転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

文字の大きさ
119 / 166
第三章

裏庭で⑥

しおりを挟む
「お嬢、お待たせしました」

バメイがコルクの栓と、欠けたり割れたりしたグラス類を持って来てくれた。

[ありがとう、バメイ]

「しかし、怪我だけはしないように気をつけてくだせぇよ。お嬢に怪我させちまったら、あっしが旦那様に怒られちまう」

[うん。ちゃんと気をつけるね。バメイがおとしゃまに怒られたら嫌だもん]

「じゃあ、あっしは調理場に戻りますんで。空になったバケツは調理場の裏口の扉の前にでも置いておいてくだせぇ」

[バメイ、忙しいのにありがとう。夕食楽しみにしてるね]

「任せてくだせぇ」

バメイは拳で自分の胸をドンッと叩き、自信に満ち溢れた姿で調理場へ戻っていった。



[よしっ!!早速、サクッとやっていこうっ!!]

よいしょっと精霊樹の根元に座り込む。
左手はコルクの栓に、右手は欠けちゃったりしたグラスにかざして目を閉じ、魔力と共に試験管になる様にイメージを流していく。
すると、手元がパァァァ~ッと光り輝き、
カラン コロロンッ カラン コロンッ

〔エル、ストップっきゅ〕

ペルルのストップをかける声が聞こえる。
ゆっくりと目を開けると、わたしの手元には30本程のコルクの栓がついた試験管が転がっていた。
出来上がった試験管を1本手に取り確認してみる。うん。なかなかの出来栄えじゃない?
後はドラちゃん達の種と涙を頂くだけだね。

「エルよ。種はドラ達本人からもらうとして、涙はどうするのだ?先程、其方はいい考えがあると言っていたが」

[ふっふっふっ。任せてシロガネ。まぁ、見ててよ。
はぁ~いっ!!注目っ!!マンドラゴラちゃん達、集合ぉ~っ!!]

わたしがマンドラゴラちゃん達に号令をかけると、各々好きに遊んでいたマンドラゴラちゃん達がわたしの元へ集合する。

《エルぅ、どうしたのぉ~?》
《なになにぃ~?》
《あそぶ?あそぶ?》

[今からドラちゃん達には、ふたりで1組のペアを作ってもらいます。そしてその後にジャンケンをして、勝った子は左のシロガネの方へ、負けた子は右手のペルルの方へ移動してね。
それじゃあ、用意、スタートっ!!]

ドラちゃん達、マンドラゴラちゃんは丁度30人(匹?)居るからね。15組のペアができる。

《最初はグー、ジャンケン、ポンっ!!》
《勝ったぁ~っ!!》
《負けたぁ~っ…》

マンドラゴラちゃん達が次々にペアを作り、ジャンケンをはじめる。

《負けたぁぁ~っ!!》

ペアの子に負けたドラちゃんがよよよっ…とよろける。

[勝ったグループ子はこの試験管に1個ずつ種を入れてね。負けたグループ子は涙だよ]

《はぁ~いっ!!》
《はぁ~いっ…》

ジャンケンに勝ったマンドラゴラちゃん達は元気に、負けたマンドラゴラちゃん達は渋々といった感じで返事をした。
勝ったマンドラゴラちゃん達は早速、試験管に種を入れてくれる。

[ジャンケンに負けたマンドラゴラちゃん達は、あ~んしてね?]

《あ~っ》✕15

[そして、インベントリから取り出したるは──]

──ぽい ぽい ぽい ぽぽいっ

《んっ!?!?ンんん~~~っ!!!!酸っぱぁ~いっ!!!!》

ぽろぽろぽろ…ドラちゃん含む、マンドラゴラちゃん達の目から涙が溢れる。
その涙をすかさず風魔法でササッと回収し、試験管に詰める。

[ふっふっふぅ~っ!!マンドラゴラちゃん達の涙、ゲットだぜっ!!!!]

〔うわぁ…〕
「なんと…」

試験管に入ったマンドラゴラちゃん達の涙を掲げ喜ぶわたしに対して、ドン引きするペルルとシロガネ。

《うぅぅぅ~~っ!!!!この酸っぱいの嫌ぁ~っ!!》

《嫌ぁ~~っ!!》

「エルよ…、ドラ達に何を食べさせた?」

口をすぼめてぷるぷる震えるドラちゃん達を不憫に思ったのか、何を食べさたのか?と聞いてくるシロガネ。

[えっ?梅干しだよ?]

「梅干し…」

[やだなぁ~っ。わたしがドラ達に変なのを食べさせる訳ないじゃん。何でそんな事聞くの?]

コテンっと首を傾げて聞くと、

「いや…、なんでもない…」
〔哀れなドラ達…〕

とやっぱりドン引きするシロガネとペルルだった。


しおりを挟む
感想 221

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

処理中です...