僕(Ω)は貴方(α)の家政夫(β)ですから!

Kokonuca.

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「あのっもしよければデザートに出来立てのベニエはいかがですか⁉︎」
「ベニエ?」

 口の端にご飯をつけたルカも「べにゃ?」と反応してくれる。

「揚げ菓子です」

 作ったまま焼けなかったパン生地が残ったままだったから、それを狐色に揚げてお砂糖や残っているイチゴジャムをつけたりなんかしたら……すっごく美味しい! 端っこのちょっと薄くなった部分のカリカリも美味しいし、真ん中の方のふっくら部分も幸せが詰まってるんじゃないかってくらい美味しい!

「揚げ……でも君は調子を崩しているだろう」
「もうすっかり元気になりました! だから作れます! 食べたくないですか? 揚げたてのジュワッとした揚げパン!」

 力強く言うと、トーマの瞳が葛藤でゆらゆらと揺れる。

「べにゃー」

 ルカの期待に満ちてキラキラ光る瞳とを見比べて、「作りますね!」って元気よく言うとトーマはちょっと気まずそうな顔をした。





「大丈夫なのか?」
「はい! すっかり元気です」
「手間ではないのか?」
「揚げるだけなので」
「また倒れそうには?」
「もう大丈夫です!」

 まだ続けようとしているトーマにくるりと向き直ると、思いの外近い位置にいてびくんと体が跳ねた。
 ぶつかるというわけではないけれど、雇い主と家政夫の距離感にしては近い気がして……

「た、食べたくないんですか?」
「食べたい……が、  」

 心配している と口の中でモゴモゴと言い、落ち着かない様子でキョロキョロとしている。

「そんなに心配ならお手伝いしてくださいます?」

 なんちゃって……と続ける前に、トーマは袖をまくってこちらを見つめる。
 その様子があまりにもハジメちゃんぽい……うぅん、もっと大きな犬のようで思わず笑いそうになった。
 もちろん噴き出すことは堪えたけれど、雇い主に対して可愛いなんて思ってしまいそうで慌てて首を振る。

「じゃあ、ジャムをお皿に出していただけますか?」
「わかった」

 僕が渡したジャムを皿に盛る様子を見ながら四角く切った生地を揚げていく。
 パンにしようと思っていた生地だったけれど、トーマはこちらの方が喜ぶかもしれな…………

「……なんで?」

 ルカならともかく、どうしてそこでトーマを思い浮かべるんだ?

「???」
「皿に盛ったが?」
「あ! ありがとうございます、助かりました」
「他には?」

 尋ねられてチラリとリビングの方に視線をやると、そこにはルカが機嫌よくテレビに集中して一緒に体を動かしている姿が見える。

「じゃあ、味見、してもらってもいいですか?」

 綺麗な狐色に揚がったベニエに砂糖をまぶして差し出す。
 

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