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集合
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「ヴィオラ様が目を覚まされました」
魔法でできた蝶が部屋に入ると、一枚の紙に変わり、文字が読めるようになった。ヴィオラにつけていた影からの連絡だ。
イアンはホッと息を吐いた。ずっと、そばにいたかったが、追い出されてしまい、不安で仕方なかった。
目が覚めてすぐに見舞いに行ったら、ヴィオラの負担になるだろうか。
迷っていると、また、蝶が現れる。
「ヴィオラ様のお父上が到着」
挨拶しておきたいと、イアンは身支度を始めた。そこへまた、蝶が現れる。
「ヴィオラ様、療養のため、お父上と共にグラント領へ出発されました」
「え?」
もう出発したのか。速い、速すぎる。意識がなかったのにそんなにすぐに移動して大丈夫なのか? まだ、目を覚ました姿も見ていないのに。
「後を追う」
決心したイアンの元にまた蝶が来た。
「ライル殿が後を追ってグラント領に向かいました」
イアンは思わず、そのメッセージの紙を握りつぶした。
「私に黙って行ったの?」
ジョセフィンは思わず、声を上げた。
「お嬢様」
はしたないですよというニュアンスが侍女の声にこもっている。
「ごめんなさい」
ジョセフィンは大きく息を吸った。ヴィオラは私のことを友達と思っていないのだろうか。いいえ、そんなことは関係ない。私が友達と思っているので充分なのだから。
「お友達をお見舞いに行くから旅行の準備をしてちょうだい」
「あの、授業は?」
「休みますと連絡してちょうだい。それから、お父様の許可を取ってください。お父様が断りそうになったら、王太子様と一緒ですって言って。それで許してくれるでしょうから」
「王太子様とご一緒されるんですか?」
「私が誘えば、すぐにのってくるわ」
そう、私の誘いが言い訳になるから。
「急いで手紙を書かないと」
ジョセフィンは事務的な白い便箋を手に取った。
「ピーター、この国で経済危機にありながら、見事に復興した領があるんだ。授業だけでなく、そういう実態を学ぶことも重要だと思うんだが」
トムの言葉にピーターはジロリとにらんだ。
「グラント領のことでしょう。学びたいなんて格好をつけずに正直に言ってください。ヴィオラ様のお見舞いに行きたいんでしょう」
「ああ、訪問のついでに見舞うのもいいかもしれない」
ピーターはため息をついた。格好をつけずに婚約の申し込みをすればいいのに。
女性不信だった殿下はやっと心を惹かれる少女に出会った。ただ、まだ、普通に行動するようになるには時間がかかるのかもしれない。
ただ、ヴィオラ様に惹かれている男子は大勢いる。のんびりしている場合ではない。まあ、それまで、ヴィオラ様に変な虫がつかないように見張るのは自分しかいない。
ピーターは旅行の準備を始めた。
「ジョセフィンから手紙だと?」
ジョージは顔をしかめた。ジョセフィンとの婚約をまわりが固めようとしている時期に手紙を送ってくるなんて、どういうつもりだ。お互い、婚約の気持ちはないというので一致しているのに。
それより、ヴィオラはどうなったのだろう。治癒力に優れた神官を派遣するように神殿には圧力をかけておいたが、他にできることはないだろうか。ヴィオラを呪ったのはジョセフィンとの婚約を推し進めようとしている者に違いない。突き止めて、破滅させてやる。
気もそぞろにジョージはジョセフィンの手紙を開いた。
「グラント領へ見舞いに行くだと?」
ヴィオラの意識が戻ったというのにまだ、自分のところに情報が来ていないのはどういうことだ。
本当に大丈夫なのか?
グラント領までの道は険しいと聞くのに。
「誰か! グラント領に小旅行をするから準備を。急げ」
ジョセフィンの言う通り、単独で女子を見舞いに行くことはできない。だが、婚約者候補と生徒会の一員を見舞うというのであれば、形式が整う。
「不思議な世界だ」
王族のしきたり、貴族のしきたり。それらを枷と感じないほど、慣れ親しんで来た。
その世界がヴィオラのことを考えるたびに崩れてしまう。
「悪くない」
ジョージはつぶやいた。
「どういうことだ。七人もの生徒が急に休暇届を出すなんて。しかも、その中に王太子様もいるとは」
ハーモニー学園の学園長は頭を抱えた。単なる休暇ならいい。全員、無期限とはどういうことだ。学園の運営に問題があると思われたら、どうなる。ただでさえ、キャンプの襲撃事件で評判が落ちてしまったのに。
「どうされました?」
呼び出していたミューラー先生が部屋に入ってきた。
「君は原因を知っているかね。突然、大勢の生徒が休暇を取ったんだが」
「ああ、見舞いですね」
けろりとミューラー先生が答える。
「特級クラスのヴィオラ嬢が呪われた件でしばらく療養するそうです。それを見舞いに行くため、休暇を取ったのでしょう」
「だが、なぜ、無期限に」
「一緒に学園に戻ってくるつもりなのでしょう。学園長、よかったら、私が皆に学園に戻るように説得してきましょう」
「た、頼む。よろしく頼んだぞ」
ミューラーはグラント領に行く口実を得て、にやりと笑った。
「あれだけの魔力を持つヴィオラさん、両親にも会ってみたかったんです」
魔法でできた蝶が部屋に入ると、一枚の紙に変わり、文字が読めるようになった。ヴィオラにつけていた影からの連絡だ。
イアンはホッと息を吐いた。ずっと、そばにいたかったが、追い出されてしまい、不安で仕方なかった。
目が覚めてすぐに見舞いに行ったら、ヴィオラの負担になるだろうか。
迷っていると、また、蝶が現れる。
「ヴィオラ様のお父上が到着」
挨拶しておきたいと、イアンは身支度を始めた。そこへまた、蝶が現れる。
「ヴィオラ様、療養のため、お父上と共にグラント領へ出発されました」
「え?」
もう出発したのか。速い、速すぎる。意識がなかったのにそんなにすぐに移動して大丈夫なのか? まだ、目を覚ました姿も見ていないのに。
「後を追う」
決心したイアンの元にまた蝶が来た。
「ライル殿が後を追ってグラント領に向かいました」
イアンは思わず、そのメッセージの紙を握りつぶした。
「私に黙って行ったの?」
ジョセフィンは思わず、声を上げた。
「お嬢様」
はしたないですよというニュアンスが侍女の声にこもっている。
「ごめんなさい」
ジョセフィンは大きく息を吸った。ヴィオラは私のことを友達と思っていないのだろうか。いいえ、そんなことは関係ない。私が友達と思っているので充分なのだから。
「お友達をお見舞いに行くから旅行の準備をしてちょうだい」
「あの、授業は?」
「休みますと連絡してちょうだい。それから、お父様の許可を取ってください。お父様が断りそうになったら、王太子様と一緒ですって言って。それで許してくれるでしょうから」
「王太子様とご一緒されるんですか?」
「私が誘えば、すぐにのってくるわ」
そう、私の誘いが言い訳になるから。
「急いで手紙を書かないと」
ジョセフィンは事務的な白い便箋を手に取った。
「ピーター、この国で経済危機にありながら、見事に復興した領があるんだ。授業だけでなく、そういう実態を学ぶことも重要だと思うんだが」
トムの言葉にピーターはジロリとにらんだ。
「グラント領のことでしょう。学びたいなんて格好をつけずに正直に言ってください。ヴィオラ様のお見舞いに行きたいんでしょう」
「ああ、訪問のついでに見舞うのもいいかもしれない」
ピーターはため息をついた。格好をつけずに婚約の申し込みをすればいいのに。
女性不信だった殿下はやっと心を惹かれる少女に出会った。ただ、まだ、普通に行動するようになるには時間がかかるのかもしれない。
ただ、ヴィオラ様に惹かれている男子は大勢いる。のんびりしている場合ではない。まあ、それまで、ヴィオラ様に変な虫がつかないように見張るのは自分しかいない。
ピーターは旅行の準備を始めた。
「ジョセフィンから手紙だと?」
ジョージは顔をしかめた。ジョセフィンとの婚約をまわりが固めようとしている時期に手紙を送ってくるなんて、どういうつもりだ。お互い、婚約の気持ちはないというので一致しているのに。
それより、ヴィオラはどうなったのだろう。治癒力に優れた神官を派遣するように神殿には圧力をかけておいたが、他にできることはないだろうか。ヴィオラを呪ったのはジョセフィンとの婚約を推し進めようとしている者に違いない。突き止めて、破滅させてやる。
気もそぞろにジョージはジョセフィンの手紙を開いた。
「グラント領へ見舞いに行くだと?」
ヴィオラの意識が戻ったというのにまだ、自分のところに情報が来ていないのはどういうことだ。
本当に大丈夫なのか?
グラント領までの道は険しいと聞くのに。
「誰か! グラント領に小旅行をするから準備を。急げ」
ジョセフィンの言う通り、単独で女子を見舞いに行くことはできない。だが、婚約者候補と生徒会の一員を見舞うというのであれば、形式が整う。
「不思議な世界だ」
王族のしきたり、貴族のしきたり。それらを枷と感じないほど、慣れ親しんで来た。
その世界がヴィオラのことを考えるたびに崩れてしまう。
「悪くない」
ジョージはつぶやいた。
「どういうことだ。七人もの生徒が急に休暇届を出すなんて。しかも、その中に王太子様もいるとは」
ハーモニー学園の学園長は頭を抱えた。単なる休暇ならいい。全員、無期限とはどういうことだ。学園の運営に問題があると思われたら、どうなる。ただでさえ、キャンプの襲撃事件で評判が落ちてしまったのに。
「どうされました?」
呼び出していたミューラー先生が部屋に入ってきた。
「君は原因を知っているかね。突然、大勢の生徒が休暇を取ったんだが」
「ああ、見舞いですね」
けろりとミューラー先生が答える。
「特級クラスのヴィオラ嬢が呪われた件でしばらく療養するそうです。それを見舞いに行くため、休暇を取ったのでしょう」
「だが、なぜ、無期限に」
「一緒に学園に戻ってくるつもりなのでしょう。学園長、よかったら、私が皆に学園に戻るように説得してきましょう」
「た、頼む。よろしく頼んだぞ」
ミューラーはグラント領に行く口実を得て、にやりと笑った。
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