ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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「 ――――なんで先輩がいるんですか?」

 リビングで膝に猫のちゃるを乗せながら、お菓子を食べている洸平に出くわした。

「昨日のお礼に夕飯で持って誘われたから?」

 なんでこの人は疑問形で返すんだろうって不思議に思いながら隣に腰を下ろす。
 まるで自分の家のように、テレビのリモコンを僕に手渡して「好きなのにかえていいよ」ってニコニコだ。

「いや、僕ん家なんですけど」

 と、言いつつ、癖でなんとなく動画を探してしまう。

「そういえば、山口とどうよ? 昨日あれだけ騒いだんだからなんかあった?」
「……」

 台所で動き回っているお母さんの気配を確認してから、膝を抱え込むように引き寄せた。

「どした?」
「なんもなかったです」

 多分、洸平的には何かドラマティックなことが起こることを期待していたのかもしれない。
 でも何も起こらなかったのは僕のせいじゃないし、むしろ起こそうと頑張った方だと思う。

「なんか、全部井上くんに……」

 邪魔って言葉は悪意が強すぎて使いたくなかったから、「ガードされて」って続ける。

「井上って、桃路だろ? お前、苗字で呼んでんのかよ」
「え? まぁ」

 つんと言って、もう一度リモコンをいじり始めると、洸平は慰めてくるように頭をポンポンと叩いてきた。
 小さい子供をあやすような行動に、ちょっと拗ねた顔をして頭をプルプル振るう。

「藍我と話をしたくても、全然で……」

 ここ最近、ちゃんと話せていないしメッセージを送ってもスルーされることを相談すると、いつもよりは真剣な表情で頷いてくれた。
 今日の昼休みのことも話そうかと思ったけど……はっきりとした話じゃないし、これは黙っておくことにする。

「つまり、俺が桃路を引き止めておけばいいんだろ?」

 これですべて解決だ! とばかりに洸平は笑ってくれた。





 作戦決行は放課後だ! と作戦会議にもならない程度の打ち合わせをした後、洸平は唐揚げをたらふく食べて帰って行った。
 まぁ桃路を引き止めておいてもらうってだけの話だから、作戦の立てようがないんだけどね。

 朝起きて、こっそりお隣を覗くとちょうど藍我が家を出ていくところだった。

 いつも出る時間よりもずっと早いし、学校の方とは違う方向に向かっているみたいだからきっと桃路を迎えにいくんだろう。

「っ⁉︎」

 数歩歩いた藍我がさっとこっちを振り返る。
 カーテンの隙間にいるからバレないって思っていたけれど、もしかして覗いているのがバレたのかな?

 何か言ってくるかなって身構えたけれど、結局藍我は何も言わないまま歩き出してしまった。

「もっと早く起きて一緒の時間に出れたら、少しでも二人だけの時間をとれたりするかな?」


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