彼に「eat me!」と言ってみた

Kokonuca.

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騙し騙して真実を

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「……やりにくいだろ」
「や やる?」
「……は、はぁぁ⁉︎ お前何考えてるんだよ! 俺は手当をしなきゃって言ってるだろ⁉︎」
「別にエッチすることのやるとか言ってないだろ⁉︎ 播磨谷がそう思ってるからそう言うんじゃないの⁉︎」

 勢いでそう返して……いつもならこっちがめためたにへこむくらいの言葉が跳ね返されてくるはずなのに、目の前の壁は黙りこくったままだ。
 なんだ? ってそろりと見上げて……

「……なんで赤くなってんだよ」

 前髪と眼鏡に隠れた頬っぺたの少しの部分と、それから隠しようがない耳の部分が真っ赤で、ぼくはつられて自分の顔も赤くなるのを感じた。

「あ、あんなことあったんだぞ⁉︎ そりゃ……ちょっと動揺するって言うか……」
「う……うん……」

 お互いにもじもじ と体を揺すっている光景は、周りから見たらどう思われるんだろう? とは言え、ぼくの手からはずっと血が流れているから、思い切ってそれをえい! と播磨谷の前に突き出してみる。

 その瞬間、さっと動いた眼鏡の奥の視線はまるで獲物を狙う肉食獣っぽくて、思わずささっと背中に手を隠す。
 堪えるような荒い呼吸音がしたけれど、播磨谷はそれに気づいているのかいないのか……

 とりあえずぼくは視線をこの間至近距離で擦られていた播磨谷の股間に移して、神妙な顔をしてみせる。

「播磨谷、ぼく、播磨谷に謝らないとって」
「……は?」

 そう言うと播磨谷は視線の先に気づいたのか気まずそうだ。
 
「ぼく、だって播磨谷の口に精液ぶちまけた挙句蹴りつけて逃げちゃっただろ? それに台所の後片付けもしてなかったし」
「お、お、お前っナニ言ってんだよ!」
「え……播磨谷にフェラされた話?」
「だからっその話……」
「播磨谷にちん〇ん舐めて吸われて、口の中に射精しちゃったの悪いなって  ────って、播磨谷?」

 ぼくより小さくなってしまった播磨谷の初めて見るつむじを見て突きたい気持ちになったけれどぐっとこらえる。
 謝罪してるんだから茶化すのはよくないよね!

「あっ……えっと、陰茎を咥内で愛撫されて  」
「そうじゃない!」

 半泣きで上がった声に、仕方なくぼくは口を閉ざした。
 ちょうどこれ以上どう言ったらいいのかわからなくなっていたから幸いだった。

「お、俺がっ……謝るべきなんだろ⁉︎」

 そう叫んでぼくを見上げた瞳にはらんらんとした赤い瞳孔が光を弾いて猫の目のようにきらりとしている。

「やっと顔見れたー!」
「お前っわざと⁉︎」
「へへへ」

 普通に見上げただけだと前髪が邪魔で顔が見えないんだよね。
 

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