転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

文字の大きさ
125 / 166
第三章

サロンにて①

しおりを挟む
〈父:フリッツィSide〉



「───うにゃぁぁぁ~~~っ!!!!」

ポスンッ!!!!

「「「「「エルっ!?!?」」」」」

悲鳴と共に現れたエルと、ペルル殿にシロガネ殿。
どうやら転移で戻って来たらしい。
急な事だったのだったのだろう。エミリーの横のソファーに落ちたエルは、くるくると目を回している。
(因みに、ペルル殿とシロガネ殿は、見事シュタッと着地を決めていた。)

「うにゅ~ぅ…っ」

エルが弱々しく起き上がり、ふるふると頭を振る。

「あらぁ、エルちゃん大丈夫かしらん?」

起きあがったエルを受け止め、おでこや首に手を当て、エルの様子を確認するエミリー。

「だいじょうび… にゃい…」

「あらぁ…。エルちゃん。冷たいお茶でもどうかしらん?」

「のみゅ…」

「セバス、今すぐエルに冷たいお茶と、よく冷えたタオルを」

エミリーの視線を受け、わたしが指示を出すと「かしこまりました」と一礼し、サロンから出ていくセバス。
セバスに任せておけば問題はない。

しばらくすると、ワゴンに冷たいお茶と冷やしたタオルを乗せたセバスが戻って来た。
どうやら冷たいお茶は全員分あるらしい。
エルが戻って来た事で、話が長くなると予想しての様だ。助かる。

「エル、こちらへおいで」

エミリーにもたれかかっていたエルを抱き上げ、自分のソファーに座る。
エルを膝に乗せ、お茶を飲ませ、冷えたタオルをおでこに当ててやる。

「ふにゅ~っ…」

おでこに当てたタオルが気持ち良かったらしい。
やっと落ち着いた様だ。

「ねぇ、エルちゃん、裏庭は楽しかったかしら?」

「どっきぃ~っ!!!!」

“裏庭”という言葉を聞いた途端、エルの目がうろうろと動き出し、そわそわと落ち着きがなくなる。
しかしエル…。ベタに「ドキっ」って言ったね。

「エルちゃん?」

妻がにっこり微笑むが、その目は全く笑っていない。

「あびゃびゃびゃびゃ…っ」

物凄くわかりやすく慌てるエル。うちの子、こんなにわかりやすくて大丈夫だろうか?

「エルちゃん、裏庭は楽しかったかしら?」

うぉ…。妻のダメ押しの2回目が怖い…。
我が妻なれど、あの笑顔は怖いのだ。

「ちゃ…ちゃのひかっちゃれすっ!!」

びしっ!!と敬礼をし、答えるエル。

「そう。よかったわ。で?裏庭でどんな遊びをしたのかしら?」

こてんと小首を傾げる妻。その姿は大変愛らしく美しい。
しかし、今のエルには逆効果だろう。

「あう…、あうあうあう…っ」

どこから話していいか迷っているのか、口を開けたり閉じたりパクパクしている。
そしてペルル殿やシロガネ殿にチラチラ視線を送り、助けを求めている。

「あ~。事後報告になって申し訳ないのだが、エルの話を聞いてやってくれ。
エル、インベントリの中から持ってきた物を取り出すのだ。現物を見せた方が話が早い」

しかし、裏庭から持ってきた物とは一体…。
何やらあまりいい予感がしないのは私だけだろうか…?


しおりを挟む
感想 221

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

処理中です...