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「ど、どうするって」
もう、ライルの師匠であることを隠せないのかもしれない。
「武闘会後、ライルの行動を調べてもらった。毎朝、君と修行をしているそうだね」
うわっ。さすが、権力者。修行中、他の人の気配なんて感じなかったんですけど。影の者とかがいるんですかね。
「はい。ライルさんから頼まれて身体強化を教えています」
「目的は? 誰に頼まれた」
「目的はライルさんが武闘会でジョージさんに勝つこと。頼んできたのはライルさんです」
王太子の微笑みが深くなって怖い。
「最初から変だと思っていたんだ。入学式に遅刻しそうになって、私にぶつかるなんて」
それは変ですよね。たぶん、それがゲームの強制力で。
なんて言い訳もできず、ヴィオラは困った。
「グラント領では何が起きているんだ? 急に豊かになったかと思うと、娘は私に近づく」
私は近づきたくなかったのに、あなたが生徒会に誘ったんですが。
「第二王子派というわけでもないようだが。グラント領を支援しているのはどこだ。まさか、他国ではあるまいな」
急に豊かになったから自力ではないと思われている。強いて言うなら、支援したのは前世のヴィオラ。まさか、こんなふうに疑われるとは思わなかった。
「ふむ。少なくとも、君は何も知らないようだな」
えーっと、色々喋って、私の反応を確認していたということでしょうか。
ヴィオラが固まっているうちにジョージ王太子は話を進めていく。
「グラント伯の企みか」
ヴィオラはハッとなった。
「父は関係ありません」
断罪フラグ? 悪役令嬢を逃れようとしたら、父親が悪役になるの?
「じゃあ、誰なんだい」
「誰もいません」
どうすればいい。ヴィオラは必死で考える。
「私の行動を全て監視してください。私がこの国を裏切るような者ではないこと、父も母も私もどこの派閥にも所属していない中立派であることがわかるでしょう」
王太子が目を細める。
「そうだね。とりあえず、君を尋問しても無駄そうだ。その代わり、一つお願いがあるんだけど」
このタイミングでのお願い、怖さしかない。
「大丈夫。簡単なことだよ。さ、戻ろうか」
そう言うと、王太子はすっと、ヴィオラから離れた。
何を頼まれるのかわからず、その後の打ち上げはもう、ヴィオラにとって苦痛でしかなかった。
次の日の朝。
「ライル、ごめんなさい」
山の中の修行場所でヴィオラは土下座する勢いでライルに謝っていた。
「今日から一緒に修行させてもらう。よろしく」
そのヴィオラの後ろから、にこやかにジョージ王太子が現れる。カジュアルな格好でもキラキラ感が抜けていない。
ライルは顔をしかめた。
「ヴィオラさん、気にしないでください。断ることはできないのはわかっています」
ライルは武闘会以降、なぜか、ヴィオラのことを師匠と呼ばなくなった。勝たせることができなかったせいだろうか。おまけにジョージ王太子が修行に参加したいとお願いを断れずに連れてきて。ライルが王太子に勝とうとしているのに、これじゃあ台無しだ。
「修行時間はヴィオラもライルも私のことを呼び捨てにしてよ」
にこにこしている王太子をライルは冷たい目で見た。
「ヴィオラさんのことを呼び捨てにしないでください」
「お互い、呼び捨てが一番、よくない?」
ライルがヴィオラの様子を伺うので、ヴィオラはうなずいた。
「ライル、お互いに呼び捨てにしましょう」
「ヴィ、ヴィオラ」
ライルは呼び捨てに抵抗があるらしいが、仕方ない。
ういえば、『聖女は愛に囚われる』のラストはヒロインとヒロインの選んだ攻略対象者が世界を救うために旅立つシーンだった。
世界を救うということはラスボスと戦うということのはず。つまり、攻略対象者が強くなっていれば、ヒロインのアリアナは楽になる。
うんうん。じゃあ、頑張ろう。と、ヴィオラは気持ちを切り替えた。
「じゃあ、ライル。ジョージに身体強化の基本を教えてあげて。間違った点があれば、私が修正するから」
「俺がですか?」
「私の一番弟子だもの。それに人に教えると、いいかげんなところがあれば、気づくことができるから」
「わかりました」
ライルがキリッと顔を引き締める。男らしいライルとキラキラのジョージ。どう見ても、ゲームのスチルだ。
「それでは、俺の言うことをよく聞いてくださいね。ジョージ」
「ああ、ライル」
何だか、火花が散っているような気もするけど、二人とも頑張れ~。
ヴィオラは開き直って気楽になっていた。
もう、ライルの師匠であることを隠せないのかもしれない。
「武闘会後、ライルの行動を調べてもらった。毎朝、君と修行をしているそうだね」
うわっ。さすが、権力者。修行中、他の人の気配なんて感じなかったんですけど。影の者とかがいるんですかね。
「はい。ライルさんから頼まれて身体強化を教えています」
「目的は? 誰に頼まれた」
「目的はライルさんが武闘会でジョージさんに勝つこと。頼んできたのはライルさんです」
王太子の微笑みが深くなって怖い。
「最初から変だと思っていたんだ。入学式に遅刻しそうになって、私にぶつかるなんて」
それは変ですよね。たぶん、それがゲームの強制力で。
なんて言い訳もできず、ヴィオラは困った。
「グラント領では何が起きているんだ? 急に豊かになったかと思うと、娘は私に近づく」
私は近づきたくなかったのに、あなたが生徒会に誘ったんですが。
「第二王子派というわけでもないようだが。グラント領を支援しているのはどこだ。まさか、他国ではあるまいな」
急に豊かになったから自力ではないと思われている。強いて言うなら、支援したのは前世のヴィオラ。まさか、こんなふうに疑われるとは思わなかった。
「ふむ。少なくとも、君は何も知らないようだな」
えーっと、色々喋って、私の反応を確認していたということでしょうか。
ヴィオラが固まっているうちにジョージ王太子は話を進めていく。
「グラント伯の企みか」
ヴィオラはハッとなった。
「父は関係ありません」
断罪フラグ? 悪役令嬢を逃れようとしたら、父親が悪役になるの?
「じゃあ、誰なんだい」
「誰もいません」
どうすればいい。ヴィオラは必死で考える。
「私の行動を全て監視してください。私がこの国を裏切るような者ではないこと、父も母も私もどこの派閥にも所属していない中立派であることがわかるでしょう」
王太子が目を細める。
「そうだね。とりあえず、君を尋問しても無駄そうだ。その代わり、一つお願いがあるんだけど」
このタイミングでのお願い、怖さしかない。
「大丈夫。簡単なことだよ。さ、戻ろうか」
そう言うと、王太子はすっと、ヴィオラから離れた。
何を頼まれるのかわからず、その後の打ち上げはもう、ヴィオラにとって苦痛でしかなかった。
次の日の朝。
「ライル、ごめんなさい」
山の中の修行場所でヴィオラは土下座する勢いでライルに謝っていた。
「今日から一緒に修行させてもらう。よろしく」
そのヴィオラの後ろから、にこやかにジョージ王太子が現れる。カジュアルな格好でもキラキラ感が抜けていない。
ライルは顔をしかめた。
「ヴィオラさん、気にしないでください。断ることはできないのはわかっています」
ライルは武闘会以降、なぜか、ヴィオラのことを師匠と呼ばなくなった。勝たせることができなかったせいだろうか。おまけにジョージ王太子が修行に参加したいとお願いを断れずに連れてきて。ライルが王太子に勝とうとしているのに、これじゃあ台無しだ。
「修行時間はヴィオラもライルも私のことを呼び捨てにしてよ」
にこにこしている王太子をライルは冷たい目で見た。
「ヴィオラさんのことを呼び捨てにしないでください」
「お互い、呼び捨てが一番、よくない?」
ライルがヴィオラの様子を伺うので、ヴィオラはうなずいた。
「ライル、お互いに呼び捨てにしましょう」
「ヴィ、ヴィオラ」
ライルは呼び捨てに抵抗があるらしいが、仕方ない。
ういえば、『聖女は愛に囚われる』のラストはヒロインとヒロインの選んだ攻略対象者が世界を救うために旅立つシーンだった。
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うんうん。じゃあ、頑張ろう。と、ヴィオラは気持ちを切り替えた。
「じゃあ、ライル。ジョージに身体強化の基本を教えてあげて。間違った点があれば、私が修正するから」
「俺がですか?」
「私の一番弟子だもの。それに人に教えると、いいかげんなところがあれば、気づくことができるから」
「わかりました」
ライルがキリッと顔を引き締める。男らしいライルとキラキラのジョージ。どう見ても、ゲームのスチルだ。
「それでは、俺の言うことをよく聞いてくださいね。ジョージ」
「ああ、ライル」
何だか、火花が散っているような気もするけど、二人とも頑張れ~。
ヴィオラは開き直って気楽になっていた。
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