのつまり、「フリーター」だ。
「おじさん、さっきからなんとか逃げようとしてるよね」
「べっ、別にそんなことないけど」
うそだけど。
「じゃあ、協力してよ」
フリーターに話を聞いても意味ないと思うけど。
「ねえ、おじさん。わたしが、ほぼフリータの話を率先して聞きたいと?」
「すいません。ぜひとも協力させていただきます。」
<・・・>
「はい、これで全部ね」
「ふーっ、終わったー」
頬を机につける。
机の冷たさが気持ちいい。
「あんなんでよかったの?」
「いいの、いいの。書いて出すだけなんだから」
「……」
それなら、本当に俺でなくてよかったのでは…。
姪がじーっと、俺の顔を見ている。
「なに」
「別になにもないけど」
「なくはないだろ」
「ないよ」
「聞きたいことがあるならなんでも、聞いてくれていいよ」
「だから、別になにもないって!!」
なにを怒っているんだろう。別に、そこまで怒ることじゃないだろうに。この時期の女の子は難しいのかもしれない。
「別にそこまで怒ることじゃないだろう」
「ごめんなさい」
こういうときは素直なんだよな。
「で、なに?」
「いや、そのなんで作家になろうとしているのかなって。普通ならここまで通用しなかったらあきらめるんじゃないかなって」
なんだそれぐらいのことか。姪なりに気を使ってくれたのだろう。正直、いろいろな人に言われすぎて慣れた。
「まあ、普通はそう思うよな。俺もたまに思う。このまま自分で書き続けていてもいいのかって」
天井を仰ぎながら、姪の質問に答える。
「じゃあ、なんで続けているの?」
「それは少なからず見てくれている人がいるからだよ」
「本当に?」
おれは姪と向き合って顔をみて答えようとする。
しかし、すぐに返事はできなかった。そうさせない違和感が自分にはあってのどに蓋をされたように声がでなかった。
「これからも書き続けてね。あなたの作品嫌いじゃないから」
と、大学時代に言われたことを思い出した。これはやめそうになった時に出てくる一種の”呪い”みたいなものだ。
ただ、それだけが書き続ける理由ではない。
「本当だよ」
まあ、姪には関係ない話しだから。
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