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まこと side
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しおりを挟む昨日、桃路が体を起こした時に胸元を隠したのは、そうしなければならない理由があったからだ。
例えば……キスマーク とか。
「 っ」
じわ と閉じた瞼の間から熱いものが染み出してくる。
今朝の枕みたいに涙で濡らして汚すわけにはいかないから、慌てて袖口で押さえた。洸平が渡してくれた保冷剤を押し当ててなんとか泣くのを堪えようとするけれど、努力を裏切るようにしてどんどん目尻に涙が溜まっていく。
ずっと一緒にいただけで、僕と藍我の間には何もない。
確かに藍我の幼馴染でずっと一緒にたけれどそれだけで、僕がいくら藍我を好きだったとしても何もしなかったんだからそれ以上にもそれ以下にもならなかった。
でもその位置がただの友達って部分よりはみ出していたから、藍我の特別なんだってぼんやりと思っていたけれど……
全然、特別なんかじゃなかった。
「 ――――まこちゃん?」
静まり返った保健室は音がよく響く。
ほんの少しドアを開けただけでも大きな音がするから、僕の意識はさっと引き戻されてしまった。
「まこちゃん、いる?」
薄く開いた隙間から滑り込むようにして小さな人影が入ってくる。
僕を呼ぶ声に答えたくないなって思って口を引き結んだけど、逃げるところもないベッドではどうしようもできなくて、わずかな抵抗とばかりに布団をギュッと握りしめた。
「あ、よかった、ちゃんと寝てた」
そろ とカーテンをずらして僕を確認してから、桃路が中へと入ってくる。
走ってきたのかちょっと息を荒げた様子で枕元にくると、猫のようなアーモンド型の目で僕をじっと見下ろした。
まっすぐな瞳は仲が良ければ親愛の情なのかもしれなけれど、転校してきたばかりでよく知らない相手にじっと見られると居心地が悪くて仕方ない。
ましてや昨日のことを思い出していただけに……再び涙がこぼれそうになってくる。
でも絶対、桃路の前でなんか泣かないって気持ちがあったから、グッと唇を引き結んで震えそうになる手を握りしめた。
「熱はどうだった?」
「……ない、よ」
泣くのを堪えているせいか、声はちょっと掠れて返事はボソボソだ。
「えっ⁉︎ 声ひどいよ? 絶対熱あるって!」
僕の声にびっくりした桃路は飛び上がった後、止める間もなく僕の頬を両手で挟んで額をこつりと擦り合わせてくる。
「っ!」
僕のどんぐり眼とは違って綺麗なアーモンド型をした目は間近で見るとますます綺麗だ。
上のまつ毛も下のまつ毛も長くてボリュームもあるからこんなに近くで見ても魅力はちっとも減っていない。
ちょっとだけ、藍我が桃路を好きなった理由がわかった気がした。
「ほら、やっぱ熱ある!」
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