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AYA
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しおりを挟む鳴り響いた呼び出しのチャイム音が、停止しかけた脳を揺さぶった。
「 は…… 」
ひゅー…と掠れた音が喉を通り、葉人は急に膨らんだ肺の痛みにのたうった。
―――羽鳥先生、羽鳥先生、至急職員室までお戻りください
「ぐ……ふ…っ………っ!あ……はぁ…」
「………」
―――羽鳥先生、羽鳥先生、至急職員室までお戻りください
繰り返される呼び出しの言葉に、光彦の瞳に明かりが灯る。
「………」
酸素不足に霞む視界の中でこちらに向き直った光彦に、恐怖を感じて後ずさった。
腕が伸び、葉人の足を掴む。
「ひっ……」
身を竦ませた葉人の腕の縄を、あっけない程簡単な動作で光彦は解き、怯える葉人を覗き込む。
「……」
「せ…?」
「…もう一度言ってくれないか?」
ぼんやりと呟く光彦を、自由になった腕で体を庇いながら見やる。
「頼む…」
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