転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

文字の大きさ
142 / 166
第四章

王都1日目④

しおりを挟む
「さぁ、そろそろ転移しようか。
では全員、陣の上に乗ってくれ」

おとしゃまの指示に従い、セバス以外の全員が転移陣の上に乗る。

「旦那座、留守の間はわたくしにお任せください」

そうなのです。
セバスはこの家の家令として、わたし達一家が王都に行っている間、留守を預かってくれるのです。
頼もしい限りなのですよ。

「あぁ、セバス。留守の間は領地の事、この家の事をよろしく頼んだよ」

「かしこまりました。どうぞお任せください。
そしてどうかお気をつけて」

「ありがとう。では行ってくる。
『王都のタウンハウスに転移』」

おとしゃまの言葉に反応して、支柱の上の十二支が持つ珠が一斉に青白く輝く。
そして、その光は支柱の彫刻の溝を通って、足元の転移陣へと伸び、同じく青白く輝き始める。
どうやら転移陣が起動する様だ。

「お坊ちゃま、お嬢様方、いってらっしゃいませ」

「「「[行ってきますっ!!]」」」

わたしはお兄ちゃんズとお姉ちゃんと一緒に、セバスに挨拶をしながら手をぶんぶん振る。
するとセバスが微笑みながら、手を振り返してくれた。

十二支が持つ珠と、転移陣の青白い光がどんどん強く、濃くなり、目を開けていられない。

うにゃ~っ!!まぶしぃ~~っ!!!!

わたしはぎゅっと目を瞑って、おとしゃまの腕に抱きつく。
そして次の瞬間、ふわっと体が浮く感覚におそわれ、その後、今度はふわっと着地する感覚におそわれる。
今のが転移陣での移動する時の感覚なのかな??
アレだね、エレベーターが動く時と、止まる時のちょっとした浮遊感に似てるかも。

「エル、もう目を開けても大丈夫だよ」

目を瞑りながら、転移の浮遊感について考えていると、おとしゃまから声をかけられる。
恐る恐る目を開いてみると、そこは領地の家の地下とはまた別の場所だった。
でも、12本の支柱とその上の動物の彫刻、足元の転移陣は同じ。
自分の家の地下と、この場所の違いを探しなから、キョロキョロと辺りを見回す。
すると、我が家に残ったはずのセバスと目がパチリと合う。
えっ??はぁ~っ!?!?

「えっ…、ちぇばちゅ??」

「旦那様。奥様。お坊ちゃま、お嬢様方。
王都のタウンハウスにようこそお越しくださいました」

「ほぇぇ~っ!?!?」

声も、左手を胸に当てお辞儀をする所作も、セバスにそっくりっ!!
ドッペルゲンガー、ドッペルゲンガーだよぅ…っ!!。

「あぁ、エルはチャールズの事は、見るのも聞くのも全く初めてだったね。
彼はね、我が家の家令セバスチャンの双子の弟だよ」

おとしゃまがくすくす笑いながら、ドッペルゲンガーの正体を教えてくれる。

「改めまして、エルシーアお嬢様。
わたくしはセバスチャンの双子の弟、チャールズと申します。
此度はエルシーアお嬢様にお会いできて、大変嬉しゅうございます」

「あっ…、はい。
わちゃし えりゅちーあ れしゅ」

チャールズさんからご丁寧な挨拶をもらってしまい、わたしは戸惑いながらも名前を名乗る。

「ふふっ。ありがとうございます。
では皆さま、地下を抜けてサロンに参りましょう。
そこで皆さまのお世話をさせていただく者を紹介いたします」

そう言って、チャールズさんは先導をしながら歩き出した。


しおりを挟む
感想 221

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

処理中です...