貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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本祭 二夜

蜜※

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 何本目かもわからない蔓がまた出ていった。
 淫妖の精をたっぷり注がれたからだろうか、先程から体が異様に熱い。
 特に胸の尖りがじんじんと疼いている。
 そこは、頭部が筆のように細かく枝分かれしている蔓にずっと舐めしゃぶられ続けていて、赤く腫れて膨らんでいる。

「ぁ──っ!」

 突然、ぶすりと、針のように細い蔓の先端が両の胸の先に突き立てられた。
 不思議なことに痛みはない。
 だが、胸の疼痛が激しくなった。
 苦しくて、せつなくて、突き上げるように胸を反らしてしまう。

「は、ああ……うう、くぅ……っ」

 体の内側から、何かが込み上げてきた。
 熱い何かが出口を求めて渦を巻いている。

「う…ぁ、ん、は、ああぁ……ッ」

 得体の知れない胸苦しさにのたうつ。
 疼きが堪え難いほどに高まったその時、不意に蔓が引き抜かれた。

 ドクンと胸の底が脈打った。

 次の瞬間、真っ赤に熟れた両の乳首から白い蜜が噴き出した。

「やぁああ……っ!……な、に、これぇ……っ」

 真霧まきりは己が目を疑った。
 子を成した女でもないのに、胸から乳があふれ出ている。
 混乱する真霧をよそに、蔓達は嬉しげに群がり、我先にと乳を舐め取り始めた。

「あ、あっ、や、め……っ、あぁ、ん、んん……っ」

 蔓が胸の尖りを吸うと、胸の内の管を通って蜜が吸い上げられるのを感じる。
 しかもそれはぞくぞくとした快感を伴うもので、未知の快楽に悶絶してしまう。

「んぅ……っ、く、う、ん、ふぅ……ああぁっ」

 入れ替わり立ち替わり何本もの蔓に胸の蜜を吸われ、恐ろしいほどの快感に、ただ甘く啜り泣くことしかできない。
 快感に意識が朦朧とし始めた頃、手足を拘束していた蔓達が蠢いた。
 蔓は真霧の体をうつ伏せに返すと、ぐいと後ろに腕を引く。
 取り囲む信徒たちに向かって胸を差し出すような格好だ。

「ぁ……、や……っ」

 白蜜を滴らせる乳首に男達の煮えたぎるような視線が突き刺さり、全身が熱く震えた。
 ついと伸びてきた浪月ろうげつの手が真霧の頬から胸にかけてを撫で下ろし、濡れた肉粒を指の腹で優しく摩った。

「あ……、ん……っ」
「才があると思ってはいたが、ここまでとは。そなたには驚かされるな。かようにあふれさせて……」
「──ああ……っ!」

 宙吊りの体を引き寄せられ、胸の尖りを吸われて、真霧はわなないた。
 吸いあげられた乳が体内を通るのが、身震いするほど気持ちがいい。

「甘いな。そなたも味わってみよ」

 浪月が真霧に口付け、口に含んでいた蜜を流し込む。

「う、んぅ……っ」

 己の乳を飲まされるというあまりの倒錯に頭がくらくらした。
 甘いと浪月は言ったが、自分ではよくわからなかった。
 それよりも、浪月の舌を甘く感じて、夢中で貪ってしまう。
 その間も濡れた乳首を指で転がされ続け、胸から伝わる官能にずくずくと下腹が疼く。

(ああ、もっと欲しい……)

 腹の中まで、満たしてほしい────
 きっと、顔に出てしまっていたのだろう。
 口付けをほどいた浪月は真霧を見てふっと笑うと、衣をくつろげた。
 浪月が真霧の腰を引き寄せると、蔓たちが蠢き、挿入しやすい体勢になるよう真霧の体を支え直す。
 蔓に大きく開かされた脚の間に、隆起した雄が押し当てられる。

「はぁあっ、う、ん、んん……──っ」

 もう一度唇を重ねながら、太く逞しい剛直にずぶずぶと奥まで貫かれた。
 昂りきった真霧の体は、それだけで浪月の腹に己のものを擦り付けながら極めてしまう。

「あっ、あぁん……!あ、はぁ……っ」

 達したばかりの敏感な体を浪月は容赦なく突き上げる。
 宙に吊るされたまま、抽送に合わせて激しく揺さぶられ、足先ががくがくと揺れる。

「ああ…っ、あ、ぁ…っいい……っ」

 腰骨を掴み寄せられ、奥を深く抉られた。
 入りこんだ切先に最奥をぐぽぐぽと穿たれ、深すぎる快感に見開いた目からどっと涙が溢れ出す。

「ああんっ、も、う……っ」

 媚肉が剛直に吸い付き、絞り上げるように収縮する。

「く……っ」

 浪月が真霧をきつく抱きしめた。
 刹那、最奥に熱いものが注ぎ込まれる。

「はぁ、あ……んん──っ」

 熱い精が体内に染み渡っていく。
 腹の奥が歓喜に蠢き、神子の徴の紋様がひくひくと波打った。







 深い極みに、束の間、意識が飛んでいたようだ。
 落ちていた瞼を持ち上げると、信徒達に取り囲まれていた。

「そなたらもよく味わえ」

 浪月の一声を合図に、男達の手が一斉に伸びてきた。



「はあ……、なんという美味さじゃ」
「まさに甘露よ」

 男達は憑かれたように乳を吸っては、猛り切った物を真霧の中に突き立てる。
 どれほど吸われても枯れぬのが不思議だった。
 むしろ、群がる男達の淫気を吸収し、身の内から漲っているかのようだ。
 信徒達と交わっている間も、蔓は真霧の体の至る所をくすぐり、快感を与え続けている。

「あ、ああ……っ、んうっ、あぁ……っ」

 あぐらをかいた男の膝に乗せられ、背後から突き上げられながら前に回した両手で胸を揉まれる。
 薄い肉を下から集めるように揉まれると、赤く膨らんだ胸の先から白い蜜があふれ出して止まらない。
 別の男たちが真霧の胸に顔を寄せ、あふれた蜜を舐め取り、胸粒を唇でしごきながら吸い上げた。

「やっ、もう……、そんなに、吸わないでえ……っ」

 柔肉を突かれ、両の胸を吸われ、体がバラバラになりそうな怒涛の快感に、髪を振り乱し、身悶える。

「あぁ…いや……っ、もう、吸うのやだ……きもちいい、から、やあぁ……っ」

 ぐずぐずと啜り泣くと、男たちは胸を吸うのはやめ、舌先で転がし始める。

「んうぅっ、あぁっ、や、それも、だめ……っ」

 過敏になった胸の先を優しく嬲られ、大きく仰け反って絶頂する。
 きつく締め付けられた背後の男が唸り、柔肉の奥に白濁を吐き出す。

 次の男には強引に立たされ、後ろから貫かれた。
 激しく腰をぶつけられて前に倒れかけると、それを受け止めた別の男が胸に吸い付き、突かれる度にあふれ出る蜜を舐め取る。
 
「あんんんっ、もう、だめぇ……っ」

 胸と中を嬲られるだけでも気持ちがよすぎて頭がおかしくなりそうなのに、更に伸びてきた細い蔓が揺れる花芯に絡みつき、先端の蜜口に這入り込んだ。

「あ、ああ……っ、くう……んん────ッ」

 妖と人に全身を愛撫され、凄まじい法悦にひたすら喘ぐことしかできない。



 全ての男の精を受け止め終えた頃には空が白み始めていた。
 蔓たちはするりと拘束を解き、真霧を解放する。
 半ば気を失い、落下した真霧を浪月が腕の中に抱きとめた。

「今宵の儀もつつがなく……」

 薄れゆく意識の中で、下腹をそっと撫でられるのを感じた。
 浪月の掌の下で、神子の徴は更に濃さを増していた。

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