月の綺麗な夜に終わりゆく君と

石原唯人

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私はあなたを認めない

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試験勉強を終えて彼女の自宅を出て駅の方へ歩いていると、しばらくして彼女の妹が呼び止められた。
「何か用事?」
駅の近くまで来てから妹さんに呼び止められたので何かあったのかと思って確認する。
「そうですね。一つだけ聞きたいことがあったので、お姉ちゃんから何か聞きましたか?」
妹さんは家から走って来たのか肩で息をしながら、そんな事を聞いてくる。
「いや、何も聞いてないよ」
質問が抽象的で何の件を言っているのかわからず、正直に答える。
「なら、本当に何も知らないのですね」
「うん、だから良かったら教えてくれないかな」
わざわざ家から離れてから確認をするくらいなので彼女には知られたくない事なのか家の中では話しにくい事なのかどちらにしても僕にはわからないので聞くしかない。

「嫌です、私は貴方を認めていません」
僕の質問は明確な拒絶の言葉であっさりと断られた。
「それにそのうちわかる事ですから、後悔する前にお姉ちゃんから離れる事をお勧めします」
そのまま言いたい事だけ言い終えると妹さんは、こちらを振り返る事もなく歩いて行ってしまった。
お昼の事と合わせて考えると、彼女は僕に何か隠し事をしているのだろう。
そしてそれを妹さんも知っている。
妹さんの言っている感じだと、その隠し事は彼女に尋ねたら教えてくれる類の秘密みたいだけど、僕は自分から尋ねる気にはなれなかった。
今の関係を壊したくなかったし、何よりも今の距離感から彼女の方へ一歩踏み込む事が怖かった。
家に着いてから用事を済ませても眠る気になれず、かといってテスト勉強の続きをする気にもなれず、その日は日付が変わるまで眠れなかった。
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