変彩の宝石譚

Kokonuca.

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「 っ!」
「生意気なんだよ! 自分が何の石かも分からない、ただの濁ったクズ石のくせに!」

 狭く歪んだこの娼館で、水揚げ前の彼らがわずかにすがれるアイデンティティすら持たないシオンは、格好のストレス発散の捌け口だった。

「………………どいてください。旦那さまがお待ちです」

 煌めかない灰色の瞳のまま、シオンは何も言い返すこともせずに自らの役目をまっとうしようと身を捩る。
 朱雀もかつて、長い間自分の宝石がわからず屑石と呼ばれていた と語ってくれたことを胸に、歯を食いしばるようにして歩き出そうとした。

 けれどその態度はますます彼らの逆鱗に触れ……

「  っ!」

 膝を蹴られ、髪を掴まれて床へと引きずり倒されてしまった。





 肉付きがよくない とヴィクトールは赤い縄を引き、それが青みを見せるほど透明感のある肌に食い込むのをぼんやりと眺めた。

 薄暗い室内、提灯の赤に似た妖しい灯りが豪奢な室内の寝台の上に転がる体を浮かび上がらせる。
 ヴィクトールは目の前で無様に、かつ美しく晒された三日月の裸体を値踏みするように細い指でなぞりながら小さく溜息を吐く。

 シーツの上に転がるラブラドライトの神秘的な青い光は確かに魅力的だったし、目の前で喘ぐ宝石人も悪くはなかった。けれど、朱雀と言うゴウがもっとも愛する至宝を間近で見てしまったからか、あの鮮烈な命を燃やすような紅に比べたらどうにも印象の薄い水っぽい感じがしてしまう。

「……あ、っ、……う、ぁ……ヴィク、トール……さま…………」

 媚を含んだ呼び声に、ヴィクトールは三日月の胸元に視線を落として歪な笑みを浮かべた。
 亀甲縛りの結び目によって極限まで押し上げられ、強調されたささやかな乳房――その先端にある乳首を、彼は細く長い指先でまるで硬い宝石の原石を検分するように強く、執拗に弄んだ。
 
「ひ、あ、……ッ! あ、あぁああッ!」
「泣きそうな声を出すな。縄がこれほど食い込んで、お前の肌はこんなにも艶を増しているというのに」

 芸術的なまでに繊細に縛られた三日月の四肢は縄の拘束から逃れようとして激しく悶えた。その摩擦がまた縄を肌の奥へと沈め、三日月へ苦悶と共に逃れられない快楽を駆け巡らせる。

「あ っ、あぁ!」 
「静かに。せっかくの輝きが濁るだろう?  丁寧に、中まで検品してやるからな」
 
 ヴィクトールが手に持ったのは、冷たく硬い、だが三日月の胎内を蹂躙するには十分すぎるほど無機質な張り型だった。それが赤い縄で縛られた脚を通り過ぎ、秘部を割って最奥を容赦なく突いた瞬間、三日月の腰が大きく跳ねた。
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