ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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「さ、騒ぎにしちゃってごめんね。ちょっと……興奮しすぎちゃった、みたいで……」

 細い指先を弄りながら謝り、まだうるうると涙の残る目で僕をそろりと見る。

「ぁ……ん……、なんともなくて、よかった ね」

 なんと言っていいのかわからないまま曖昧に答える僕と違い、藍我は病室に入ってくると慣れた様子でどこからか椅子を持ち出してきて進めてきた。

「先生も心配ないってさ。でも興奮しすぎるなって」
「興奮してないのにな。ちょっと走って、泣いただけだだし」
「それがダメだって言ってんだろ、ずっと言われてんだからいい加減に覚えろよ」

 二人のやりとりは慣れたものだし、ずいぶん昔から知り合いだったかのような内容だ。
 なんだかこの場で何も知らない赤の他人は自分だけだと言われているようで……気まずさに俯いた。

「まこちゃん? どうしたの?」
「まこと? どうした?」

 二人同時に同じ質問をされて、なんだか仲の良さを見せつけられた気分だ。

「な ……なんで、二人、そんなに仲、いいの?」

 モニョとしたスッキリとしない物言いだったと思う。
 明らかに二人の関係に文句があるって言わんばかりの態度に、自分自身が嫌いになりそうだった。

「なんでって……」
「なんでも何も、ねぇ」

 二人は顔を見合わせると目だけで会話する。
 そんなの、昨日今日の関係じゃ絶対に無理だ!

 いつから二人は関係があったのかなって考えちゃいそうになって泣きそうになっている僕の前で、藍我は桃路の横に移動する。
 二人並ぶと……なんだか、結婚記者会見のようだと捻くれた考えが頭を覗かせた。

 口をへの字に曲げてしまいそうになった瞬間、桃路が勢いよく手を上げる。

「井上家、長男! 井上桃路でーす」
「井上家、元次男の山口藍我でぇっす」

 面倒そうに手をあげた藍我はどこかうんざりしているような表情だ。

「へ⁉︎」
「藍我のお兄ちゃんの桃路でーす」

 よくわかっていない声をあげた僕に対しての優しさなのか、桃路は言葉を変えて言い直して可愛らしく自分を指差した。

「ふぇ……?」
「やっぱり! やっぱりまこちゃんわかってなかった!」

 泣きそうな声で大袈裟に嘆くと、桃路は大きな瞳で縋るように藍我を見上げる。

「ほら! 俺が言った通りだった! ちゃんと説明しないとわかってなかったよ!」
「え……マジか……兄弟だってわかってると思ってた……」

 二人してまるで僕が何かしたかにように言い合うから、居心地悪くて逃げ出したくなった。

 何? どういうこと? わかってないって……って顔をしかめていると、大きく手をあげたせいで乱れた病衣の胸元に目がいく。



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