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騙し騙して真実を
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しおりを挟む「お、お前っなんで泣いてるんだよ!」
「 は、播磨谷がっ い、いなかった からっ」
泣きじゃくりながら叫ぶと、
「お前が逃げてたんだろ」
意外と冷静な播磨谷の返事が返ってきて、涙は通じなかったし思ったよりも播磨谷は冷静なんだって思い知る。
このまま見つからない播磨谷が悪かった って方向に持っていきたかったけれど、じっとりとぼくを睨んでいるところを見るとその手は通じないようだった。
人差し指を頬に当て、できるだけきゅるるるん! みたいな顔をしてかわい子ぶろうとしたけれど、頬っぺを思いっきり叩いた時に傷か開いちゃったのか、指先がずきずき痛んでできなかった。
「 だぁ、だってぇ」
「とりあえずお前の治療が優先」
そう言うと播磨谷はぼくのなんの躊躇もなく抱き、そしてそのまま立ち上がる。
ぼくは背が低いから、子供にでもするかのように思っているのかもしれないけれど、された方は恥ずかしくて仕方がない。むしろ、さっきまで泣きわめいて注目集めてたのがこれで更に印象的な出来事に変わってしまっているようだった。
こっちを見て顔を赤らめながらひそひそ言っている女子に言いたい! 「こいつはぼくのちん〇ん」舐めような奴なんだぁと言いたく言いたくて仕方がなかったんだけど、された奴として鋭角ブーメランで僕に突き刺さるんだってことを思い出してそっと何もなかったかのような顔をしておく。
播磨谷が連れてきてくれたのは保健室だ。
ぼくも今初めて存在を知ったばかりのここは、学部等の端の端にひっそり、人を歓迎しないオーラを放ちながら存在していた。
大学生にもなってお世話になりに来るのもなぁって思ったから場所を覚えてなかったんだと思う。
播磨谷はそんなところにぼくを連れてきて、「絆創膏絆創膏」棚をあさり始める。
「ちょ 触ったら怒られるよ」
さすがにちょっと小学生感が酷かったけれど、他に何も言いようがない。
どうやら主のいない保健室に勝手に入っていいのかがわからないし、備品を使っていいのか なんんて想像もつかない。
「お前、それ医者に診せに行かなかったのかよ」
「いったけど、縫わなくていいねって言ってくれたから」
「はぁー……」
そう溜息を吐きながら播磨谷は見つけたらしい消毒液と絆創膏を持ってぼくの傍に椅子を引きずってきて座る。
「ほら、ベッドに腰かけろ」
「え ええぇ~立ったままでいいよ」
こんなところに二人っきりで、前回のことを考えたらどうしたらいいのかわからない……わけじゃないんだけど、さすがにそう言うことをしたことがないからちょっと恥ずかしい。
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