41 / 49
お客様
しおりを挟む
「レイフ! やめなさい」
ヴィオラは叫んだ。
家でもライルの修行は行う。元々、家族で毎朝、鍛錬していたので、ハイラム、マドラ、レイフと家族全員が参加することになった。
さらにそこにふらふらとブランが顔を出したら、そのとたん、レイフが水魔法をぶつけたのだ。
「この子は私の召喚獣のブラン。悪いドラゴンじゃないから」
「ううん。悪い。召喚獣のくせに、いつでも、姉様と一緒にいられるのに、呪いを防ぐことすらできなかったんでしょ。そんな役立たずはいらない」
レイフは攻撃を続けながら、ヴィオラに向かって、目を輝かせた。
「そうだ、僕、姉様の召喚獣になるよ。そうすれば、いつでも、一緒。ね、契約しよ」
シスコンにしても、拗らせ過ぎじゃないだろうか。ヴィオラはどう言い聞かせたらいいのか、困った。
「レイフ!」
マドラがレイフの頭を押さえつけた。
「ヴィオラの言うように攻撃をやめなさい。役立たずはいらないなんて、そんなことを言ってはいけません」
とたんにレイフがおとなしくなって、攻撃をやめる。
「だって~」
「だってじゃありません」
「あの、今、どうやって、レイフさんに近づいたんですか?」
ライルはヴィオラに尋ねた。
ライルの目にはにこにこ見学していた貴族の奥様が一瞬でレイフの元に移動したように見えた。
「転移魔法が使えるのですか?」
「ううん、風魔法と身体強化。すごいでしょ。防御力を上げようと努力していたら、自然に身についたらしいんだけど」
つまり、連発されている水魔法攻撃を一瞬でくぐり抜けたことになる。
「さすが、師匠のお母様」
ライルもヴィオラから訓練を受けることで短期間で強くなった。それがずっと、家族で訓練を続けていたのなら。
「追いつくのは大変だな」
ライルは闘志を燃やした。
「お嬢様! お客様がいらっしゃいました」
ミヤが大きく手を振りながら、やってきた。
「お客様って、どなた?」
「トム様、ピーター様です」
「え?」
屋敷に戻ると、トムと大きな荷物を抱えたピーターがいた。
「よかった。元気そうだね」
トムがヴィオラに微笑んだ。なんだか、学園にいる時より、美形に見えるのが不思議だ。
「お見舞いにこちらを」
ピーターが差し出した箱をミヤがさっと、受け取る。
「ありがとうございます」
「娘のためにわざわざありがとう。よかったら、うちに泊まっていかんかね」
ハイラムの誘いにトムは優雅に乗った。
「ありがとうございます。実はグラント領の最近の発展には興味を持っていまして、滞在中にお話が聞けたら……」
ハイラムとトムが喋りながら、屋敷に入っていくと、その後にピーターが荷物を持ってついていく。
「お見舞いにあと何人、来るでしょうかね」
ミヤのつぶやきにヴィオラは手を振った。
「そんな来るわけないじゃない。こんな不便なところに」
ヴィオラの言葉を無視して、マドラはミヤに命じた。
「あなたが予想する人数のお客様が来るという前提で準備をしてちょうだい。テレサに最優先だと伝えて」
テレサというのは侍女長だ。
ミヤがすばやく、屋敷に入っていく。
「母様、大げさでは?」
ヴィオラの言葉にマドラとレイフが大げさにため息をつく。
「姉様は自分のことが本当にわかっていないんですね」
ドーン。その時、大音響と共に地面が揺れた。
「な、何? 地震?」
よろめいてもいないのにヴィオラの体をライルが支えた。
「見てきます」
「僕も」
走っていくレイフの後をブランが追った。
「中で待ちましょうか?」
「いえ、レイフたちなら、すぐに確認して戻ってくると思うのでここで待ちます」
ヴィオラが予想するより、レイフたちが戻ってくるのは遅かった。
そして、戻ってきた時、その後ろには立派な馬車が二台も連なっていた。
「姉様、すごい、すごいよ。あのグラント領に入る細い道を魔法で広くしたんだ。これからは馬車が通れるんだよ」
駆け寄って来たレイフが興奮してしゃべる。
「え、誰がそんなことを」
膨大な魔力が必要なはずなのに。
馬車が目の前に止まり、イアンにエスコートされて、ジョセフィンが降りて来た。
「ヴィオラ、お見舞いに来ましたわ」
「姉様のお友達って、すごいね」
レイフが目をキラキラさせる。
「土魔法を使えば、簡単ですわ」
ジョセフィンが胸を張る。簡単って。朝の訓練に参加していた期間は一番短いのに。きっと、参加していない時も一人で鍛錬していたのだろう。
「ジョセフィン」
ヴィオラは思わず、ジョセフィンに抱きついた。
「もう、すっかり、大丈夫なようだね」
後ろの馬車から降りて来たのはジョージ王太子だった。
慌てて、正式な挨拶をしようとするヴィオラたちをジョージは止めた。
「ハーモニー学園の生徒会仲間として、見舞いに来たんだ。学園内と同じように身分を意識しないでほしい」
「ありがとうございます」
普通に頭を下げるヴィオラにレイフがささやいた。
「これでお客様は全員?」
「たぶん」
ヴィオラはそう答えたが、次の日にはミューラー先生が来るのだった。
ヴィオラは叫んだ。
家でもライルの修行は行う。元々、家族で毎朝、鍛錬していたので、ハイラム、マドラ、レイフと家族全員が参加することになった。
さらにそこにふらふらとブランが顔を出したら、そのとたん、レイフが水魔法をぶつけたのだ。
「この子は私の召喚獣のブラン。悪いドラゴンじゃないから」
「ううん。悪い。召喚獣のくせに、いつでも、姉様と一緒にいられるのに、呪いを防ぐことすらできなかったんでしょ。そんな役立たずはいらない」
レイフは攻撃を続けながら、ヴィオラに向かって、目を輝かせた。
「そうだ、僕、姉様の召喚獣になるよ。そうすれば、いつでも、一緒。ね、契約しよ」
シスコンにしても、拗らせ過ぎじゃないだろうか。ヴィオラはどう言い聞かせたらいいのか、困った。
「レイフ!」
マドラがレイフの頭を押さえつけた。
「ヴィオラの言うように攻撃をやめなさい。役立たずはいらないなんて、そんなことを言ってはいけません」
とたんにレイフがおとなしくなって、攻撃をやめる。
「だって~」
「だってじゃありません」
「あの、今、どうやって、レイフさんに近づいたんですか?」
ライルはヴィオラに尋ねた。
ライルの目にはにこにこ見学していた貴族の奥様が一瞬でレイフの元に移動したように見えた。
「転移魔法が使えるのですか?」
「ううん、風魔法と身体強化。すごいでしょ。防御力を上げようと努力していたら、自然に身についたらしいんだけど」
つまり、連発されている水魔法攻撃を一瞬でくぐり抜けたことになる。
「さすが、師匠のお母様」
ライルもヴィオラから訓練を受けることで短期間で強くなった。それがずっと、家族で訓練を続けていたのなら。
「追いつくのは大変だな」
ライルは闘志を燃やした。
「お嬢様! お客様がいらっしゃいました」
ミヤが大きく手を振りながら、やってきた。
「お客様って、どなた?」
「トム様、ピーター様です」
「え?」
屋敷に戻ると、トムと大きな荷物を抱えたピーターがいた。
「よかった。元気そうだね」
トムがヴィオラに微笑んだ。なんだか、学園にいる時より、美形に見えるのが不思議だ。
「お見舞いにこちらを」
ピーターが差し出した箱をミヤがさっと、受け取る。
「ありがとうございます」
「娘のためにわざわざありがとう。よかったら、うちに泊まっていかんかね」
ハイラムの誘いにトムは優雅に乗った。
「ありがとうございます。実はグラント領の最近の発展には興味を持っていまして、滞在中にお話が聞けたら……」
ハイラムとトムが喋りながら、屋敷に入っていくと、その後にピーターが荷物を持ってついていく。
「お見舞いにあと何人、来るでしょうかね」
ミヤのつぶやきにヴィオラは手を振った。
「そんな来るわけないじゃない。こんな不便なところに」
ヴィオラの言葉を無視して、マドラはミヤに命じた。
「あなたが予想する人数のお客様が来るという前提で準備をしてちょうだい。テレサに最優先だと伝えて」
テレサというのは侍女長だ。
ミヤがすばやく、屋敷に入っていく。
「母様、大げさでは?」
ヴィオラの言葉にマドラとレイフが大げさにため息をつく。
「姉様は自分のことが本当にわかっていないんですね」
ドーン。その時、大音響と共に地面が揺れた。
「な、何? 地震?」
よろめいてもいないのにヴィオラの体をライルが支えた。
「見てきます」
「僕も」
走っていくレイフの後をブランが追った。
「中で待ちましょうか?」
「いえ、レイフたちなら、すぐに確認して戻ってくると思うのでここで待ちます」
ヴィオラが予想するより、レイフたちが戻ってくるのは遅かった。
そして、戻ってきた時、その後ろには立派な馬車が二台も連なっていた。
「姉様、すごい、すごいよ。あのグラント領に入る細い道を魔法で広くしたんだ。これからは馬車が通れるんだよ」
駆け寄って来たレイフが興奮してしゃべる。
「え、誰がそんなことを」
膨大な魔力が必要なはずなのに。
馬車が目の前に止まり、イアンにエスコートされて、ジョセフィンが降りて来た。
「ヴィオラ、お見舞いに来ましたわ」
「姉様のお友達って、すごいね」
レイフが目をキラキラさせる。
「土魔法を使えば、簡単ですわ」
ジョセフィンが胸を張る。簡単って。朝の訓練に参加していた期間は一番短いのに。きっと、参加していない時も一人で鍛錬していたのだろう。
「ジョセフィン」
ヴィオラは思わず、ジョセフィンに抱きついた。
「もう、すっかり、大丈夫なようだね」
後ろの馬車から降りて来たのはジョージ王太子だった。
慌てて、正式な挨拶をしようとするヴィオラたちをジョージは止めた。
「ハーモニー学園の生徒会仲間として、見舞いに来たんだ。学園内と同じように身分を意識しないでほしい」
「ありがとうございます」
普通に頭を下げるヴィオラにレイフがささやいた。
「これでお客様は全員?」
「たぶん」
ヴィオラはそう答えたが、次の日にはミューラー先生が来るのだった。
1
あなたにおすすめの小説
引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~
浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。
御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。
「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」
自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
乙女ゲームのヒロインに生まれ変わりました!なのになぜか悪役令嬢に好かれているんです
榎夜
恋愛
櫻井るな は高校の通学途中、事故によって亡くなってしまった
......と思ったら転生して大好きな乙女ゲームのヒロインに!?
それなのに、攻略者達は私のことを全く好きになってくれないんです!
それどころか、イベント回収も全く出来ないなんて...!
ー全47話ー
その破滅エンド、ボツにします!~転生ヒロインはやり直し令嬢をハッピーエンドにしたい~
福留しゅん
恋愛
自分がシナリオを書いた乙女ゲームの世界に転生したメインヒロインはゲーム開始直後に前世を思い出す。一方の悪役令嬢は何度も断罪と破滅を繰り返しては人生をやり直していた。そうして創造主の知識を持つヒロインと強くてニューゲームな悪役令嬢の奇妙な交友が始まる――。
※小説家になろう様にも投稿しています。
乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~
天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。
どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。
鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます!
※他サイトにも掲載しています
【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!
白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、
この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。
自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。
ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、
それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___
「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、
トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘!
そんな彼女を見つめるのは…?
異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
モブ令嬢は脳筋が嫌い
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる