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しおりを挟む「そうか…」
光彦はそう言い、葉人の頬をそっと撫でる。
「フェネクスなら、教室の奴の顔を…見てるはずだが…」
「フェネクスなら…?」
呟いて、光彦の手に頬を擦り寄せ、大人の大きな手の温かみに、ほっとして目を閉じた。
「………先生…オレ、フェネクスと…会うよ」
湯気の立つホットミルクを目の前に置かれ、葉人は両手でそれを持ってふぅふぅと息を吹き掛けた。
「すまんな。茶とそんなもんくらいしか作れないんだ」
自分も飲もうと近づけたカップの湯気で眼鏡を曇らしながら、光彦は申し訳なさそうに言った。
その姿が微笑ましくて、葉人は小さく笑う。
「オレ、少しなら作れますよ」
「へぇ…今度作ってもらおうかな?」
「いいですよ、じゃあ、先生もまた作ってくださいね、お酒の入ったホットミルク」
口に入れた時のほろ苦さから、今日のものにもアルコールが入っているのが分かった葉人は、そう言って自分のカップを持ち上げて見せた。
「気づくくらい入れてたか?」
「味覚、いいんですよ」
そう言って、温かなミルクを飲み干すと、ほわっとした感覚に包まれて安堵の溜め息が溢れる。
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