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終章 東下り
祓※
しおりを挟む眠る真霧の肌の上を何かぬらぬらとした物が這い回っている。
むず痒いその感触に小さく身じろぐが、意識は眠りの淵に揺蕩ったまま、目覚めてはいない。
くちゅりと水音を立てて、何かが両の胸に取り付いた。
「あぁ……っ」
ざらついた舌のような物に小さな粒を下から上へ舐め上げられ、喉奥から甘い声が漏れた。
左右の胸を不規則に、丹念に舐められて、眠りながらも体は強制的に昂らされていく。
散々に舐められ、ぷっくりと勃ち上がってしまったそこを、今度は吸い立てられた。
「あ……、はぁ……っ」
自らの意思では動かせない体が、びくんと跳ね上がった。
胸の底に溜まった蜜が吸い出されていく感覚に、更なる快感が湧き起こる。
「あんん……っ」
胸を嬲られたまま、脚の間にもぬるついた物が絡みついてきた。
胸への刺激で形を変えてしまっていたそこにくるくると巻きつかれ、ぬちぬちと扱き上げられる。
「ふ、ぅ、ん、んん……っ」
真霧はむずがるように微かに頭を振った。
確かに眠っているはずなのに、体は淫らに反応を返し、胸の先や花芯から雫をこぼしては、びくびくと戦慄く。
動けない分、逃しようのない快楽が体内に積もっていく。
薄く開いた唇からは、乱れた吐息と喘ぎがとめどなくあふれ出している。
夢心地で与えられる快感を追っていると、足の指を舐めしゃぶっていた物がしなやかな脚の線を辿るように這い上がり、双丘の狭間を撫で始めた。
「や……っ、は、ぁ、ぁああっ」
しとやかに閉じていた蕾をぴちゃぴちゃと音を立てて舐められる。
襞の一つ一つを粘液を塗り込めるように潤わされ、柔らかく解されたところで、ぐぬりとこじ開けられた。
「ん、んぅ……ッ」
太く、弾力のある物に柔肉を押し開かれた刹那、腹の奥からどっと悦楽が噴き出した。
ひくつく粘膜を擦り上げながら奥深くまで侵入されたところで、激しい抽送が始まった。
「ああ……は、う、ん、んうッ!」
どちゅどちゅと最奥を突かれ、凄まじい快感に体が勝手に跳ね上がる。
獰猛に突き上げられるのがたまらなくいい。
体の奥底から大きな快感の塊がせり上がってくる。
「ひああ……────ッ!」
花芯の先から透明なしぶきを上げて、真霧は覚醒した。
開いたばかりの目に、がくがくと揺らめく己の裸身と、絡みつく何本もの肉色の触手、そしてそれを傍らに座り眺める浪月の姿が飛び込んでくる。
どうやらここは、浪月と真霧が東国に構えた邸のようだ。
真霧は褥に寝かされており、周囲の床から生え出した数多の触手に絡みつかれている。
「は、あ……、浪月、様……?なぜ……これは、一体……」
「覚えておらぬのか。そなた、私の留守の間に、物の怪憑きの男の元へ行き、邪気を肩代わりしたであろう」
そう言われ、朧に霞んでいた頭の中が次第に働き始める。
浪月と真霧が東国の地に移り住み、三月ばかり。
はやくも浪月は、都から来た大変な法力を持つ方士として名を博していた。
昨日も、山向こうの村から、年嵩の男が「息子に憑いた物の怪を祓ってくれ」とやって来た。
ところが、折悪しく浪月は、別件の祓えのため出かけており、不在。
ともかく来てくれと男に泣きつかれた真霧が様子見に出向いたところ、息子は濃厚な邪気に憑かれ明日をも知れぬ命だった。
致し方なく真霧が邪気をその身に移し受けることにしたのだが、途中で気を失ってしまったようだ。
「全く、危うい真似をしおって……。魔斗羅の加護を受けたそなたにとっては多少の邪気は淫気と変わらぬが、あれは少々性質が悪かったぞ。そなたの中に邪気の残滓が残っていたゆえ、妖どもに吸い出させ、祓ったところだ」
浪月が短く呪を唱えると、触手たちが一斉に床の中へと溶けるように帰ってゆく。
そろそろと身を起こした真霧を、浪月が抱き支えた。
「申し訳ありませぬ。一刻も早く対処せねば命を落とすと見受けましたので……。浪月様も、来て下さったのですね。あの男は助かったのでしょうか」
「そなたのおかげでな」
「よかった……」
ほっと息を吐き出した真霧を、浪月がじろりと見下ろす。
「邪気は消えたが、まだ仕置きが残っておる」
「仕置き……?」
穏やかならぬ言葉に、真霧はおそるおそる浪月を見上げた。
「その身を危険に晒したこと、そして邪気移しのためとはいえ、私の目の届かぬところで他の男に身を任せたことへの仕置きだ」
浪月はそう言い放つと、聞いたことのない、不思議な抑揚の呪を唱え始めた。
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