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第1話 やっぱり振った後は気まづい
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「何よその顔」
「え、あ、いやぁ……おはよう……」
花蓮に告白された昨夜はなかなか眠りに付けず、ほぼ寝ていない状態で朝を迎えた。そして、制服に着替え、寝癖を治し、朝ごはんを食べ、家を出た。
「何気まづそうにしてるの!? 忘れてって言ったでしょ! ほら、行くよ」
「う、うん……」
普段、俺は花蓮と毎日このように登校している。学校の最寄り駅は家の最寄り駅の1つ隣の駅なのだが、別に歩いて20分ほどで着く為、花蓮と話し合い徒歩通学にした。
あ、高校は別に同じところを受けようって話してた訳じゃないぞ。俺が勝手に無理して花蓮と同じレベルの高校を受けただけだ。判定は常にE判定だったぞ。
そして毎朝、俺のマンションの前で待っていてくれる。そんな可愛い幼馴染だ。しかし、全くもって考えていなかった。昨日の今日だ。流石にいるとは思わないだろう。でも……居たのだ。今日はポニーテールの彼女が。
「今日の数学の小テスト勉強した?」
「うん……」
「中間テストも来ちゃうよ~。時間経つの早~」
「そうだね……」
「昨日お気に入りの下着干してたら盗まれたんだよね~。琉生じゃない?」
「あ……うん……え? ……ぐはぁっ!!」
その瞬間、俺の腹に花蓮のバッグが吹き飛んできた。
「ぢょ……何すんだよ……下着泥棒は……俺じゃねぇって……」
「違うわよ! 下着なんと盗まれてないし! そっちがずっと気まづそうにしてたら、こっちまでその雰囲気に飲み込まれちゃうじゃない!」
気まづい雰囲気になってしまうのはしかたない。しかも寝れていない。今の俺には正常な判断は出来そうにない。でも……
「ごめん。まじでごめん」
悪いのは俺だ。彼女なりの気遣いだろう。本気で告白してきてくれていたのだとすれば、今日待っていてくれたことも、話題を振ってくれていることも、全部ありがたいこと過ぎるのだ。
「本当に昨日のことはまず忘れて。琉生と関係性悪くなりたくて告白したわけじゃないんだから。……普通に仲良くしたいの」
「でも、忘れろって言われても……」
「あーもう! 振っといて何様よ! そんなんだと琉生の姉さんにまた言っちゃうからねーだ」
「おい! それで毎回あることないことばっか言うから兄妹会議が始まるんだよ!」
「ふん! 言われたくなかったら……私より先に学校に着くことね!」
「ちょ、花蓮! 待て!」
彼女はそう言い残し走り出した。
あぁ……もう分かんねぇ……
花蓮が俺の事本当に好きだったのか。俺は都竹さんとの関係をどうしたらいいのか。
そして今、俺の花蓮への気持ちはどうすればいいのか。
まぁ……どうにかなるか。……うん。そう信じよう。花蓮の気持ちだけは踏みにじらないようにしよう。まだ仲良くしたいって言ってくれたんだ。
俺は花蓮の背中を追いかけて走り出した。
──────
「俺の……勝ち……だ!」
「私の……勝ち……よ!」
2人で門の目の前で膝に手を付き、ゼェゼェと荒い呼吸をする。このような対決は度々花蓮主催で行われるが、なんせ審判が居ない。毎回どっちつかずの状態で幕を閉じる。
「おいおい琉生……いつにも増して息上がってるけど……どうしたんだ?」
「花蓮もどうしたの! 不審者にでもあったのか!?」
「龍か……ちょっと色々あってな」
「香澄ね……不審者はいないから大丈夫よ」
こいつらは同じクラスの高橋龍と鈴木香澄。龍は去年から同じクラスで2年目だ。出席番号が前後だったからなんか仲良くなった。香澄は花蓮と2年連続同じクラスらしい。
「てか今日体育祭の実行委員決めるらしいぞ! 琉生俺とやらねぇか?」
「そう言うの俺向いてないし、多分男女で1人ずつだと思うぞ」
「え、そうだったっけ? じゃあやっぱ香澄、俺とやるぞ!」
「なんで毎日見てるあんたと実行委員までやらなきゃ行けないのよ!」
「でも、意外と香澄、体育祭実行委員似合ってると思うよ? やってみてもいいんじゃない?」
「かれれんがそう言うならやっちゃおうかな!?」
かれれんと謎のあだ名で呼ぶ小柄で黒髪を高い位置でポニーテールにしている彼女は、最近髪の毛を茶色に染めた龍が所属しているサッカー部のマネージャーらしい。見たことは無いが、龍は意外とサッカーの才能があるらしく、去年からレギュラーで試合に出場しているらしい。ちなみにうちは別に部活が強いとかはないぞ。
うちの高校はなんだかんだ偏差値は高く、髪色や登校時の服装も自由だ。そこが売りの学校だ。
そして、教室のある2階へとのぼり、俺たちはみんな席について朝のHRがスタートした。
眠い目をこすりながら先生の話を聞く。今日の六時間目のLHRで龍が言っていた体育祭実行委員を決めるらしい。
「じゃ、今日も一日頑張ろう。1時間目の準備していいぞー」
HRが終わり、無意識にスマホのロックを解除し、通知の着いているLINEを開いた。
……都竹さんからだ。
都竹咲:今日の放課後、一緒に帰りませんか?
付き合って1週間。遂にカップルらしいことをする時が来たらしい。
どうしよう。嫌とかそういう訳じゃない。花蓮にまだ言っていないのだ。学校で1番と名高い都竹さんと付き合っていることを!
俺はとりあえず既読を付けずスマホの電源を切った。
「え、あ、いやぁ……おはよう……」
花蓮に告白された昨夜はなかなか眠りに付けず、ほぼ寝ていない状態で朝を迎えた。そして、制服に着替え、寝癖を治し、朝ごはんを食べ、家を出た。
「何気まづそうにしてるの!? 忘れてって言ったでしょ! ほら、行くよ」
「う、うん……」
普段、俺は花蓮と毎日このように登校している。学校の最寄り駅は家の最寄り駅の1つ隣の駅なのだが、別に歩いて20分ほどで着く為、花蓮と話し合い徒歩通学にした。
あ、高校は別に同じところを受けようって話してた訳じゃないぞ。俺が勝手に無理して花蓮と同じレベルの高校を受けただけだ。判定は常にE判定だったぞ。
そして毎朝、俺のマンションの前で待っていてくれる。そんな可愛い幼馴染だ。しかし、全くもって考えていなかった。昨日の今日だ。流石にいるとは思わないだろう。でも……居たのだ。今日はポニーテールの彼女が。
「今日の数学の小テスト勉強した?」
「うん……」
「中間テストも来ちゃうよ~。時間経つの早~」
「そうだね……」
「昨日お気に入りの下着干してたら盗まれたんだよね~。琉生じゃない?」
「あ……うん……え? ……ぐはぁっ!!」
その瞬間、俺の腹に花蓮のバッグが吹き飛んできた。
「ぢょ……何すんだよ……下着泥棒は……俺じゃねぇって……」
「違うわよ! 下着なんと盗まれてないし! そっちがずっと気まづそうにしてたら、こっちまでその雰囲気に飲み込まれちゃうじゃない!」
気まづい雰囲気になってしまうのはしかたない。しかも寝れていない。今の俺には正常な判断は出来そうにない。でも……
「ごめん。まじでごめん」
悪いのは俺だ。彼女なりの気遣いだろう。本気で告白してきてくれていたのだとすれば、今日待っていてくれたことも、話題を振ってくれていることも、全部ありがたいこと過ぎるのだ。
「本当に昨日のことはまず忘れて。琉生と関係性悪くなりたくて告白したわけじゃないんだから。……普通に仲良くしたいの」
「でも、忘れろって言われても……」
「あーもう! 振っといて何様よ! そんなんだと琉生の姉さんにまた言っちゃうからねーだ」
「おい! それで毎回あることないことばっか言うから兄妹会議が始まるんだよ!」
「ふん! 言われたくなかったら……私より先に学校に着くことね!」
「ちょ、花蓮! 待て!」
彼女はそう言い残し走り出した。
あぁ……もう分かんねぇ……
花蓮が俺の事本当に好きだったのか。俺は都竹さんとの関係をどうしたらいいのか。
そして今、俺の花蓮への気持ちはどうすればいいのか。
まぁ……どうにかなるか。……うん。そう信じよう。花蓮の気持ちだけは踏みにじらないようにしよう。まだ仲良くしたいって言ってくれたんだ。
俺は花蓮の背中を追いかけて走り出した。
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「俺の……勝ち……だ!」
「私の……勝ち……よ!」
2人で門の目の前で膝に手を付き、ゼェゼェと荒い呼吸をする。このような対決は度々花蓮主催で行われるが、なんせ審判が居ない。毎回どっちつかずの状態で幕を閉じる。
「おいおい琉生……いつにも増して息上がってるけど……どうしたんだ?」
「花蓮もどうしたの! 不審者にでもあったのか!?」
「龍か……ちょっと色々あってな」
「香澄ね……不審者はいないから大丈夫よ」
こいつらは同じクラスの高橋龍と鈴木香澄。龍は去年から同じクラスで2年目だ。出席番号が前後だったからなんか仲良くなった。香澄は花蓮と2年連続同じクラスらしい。
「てか今日体育祭の実行委員決めるらしいぞ! 琉生俺とやらねぇか?」
「そう言うの俺向いてないし、多分男女で1人ずつだと思うぞ」
「え、そうだったっけ? じゃあやっぱ香澄、俺とやるぞ!」
「なんで毎日見てるあんたと実行委員までやらなきゃ行けないのよ!」
「でも、意外と香澄、体育祭実行委員似合ってると思うよ? やってみてもいいんじゃない?」
「かれれんがそう言うならやっちゃおうかな!?」
かれれんと謎のあだ名で呼ぶ小柄で黒髪を高い位置でポニーテールにしている彼女は、最近髪の毛を茶色に染めた龍が所属しているサッカー部のマネージャーらしい。見たことは無いが、龍は意外とサッカーの才能があるらしく、去年からレギュラーで試合に出場しているらしい。ちなみにうちは別に部活が強いとかはないぞ。
うちの高校はなんだかんだ偏差値は高く、髪色や登校時の服装も自由だ。そこが売りの学校だ。
そして、教室のある2階へとのぼり、俺たちはみんな席について朝のHRがスタートした。
眠い目をこすりながら先生の話を聞く。今日の六時間目のLHRで龍が言っていた体育祭実行委員を決めるらしい。
「じゃ、今日も一日頑張ろう。1時間目の準備していいぞー」
HRが終わり、無意識にスマホのロックを解除し、通知の着いているLINEを開いた。
……都竹さんからだ。
都竹咲:今日の放課後、一緒に帰りませんか?
付き合って1週間。遂にカップルらしいことをする時が来たらしい。
どうしよう。嫌とかそういう訳じゃない。花蓮にまだ言っていないのだ。学校で1番と名高い都竹さんと付き合っていることを!
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