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4話:人生初「マイ制服スカート」
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中学2年の夏休みが終わり、どこかのタイミングで従姉妹の家に向かう日。
その日に思い切って、制服スカートを自宅に持って帰ろうと考えた。
正直中学卒業後に、中学時代の制服スカートを穿く女子はいないだろうと当時は考えた。
そして従姉妹の家に遊びに行った9月頃、俺は制服スカートを自分のバッグの中に乱雑に入れ、自宅に持ち帰った。
とにかく持ち帰ったはいいが、一番大事なことは「家族に制服スカートを持っていることをバレてはいけない」ということだ。
ここが自宅で保管する場合の一番難しいところ。何故なら、従姉妹と違って、うちの家族は母親以外に女性は住んでいないからだ。ましてや、中学生の制服スカートなんぞ持っていたら、確実に疑われる。どこで手に入れたのかと。
とりあえずシンプルに座布団の下やら、適当に誰も絶対に取りに来ないであろう段ボールの中に放り込んだりしていた。隠し場所はこんな感じで、当時は考えてみた。
さあ、それよりもいよいよ制服スカートを楽しむ時間だ。
今回拝借したのは制服スカート2枚、いずれも夏用スカートだったのがすごく嬉しかった!
ウエストが60㎝と76㎝と極端だった。一番上の姉のウエストってそんなにあるん?ってこの時初めて知った。
なんせ当時の俺のウエストサイズは、60㎝でピッタリだったからだ。
76㎝は残念ながら穿こうとするとぶかすぎて、最小ホックに止めても、スカートアジャスターは基本的に±3㎝までの調整しかできないから、どうしてもウエスト70㎝以上は必要だった。だから俺は潔く諦めて、76㎝の黒スカートは顔から被る用に考えたのだ。
素材の説明をしないといけない。
メーカーは正直当時は拘っていなかったが、マイ制服になって初めてじっくりと制服スカートの素材を見る機会が出来たため、自分の好みの素材がこの時に分かったのだ。拝借したのは「ト〇ボ製の黒制服スカート」で、車ヒダ28本、ポリエステル50%ウール50%の夏用だった。
穿いてみた感触が、地元の制服スカートと同じ感触なのがすぐに分かった。
これは嬉しい!スカートの色が違うだけで、機能としてはほとんど一緒だからである。
次にやりたかったのは制服スカート穿いた状態で、顔からスカートを被るという行為。
教室ではまず実現が難しかったことを、自分のベッドで行った。
セックスでいうところの、3Pをするときに、1人の女性のお腹の中に自分のムスコを挿入し、もう1人の女性に顔面騎乗位をしてもらう状態、それを当時中学生でありながら、黒制服スカートで実現したのだ。
黒制服スカートはどちらかというと、光の加減のせいか?よく絵の具とかで黒色に白色を混ぜたら、グレーになるじゃない?まさにそんな感じで、「黒色の世界」というより、「若干灰色の世界」といった不思議な世界観だった。
これはこれで正直ありかなと感じたが、しかし僕の中の中学生の制服スカート=紺色スカートの定義が出来てしまい、これは一時的な感情を抑え込むだけにしかならないのだ。
あくまでも俺の執念は同級生と同じ「濃紺無地夏用スカート」を手に入れることだ。
俺の制服スカートへの情熱は、従姉妹の制服スカートのおかげで、クラスの同級生の制服に手を出すことを食い止めた。
しかしたまに、紺色の世界だけでも堪能したいとき、たまに授業を抜け出してこっそりと顔から被った。
やっぱり俺は「紺色の世界」が好きだからだ。
選択科目で音楽の授業を選んでしまった俺は、なんと女子ばっかで男子が俺1人だった。当然出席する気は失せるが、たまに出ることにした。
その時にピアノの前で、一人の女の子がいきなり調子に乗って、スカートの裾を両手で持ち上げてぶらんぶらんと神輿を担ぐかのように動かし、足をその場でエアーマラソンをするかのような、とにかく奇妙な動きをしてみせた。
毎回決まった音楽の歌を歌うたびに、何かよく分からないが、その奇妙なダンスを披露していた。
当然俺の前でそんな奇妙なダンスをしたら、何が起きるか分かるだろう?
その動きを目に焼き付けて、自分の部屋でひたすら同じようにスカートの裾を持ってダンスしてやったさ。この上ない高揚感だ。
「おい〇〇(女の子の名前)、お前のその変なスカートのダンス。今俺も真似してるぞ?なあ、どう思うよ?なあ、男の俺がお前と同じスカートで踊ってるんだぜ?」
そんな感じの台詞を吐きながら、確か当時真似して踊っていたと思う。
これやってみたら分かると思うんだが、マジで疑似体験するとすごく気持ちよくなって興奮度が増すんだよね。
なんか、その女の子になれた気持ちになって、すごい嬉しいんだよね。まあ誰にもその姿を見せれないのは、寂しいんだけど。
そんなこんなで黒制服スカートは俺を毎日癒してくれたが、ある日、どうしても紺色スカートが欲しくなった。
正直小遣いも結構貯めたから、制服スカートを自分で購入しようかと思ったのだ。
当時はネット通販なども全く繁盛しておらず、ぎりぎりオークションとかで購入出来たりする時代だったから、何となく母親にこんな感じで聞いた記憶がある。
「制服ズボンをさ、買い替える時ってやっぱり試着いるものなの?」と母親に聞くと、
「まあまずは採寸とかするやろうけどさ、あんたもうじき学校卒業やろ?今更制服買い替えたって値段高いんやし、わざわざ買わんよ?」と返答があった。
ぶっちゃけ自分のズボンなど買い替える気などさらさら無かった。
ただ、当時はネット情報なども薄いため、リアル店舗で購入するには、実際に本人が店に採寸したりして測る必要があるのか?代理で購入は不可能なのかを知る必要があったのだ。
念のためバレないようにニット帽に反射式の安物のサングラス、そして白いマスクをつけた。
これ今思えば間違いなく強盗スタイルだ・・・。本気で不審者にしか思えないが、当時中学3年生だった僕は、制服スカートを買うことで頭がいっぱいで、そんなことまでは考えていなかった。
なんとなくだが、どこで制服が買えるのかは分からなかったが、学校から近そうな衣服屋にいけば買えると思った。まずは小学校とかの体操服などが売っている店に心当たりがあった。
何故なら当時引っ越しをしたときに、その店で小学生時代の体操服を購入したからだ。
その店ならば、中学制服も置いてあると考えて俺は向かった。
店に入ると、70代ぐらいのBBAが一人いた。
とりあえずまず制服は普通に店頭に並んでいるのか物色した。体操ズボンやブルマなどは確認できたが、どう考えても学ランやセーラー服が見当たらない。仕方ないので、変装した状態であるが、声を甲高くして身バレしないようにBBAに声をかけた。
「すいません。この店は中学校の制服は置いていないんですか?」と聞くと、BBAは返事した。
「あいにく、そのようなおーきゅうものは置いておりませんので!」っと言ってたことを覚えている。
「おーきゅうもの」ってなんだ?って当時は思ったが、おそらくBBAは「そのような高価な服はうちには取り扱いございません」と言いたかったのだろう。
なんだ、この店には制服は無いのかと思い、適当に婦人物の服に近づいたらBBAがいきなり
「それはスカートやねぇ」と、BBAは僕がスカートを購入することを警戒しているような感じだった。
制服スカートとは全く関係ない、私服スカートには興味がない僕は、とりあえず警戒心強いBBAをこれ以上相手にするのはよくないと考え、その場を後にした。
おそらくBBAがいうように、この店ではないと確信した。
次に向かったのはケーキ屋さんの近くにあるスポーツショップっぽい服が置いてそうな衣服屋だ。
当時警戒していた俺は何を思ったのか、自動ドアが開いたら、だいたいどこを踏んだら呼び鈴がなるかは分かっていたからあえてそこは踏まず、店員が出てこないようにしてとりあえず制服スカートが店内にないか探した。
しかし、ここにも見当たらない・・・。仕方ないからわざと入り口付近で地団駄を踏んで、呼び鈴を鳴らした。
眼鏡をかけたぽっちゃりしたおばさんが登場した。
ここでもへんてこな変装をした俺は声高におばさんに質問した。
「この店には中学校の制服は置いてますか?」と聞くと、
「ええ。当店では中学校の制服の注文を受け付けてますよ」と。
おおおおおおおおおお!!きたーーーーーー!となった。
もうその場で購入できるように、中学生でありながら既に3万円握りしめて来ていたのだ。
諭吉3人程度、お年玉を利用すれば手に入れるのは当時の俺からしたら訳なかったからだ。
お金よりも制服スカートを優先していた俺は、とりあえずおばさんに誤魔化した。
「実は今度制服スカートを妹にプレゼントしようと思って、代理で買いに来たんですけどいけますか?」と聞くと、
「あ~、スカートが欲しいんですね。代理でもいいですが、採寸とかはしなくてもいいですか?」
「だいたいのサイズは分かりますが、実は妹結構身体が大柄で、俺とほとんど一緒なので、俺のウエストとか測ってもらえればだいたいのサイズは分かります。スカート丈も俺の膝が見えない程度の長さにしてくれればいいと言ってました」と、架空の妹と作り話を、当時アドリブで行い、これで購入できるか試してみた。
すると、「そうなんですね~、ただうちの社長がとにかく厳しくて、制服購入する場合は購入者名とか控えないといけないんですよ」と。
ええええええ!?
俺は驚いた。イ〇ンとか、し〇むらとかで購入する時と同じ感覚だったから、てっきりそんなの必要ないと考えていたからだ。
おばさんに店内奥に案内され、ノートを取り出し、その場で名簿を見せられた。
名前を見た瞬間気づいたのは、部活の後輩の名前とかが載っていたのが分かった。
正直部活の後輩の誰かの名前を勝手に借りて購入しようかと思ったが、連絡先が必要とのこと。
終わったのである。当時携帯電話を持っていない俺からしたら、この連絡先はまじで厳しかった。
身バレもそうだが、何よりうちの親宛に「制服スカートが届きに来たので、取りに来てください」と一言伝えられたら、全てがアウトだからである。
自宅の電話はいつ誰が出るか分からない。俺は諦めた。
「なるほどですね~。まあ確かに採寸もありますし、ちょっとプレゼントで考えてたんですけど、色々と時間もかかりそうだし、やめておきます」と伝えた。
「はい、うちの社長厳しくて申し訳ないです」とおばさんは低姿勢だった。
悔しい気持ちでいっぱいだったが、結局制服スカートは手に入らず、俺は店を出て帰宅した。
地元の制服スカートを購入する術が無かった。
では次に思いつくのは何か?それは「制服を譲ってもらう」ということ。
しかしそれは冷静に考えて、おかしな話である。
何故なら俺の兄弟はみんな男なのに、譲ってもらってその制服どうするの?って話である
仮に架空の妹を登場させたとしても、絶対に親同士の話し合いがないわけでもないだろう。
そうなると、俺の制服スカートへの強い執念がバレてしまい、家庭環境が険悪になること待ったなしである。
つまり、いきなり女の子が「誰か私の制服いらないー?」とか言って、募集をいきなりかけたりしてこない限りは、こちらから迂闊に出れないというわけだ。
しかしそんな人は、まずいないだろう。
そこで俺は一つの賭けに出た。
10月11月というのは、制服の衣替えの季節になる。
つまり中学3年生の秋と言うのは、「夏用制服が不要な時期」になるのだ。
それは何を意味するのかと言うと、制服を捨てる家庭が出てくるのではないかと考えたのだ。
中学3年生の夏が過ぎると、受験シーズンのため部活はない。つまり授業が終わると、それ以降の時間はフリーになるのだ。みんなが受験のため塾にせっせと通っている中、俺は家に帰って私服に着替え、急いで自転車に乗った。
行先は特に考えていない。とにかく片っ端から同級生が住んでいそうなマンションや、自宅近くのゴミ捨て場を徘徊した。
もしかすると、「夏用制服」が捨てられていないかどうか、そういった期待を持っていたからだ。
ひたすら1時間、2時間と日が沈むまで自転車を漕いだ。毎日のように、ひたすら、制服スカートが捨てられていないかどうか。
たまたまだが、どこかの家庭のベランダに夏用セーラー服が干されているのを目撃した。
不思議なことに、その制服だけ干されており、他に洗濯物は見当たらなかった。
一瞬戸惑ったが、俺が欲しいのはセーラー服ではなく、制服スカートだった。
こっそり盗もうかどうかも考えたが、やはりそれはリスクが高い。実行には移せなかった。
他にも同級生とは違うが、昔小学生の頃海で遊んだ一つ下の女の子が近くに住んでいる。
その家には必ず制服スカートが眠っていることも分かっている。
思春期の心の「悪」は執念を燃やした時、いくらでもアイデアが出てしまう。
たまたまテレビの番組で、洗濯物を取り込んでいた女性が、何かの勢いでベランダの窓の鍵が閉まってしまったこと。
当然玄関のカギは締めているから、1階に飛び降りたとしても、家の中には入れず、夜遅くに変える夫を待つしかない状況。
そんな時、女性は閃いた。ハンガーを捻じ曲げて、窓の隙間にハンガーを差し込み、見事に外から内側のカギを開いてみせた!っと。
その光景を僕は鮮明に覚えていた。つまり、窓からの侵入は可能であると。
俺はランニングをするフリをして、その女の子の家の近くを通り、家の様子を確認した。
家族がいる時間、家族が出かけている時間など、もうこれ今思えば普通に犯罪者の行動パターンです。笑
当時「名探偵コ〇ン」というアニメを見ていて、留守かどうかを確認するやり方をリアルタイムで見たことがあるが、まず相手の家に電話をかけて、留守電になるかどうかをチェックする。
次に玄関の呼び鈴を鳴らし、誰か出てくるかどうかを確認する。
その2段階で行うと、高確率で家に誰もいない状況だと解釈できる、とそのアニメで言っていたのを覚えていた。
とても当時中学3年生が思いつく考えではないと思う。
その留守かどうかの確認事項と、外からの侵入の方法。ネットの無い時代でありながらも、テレビから得られた情報で、これらを全て繋げることにより、難解な問題もクリアできると信じていたからだ。
結論から言おう。不法侵入はしなかった。
やはり犯罪に手を染めるわけにはいかないのと、ランニングしていて気づいたのは、やたらと窓を開けて居間で寛ぐBBAと目が合ったからだ。BBAは何か俺を警戒しているように見えた。この家庭は親と同居している環境なんだなと。
とりあえず俺はひたすらゴミ捨て場を確認したが、結局制服という「宝」には巡り合えずに徒労で終わった。
しかし今でこそこうやって当時の記憶を辿って執筆しているわけだが、制服スカートに執念を燃やすだけで、次々とテレビの所々の情報をうまくくっつけたり、突然インスピレーション(ひらめき)が降りてきたり、していたんだなと思う。
このひらめきや発想は、後のビジネスの場で大きく活躍するが、当時の中学時代、制服スカートという「宝」を手に入れるまでには至らなかったのは、まだまだ俺は世間知らずの未熟者だったのかもしれない。
※セ〇ムとかのお家セキュリティの存在など、当時は知る由もないのだから、やってたら地獄だったな。
しかしこれだけは自信を持って言える。「制服スカート」を求める男は、どんな困難をも乗り越えてでも手に入れたいと、ひたすら頭をフル回転させて、目標を達成させる執念が身につくのだと。
その日に思い切って、制服スカートを自宅に持って帰ろうと考えた。
正直中学卒業後に、中学時代の制服スカートを穿く女子はいないだろうと当時は考えた。
そして従姉妹の家に遊びに行った9月頃、俺は制服スカートを自分のバッグの中に乱雑に入れ、自宅に持ち帰った。
とにかく持ち帰ったはいいが、一番大事なことは「家族に制服スカートを持っていることをバレてはいけない」ということだ。
ここが自宅で保管する場合の一番難しいところ。何故なら、従姉妹と違って、うちの家族は母親以外に女性は住んでいないからだ。ましてや、中学生の制服スカートなんぞ持っていたら、確実に疑われる。どこで手に入れたのかと。
とりあえずシンプルに座布団の下やら、適当に誰も絶対に取りに来ないであろう段ボールの中に放り込んだりしていた。隠し場所はこんな感じで、当時は考えてみた。
さあ、それよりもいよいよ制服スカートを楽しむ時間だ。
今回拝借したのは制服スカート2枚、いずれも夏用スカートだったのがすごく嬉しかった!
ウエストが60㎝と76㎝と極端だった。一番上の姉のウエストってそんなにあるん?ってこの時初めて知った。
なんせ当時の俺のウエストサイズは、60㎝でピッタリだったからだ。
76㎝は残念ながら穿こうとするとぶかすぎて、最小ホックに止めても、スカートアジャスターは基本的に±3㎝までの調整しかできないから、どうしてもウエスト70㎝以上は必要だった。だから俺は潔く諦めて、76㎝の黒スカートは顔から被る用に考えたのだ。
素材の説明をしないといけない。
メーカーは正直当時は拘っていなかったが、マイ制服になって初めてじっくりと制服スカートの素材を見る機会が出来たため、自分の好みの素材がこの時に分かったのだ。拝借したのは「ト〇ボ製の黒制服スカート」で、車ヒダ28本、ポリエステル50%ウール50%の夏用だった。
穿いてみた感触が、地元の制服スカートと同じ感触なのがすぐに分かった。
これは嬉しい!スカートの色が違うだけで、機能としてはほとんど一緒だからである。
次にやりたかったのは制服スカート穿いた状態で、顔からスカートを被るという行為。
教室ではまず実現が難しかったことを、自分のベッドで行った。
セックスでいうところの、3Pをするときに、1人の女性のお腹の中に自分のムスコを挿入し、もう1人の女性に顔面騎乗位をしてもらう状態、それを当時中学生でありながら、黒制服スカートで実現したのだ。
黒制服スカートはどちらかというと、光の加減のせいか?よく絵の具とかで黒色に白色を混ぜたら、グレーになるじゃない?まさにそんな感じで、「黒色の世界」というより、「若干灰色の世界」といった不思議な世界観だった。
これはこれで正直ありかなと感じたが、しかし僕の中の中学生の制服スカート=紺色スカートの定義が出来てしまい、これは一時的な感情を抑え込むだけにしかならないのだ。
あくまでも俺の執念は同級生と同じ「濃紺無地夏用スカート」を手に入れることだ。
俺の制服スカートへの情熱は、従姉妹の制服スカートのおかげで、クラスの同級生の制服に手を出すことを食い止めた。
しかしたまに、紺色の世界だけでも堪能したいとき、たまに授業を抜け出してこっそりと顔から被った。
やっぱり俺は「紺色の世界」が好きだからだ。
選択科目で音楽の授業を選んでしまった俺は、なんと女子ばっかで男子が俺1人だった。当然出席する気は失せるが、たまに出ることにした。
その時にピアノの前で、一人の女の子がいきなり調子に乗って、スカートの裾を両手で持ち上げてぶらんぶらんと神輿を担ぐかのように動かし、足をその場でエアーマラソンをするかのような、とにかく奇妙な動きをしてみせた。
毎回決まった音楽の歌を歌うたびに、何かよく分からないが、その奇妙なダンスを披露していた。
当然俺の前でそんな奇妙なダンスをしたら、何が起きるか分かるだろう?
その動きを目に焼き付けて、自分の部屋でひたすら同じようにスカートの裾を持ってダンスしてやったさ。この上ない高揚感だ。
「おい〇〇(女の子の名前)、お前のその変なスカートのダンス。今俺も真似してるぞ?なあ、どう思うよ?なあ、男の俺がお前と同じスカートで踊ってるんだぜ?」
そんな感じの台詞を吐きながら、確か当時真似して踊っていたと思う。
これやってみたら分かると思うんだが、マジで疑似体験するとすごく気持ちよくなって興奮度が増すんだよね。
なんか、その女の子になれた気持ちになって、すごい嬉しいんだよね。まあ誰にもその姿を見せれないのは、寂しいんだけど。
そんなこんなで黒制服スカートは俺を毎日癒してくれたが、ある日、どうしても紺色スカートが欲しくなった。
正直小遣いも結構貯めたから、制服スカートを自分で購入しようかと思ったのだ。
当時はネット通販なども全く繁盛しておらず、ぎりぎりオークションとかで購入出来たりする時代だったから、何となく母親にこんな感じで聞いた記憶がある。
「制服ズボンをさ、買い替える時ってやっぱり試着いるものなの?」と母親に聞くと、
「まあまずは採寸とかするやろうけどさ、あんたもうじき学校卒業やろ?今更制服買い替えたって値段高いんやし、わざわざ買わんよ?」と返答があった。
ぶっちゃけ自分のズボンなど買い替える気などさらさら無かった。
ただ、当時はネット情報なども薄いため、リアル店舗で購入するには、実際に本人が店に採寸したりして測る必要があるのか?代理で購入は不可能なのかを知る必要があったのだ。
念のためバレないようにニット帽に反射式の安物のサングラス、そして白いマスクをつけた。
これ今思えば間違いなく強盗スタイルだ・・・。本気で不審者にしか思えないが、当時中学3年生だった僕は、制服スカートを買うことで頭がいっぱいで、そんなことまでは考えていなかった。
なんとなくだが、どこで制服が買えるのかは分からなかったが、学校から近そうな衣服屋にいけば買えると思った。まずは小学校とかの体操服などが売っている店に心当たりがあった。
何故なら当時引っ越しをしたときに、その店で小学生時代の体操服を購入したからだ。
その店ならば、中学制服も置いてあると考えて俺は向かった。
店に入ると、70代ぐらいのBBAが一人いた。
とりあえずまず制服は普通に店頭に並んでいるのか物色した。体操ズボンやブルマなどは確認できたが、どう考えても学ランやセーラー服が見当たらない。仕方ないので、変装した状態であるが、声を甲高くして身バレしないようにBBAに声をかけた。
「すいません。この店は中学校の制服は置いていないんですか?」と聞くと、BBAは返事した。
「あいにく、そのようなおーきゅうものは置いておりませんので!」っと言ってたことを覚えている。
「おーきゅうもの」ってなんだ?って当時は思ったが、おそらくBBAは「そのような高価な服はうちには取り扱いございません」と言いたかったのだろう。
なんだ、この店には制服は無いのかと思い、適当に婦人物の服に近づいたらBBAがいきなり
「それはスカートやねぇ」と、BBAは僕がスカートを購入することを警戒しているような感じだった。
制服スカートとは全く関係ない、私服スカートには興味がない僕は、とりあえず警戒心強いBBAをこれ以上相手にするのはよくないと考え、その場を後にした。
おそらくBBAがいうように、この店ではないと確信した。
次に向かったのはケーキ屋さんの近くにあるスポーツショップっぽい服が置いてそうな衣服屋だ。
当時警戒していた俺は何を思ったのか、自動ドアが開いたら、だいたいどこを踏んだら呼び鈴がなるかは分かっていたからあえてそこは踏まず、店員が出てこないようにしてとりあえず制服スカートが店内にないか探した。
しかし、ここにも見当たらない・・・。仕方ないからわざと入り口付近で地団駄を踏んで、呼び鈴を鳴らした。
眼鏡をかけたぽっちゃりしたおばさんが登場した。
ここでもへんてこな変装をした俺は声高におばさんに質問した。
「この店には中学校の制服は置いてますか?」と聞くと、
「ええ。当店では中学校の制服の注文を受け付けてますよ」と。
おおおおおおおおおお!!きたーーーーーー!となった。
もうその場で購入できるように、中学生でありながら既に3万円握りしめて来ていたのだ。
諭吉3人程度、お年玉を利用すれば手に入れるのは当時の俺からしたら訳なかったからだ。
お金よりも制服スカートを優先していた俺は、とりあえずおばさんに誤魔化した。
「実は今度制服スカートを妹にプレゼントしようと思って、代理で買いに来たんですけどいけますか?」と聞くと、
「あ~、スカートが欲しいんですね。代理でもいいですが、採寸とかはしなくてもいいですか?」
「だいたいのサイズは分かりますが、実は妹結構身体が大柄で、俺とほとんど一緒なので、俺のウエストとか測ってもらえればだいたいのサイズは分かります。スカート丈も俺の膝が見えない程度の長さにしてくれればいいと言ってました」と、架空の妹と作り話を、当時アドリブで行い、これで購入できるか試してみた。
すると、「そうなんですね~、ただうちの社長がとにかく厳しくて、制服購入する場合は購入者名とか控えないといけないんですよ」と。
ええええええ!?
俺は驚いた。イ〇ンとか、し〇むらとかで購入する時と同じ感覚だったから、てっきりそんなの必要ないと考えていたからだ。
おばさんに店内奥に案内され、ノートを取り出し、その場で名簿を見せられた。
名前を見た瞬間気づいたのは、部活の後輩の名前とかが載っていたのが分かった。
正直部活の後輩の誰かの名前を勝手に借りて購入しようかと思ったが、連絡先が必要とのこと。
終わったのである。当時携帯電話を持っていない俺からしたら、この連絡先はまじで厳しかった。
身バレもそうだが、何よりうちの親宛に「制服スカートが届きに来たので、取りに来てください」と一言伝えられたら、全てがアウトだからである。
自宅の電話はいつ誰が出るか分からない。俺は諦めた。
「なるほどですね~。まあ確かに採寸もありますし、ちょっとプレゼントで考えてたんですけど、色々と時間もかかりそうだし、やめておきます」と伝えた。
「はい、うちの社長厳しくて申し訳ないです」とおばさんは低姿勢だった。
悔しい気持ちでいっぱいだったが、結局制服スカートは手に入らず、俺は店を出て帰宅した。
地元の制服スカートを購入する術が無かった。
では次に思いつくのは何か?それは「制服を譲ってもらう」ということ。
しかしそれは冷静に考えて、おかしな話である。
何故なら俺の兄弟はみんな男なのに、譲ってもらってその制服どうするの?って話である
仮に架空の妹を登場させたとしても、絶対に親同士の話し合いがないわけでもないだろう。
そうなると、俺の制服スカートへの強い執念がバレてしまい、家庭環境が険悪になること待ったなしである。
つまり、いきなり女の子が「誰か私の制服いらないー?」とか言って、募集をいきなりかけたりしてこない限りは、こちらから迂闊に出れないというわけだ。
しかしそんな人は、まずいないだろう。
そこで俺は一つの賭けに出た。
10月11月というのは、制服の衣替えの季節になる。
つまり中学3年生の秋と言うのは、「夏用制服が不要な時期」になるのだ。
それは何を意味するのかと言うと、制服を捨てる家庭が出てくるのではないかと考えたのだ。
中学3年生の夏が過ぎると、受験シーズンのため部活はない。つまり授業が終わると、それ以降の時間はフリーになるのだ。みんなが受験のため塾にせっせと通っている中、俺は家に帰って私服に着替え、急いで自転車に乗った。
行先は特に考えていない。とにかく片っ端から同級生が住んでいそうなマンションや、自宅近くのゴミ捨て場を徘徊した。
もしかすると、「夏用制服」が捨てられていないかどうか、そういった期待を持っていたからだ。
ひたすら1時間、2時間と日が沈むまで自転車を漕いだ。毎日のように、ひたすら、制服スカートが捨てられていないかどうか。
たまたまだが、どこかの家庭のベランダに夏用セーラー服が干されているのを目撃した。
不思議なことに、その制服だけ干されており、他に洗濯物は見当たらなかった。
一瞬戸惑ったが、俺が欲しいのはセーラー服ではなく、制服スカートだった。
こっそり盗もうかどうかも考えたが、やはりそれはリスクが高い。実行には移せなかった。
他にも同級生とは違うが、昔小学生の頃海で遊んだ一つ下の女の子が近くに住んでいる。
その家には必ず制服スカートが眠っていることも分かっている。
思春期の心の「悪」は執念を燃やした時、いくらでもアイデアが出てしまう。
たまたまテレビの番組で、洗濯物を取り込んでいた女性が、何かの勢いでベランダの窓の鍵が閉まってしまったこと。
当然玄関のカギは締めているから、1階に飛び降りたとしても、家の中には入れず、夜遅くに変える夫を待つしかない状況。
そんな時、女性は閃いた。ハンガーを捻じ曲げて、窓の隙間にハンガーを差し込み、見事に外から内側のカギを開いてみせた!っと。
その光景を僕は鮮明に覚えていた。つまり、窓からの侵入は可能であると。
俺はランニングをするフリをして、その女の子の家の近くを通り、家の様子を確認した。
家族がいる時間、家族が出かけている時間など、もうこれ今思えば普通に犯罪者の行動パターンです。笑
当時「名探偵コ〇ン」というアニメを見ていて、留守かどうかを確認するやり方をリアルタイムで見たことがあるが、まず相手の家に電話をかけて、留守電になるかどうかをチェックする。
次に玄関の呼び鈴を鳴らし、誰か出てくるかどうかを確認する。
その2段階で行うと、高確率で家に誰もいない状況だと解釈できる、とそのアニメで言っていたのを覚えていた。
とても当時中学3年生が思いつく考えではないと思う。
その留守かどうかの確認事項と、外からの侵入の方法。ネットの無い時代でありながらも、テレビから得られた情報で、これらを全て繋げることにより、難解な問題もクリアできると信じていたからだ。
結論から言おう。不法侵入はしなかった。
やはり犯罪に手を染めるわけにはいかないのと、ランニングしていて気づいたのは、やたらと窓を開けて居間で寛ぐBBAと目が合ったからだ。BBAは何か俺を警戒しているように見えた。この家庭は親と同居している環境なんだなと。
とりあえず俺はひたすらゴミ捨て場を確認したが、結局制服という「宝」には巡り合えずに徒労で終わった。
しかし今でこそこうやって当時の記憶を辿って執筆しているわけだが、制服スカートに執念を燃やすだけで、次々とテレビの所々の情報をうまくくっつけたり、突然インスピレーション(ひらめき)が降りてきたり、していたんだなと思う。
このひらめきや発想は、後のビジネスの場で大きく活躍するが、当時の中学時代、制服スカートという「宝」を手に入れるまでには至らなかったのは、まだまだ俺は世間知らずの未熟者だったのかもしれない。
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