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まこと side
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しおりを挟む傷口が服に擦れて気になるから家にいる時は半裸がデフォだってこととか、小さい時は体が弱かったから田舎にいる間は女の子のかっこうをさせられていたことも話してくれた。
僕が聞いていいのか困ってしまう内容もあったけれど、藍我が繋いだ手に力を込めながら話してくれるからじっと聞いていた。
「少し前にもう一回手術して、これで普通の生活を送れるだろってことで、のんびりしやすいこっちに越してきたんだ。まだ通院とか部屋の用意とか間に合ってなくてバタバタしてるけど……」
「もう大丈夫なの?」
ぽつ と問いかけて、でもそんなわけないって今日のことを思い出して慌てて口を閉じる。
病気のことはよくわからないけれど、興奮しすぎて倒れて、藍我が取り乱すくらいなんだからそんな簡単にはいかないんだと思う。
藍我はそのことをじっと一人で抱え込んでいたのかなって思うと、浮かれたり沈んだりしている自分が子供に思えて恥ずかしかった。
「走り回ったり、すごく興奮しなかったら大丈夫」
夕日に横顔を照らされながら穏やかそうに笑う藍我はいつもより大人びて見える。
ちょっと、置いてきぼりにされた気分で……繋いだままだった手を引っ張った。
「ん?」
「最近、構ってくれなかったのは、なんで?」
「桃路にずるいって言われたから」
ずるい? と呟くと、藍我は歩くのをやめて僕の方に向き直る。
「あいつもまことのこと好きだから」
「! そうだった!」
ポカンと開きそうになった口を大慌てで塞ぐと、藍我は複雑そうに笑う。
「でも……でも、僕が……――なのは藍我だし」
昼間は勢いで出すことのできた言葉だったけれど、改めて言うとなると途端その単語だけが口の中でわだかまる。
夕日をチカチカと瞳に反射させて、藍我はちょっと窺うような顔で首を傾げてじっとして……
きっと、僕の言葉を待っている。
「……好き だよ」
「うん!」
ぎゅぎゅって手に力がこもって、熱い体温が言葉以上に好きだよって言ってくれているようだった。
「オレも好き」
河川敷で、人だっているのに……
藍我はぎゅうって僕を抱きしめて、自分の体で包み込むようにしながらちゅってほんの一瞬だけキスして離れていく。
「なっなっなっ」
なんてところでなんてことしてんの! って叫び声は音にならなかったけれど、満面の笑みを見せられちゃうと文句も引っ込んでしまう。
夕日に照らされて河川敷で なんて、なんか青春っぽいって嬉しくなりながら熱くなったほっぺたを押さえた。
END.
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