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豹変
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しおりを挟む「さっきからナニ言ってるか、分かってんのか?」
それでなくとも低い声が、苛立ちを含んで更に低くなる。
しかし、人をすくませそうな雰囲気の司郎に葉人はくすりと笑って見せた。
「だって、センパイ言ったでしょ?オレの事を好きだって」
「…気に入ってるだけだ」
「オレがなんて答えたか、忘れちゃった?」
先ほど葉人が言った「ごめんなさい」の言葉を突き付けようとして司郎の唇が止まる。
「……」
ぱくぱくと開閉を繰り返すばかりで言葉を出さない司郎に軽く口づけた。
「あの時の言葉は、ホントだよ?」
首を傾げる葉人からじり…と身を引く。
葉人の豹変についていけず、司郎には珍しく面食らった顔を覗かせた。
「……お前…からかってるのか?」
「うぅん」
幼子のように首を振る。
「オレは、…あの時先輩が言ってくれた言葉に応えたいだけだよ」
「っ…」
珍しく顔を赤らめた司郎がそう呻いて顔を伏せた。
「先輩」
「うるさい」
「先輩」
「うるせぇっ」
身を引く司郎の膝にのし掛かり、葉人は上目使いに首を傾げては軽く微笑んだ。
小さく口の中でごちた後、司郎は伸ばされた葉人の指を掴む。
「………一体…何がしたいんだ。お前は」
そう言いながらも、葉人がしやすいように軽く腰を浮かしてズボンをずらすのを手伝う。
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