詩集 青銅の月

火山竜一

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飛び立てよ蠅

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  「飛び立て蠅よ」

                 火山竜一(ひやま りゅういち)

飛び立て蠅よ
空はお前のためにある
あの青い空は しかし
お前には何もしやしない

飛び立て蠅よ
空はお前のためにある
あの青い空は しかし
お前のことなどどうでもいいのさ

そうさ蠅よ
空はお前のものじゃない
空は地べたを眺め
お前は空を見あげるだけだ

そうさ蠅よ
地べたでいくら肥え太ろうと
空は何も言わないさ
地べたはお前の全てだからね

でも蠅よ
地べたで退屈に溺れるなら
地べたで一人ぼっちになるのなら
知り尽くした地べたに何があるのか

でも蠅よ
地べたを暗すぎると思うのならば
地べたを狭すぎると思うのならば
虚ろな己に気が付くはずだ

よく聞け蠅よ
そんなお前の世界は
空なのだ
行ったこともない空なのだ

よく聞け蠅よ
後は
死しかないのなら
飛び立てよ

そうだ蠅よ
大空の中で
知るだろう
己が黒い点にすぎぬこと

そうだ蠅よ
ただひたすらに 
飛び続けろ
空はそういうお前のものなのさ

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