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藍我 side
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長いものに巻かれろ精神は好きじゃなかったが、あの人と繋がりがあるってだけで絡まれにくくなるのは確かだ。
口うるさいって言われるだろうが言っておかないと……って振り返ろうとしたオレに、ばさっと白いシャツが覆いかぶさる。
続いて制服のズボンも投げつけられて、ベルトがべちんと頬を打つ。
「いっ……っおい! 服脱ぐな!」
「えぇ? マンションに帰るまでいいじゃん」
靴下もぽーんと投げ捨てて、桃路はパンツ一枚でオレのベッドにごろごろと横になる。
この部屋にはまこと以外は入れたくなかったんだけど、桃路の部屋はまだ用意できてないし身内だから百歩譲って我慢はするが……
「ねーねー! 文化祭の打ち上げの写真とかないの? もっと早くこっち来ればよかった!」
「無茶言うなよ」
それでなくとも親父を振り切ってこっちに来てるって言うのに……
「あっ! ちょっと! まこちゃんとちゅーしたってどういうこと⁉ なんでそんなことになってるの⁉」
「なんでって……」
ズルしたから……じゃなくて八百長したから、でもなくて……なんて言えばいい?
「そう言うゲームしてたんだよ」
「田舎の子ってそんなハレンチなことしてんの⁉」
「してねーよ。田舎って言うな」
最近では電車で行ったところに大型のショッピングモールもできて、歩いて二十分くらいのとこにコンビニだってできたし、田舎じゃ……ない! と、思いたい。
「暗証番号はまこちゃんの誕生日でOK?」
「OKじゃねぇよ、勝手に携帯弄るなよっ!」
そう言いつつもあまり強気に出られないのは、桃路の胸元の傷跡のせいだ。
別にオレが直接傷つけたわけじゃなかったけれど、あんまりにもでっかく育ったせいで桃路の分まで健康を奪った なんて言われて育てば、なんとなく遠慮が出てきてしまう。
「あ、動画あるしー」
ベッドで寝転びながら人の携帯電話を勝手に漁り出す桃路に強く言えないのは、そんな呪縛があるからだった。
だからオレは桃路が好き勝手しても放り出すこともできないし、止めることもできない。ただ……もし桃路の体が健康でずっと一緒に育ってたら、今頃、血みどろでまことの隣を争っているってことだけは間違いない。
もちろん、そうなっても負ける気はしないけど。
「あっ」
大きく上がった声に飛び上がると同時に携帯電話からわぁっと歓声が上がった。
わざわざ見なくてもそれが何か分かるのは、それだけその動画を繰り返し見たからだ。
オレとまことがキスしているシーンを第三者視点で見ることができるなんて思っていなかったから、つい何度も何度も再生して……お題を読み上げた瞬間に固まってしまったまこととか、真正面に向き合って固まってしまったまこととか、キスされて真っ赤になっているまこととか、堪能していた。
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