昨日の自分にサヨナラ

林 業

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クリスタ王国

14,ウロ(緊急)

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ウロは顔を上げて、誰もいないことに気づく。
置いて行かれたと気づき、後でおやつでも奮発して貰わないと、と思う。

ウロは母と父、二人が好きだ。
優しくて、意志は通じてご飯をくれる母、アヤ。
強くて逞しくて、格好いい父、フリザード。

父母からもらった、ウロ、ゔぉ、なんとかって名前も好き。
どっちになりたいかと言えば母だが、母は自分みたいにならないでほしいと告げた。


なら、父みたいに、なりたい。
父と約束したように、二人を守る存在になりたい。

そう思えるほど二人のことは大好き。
父は横にペンを動かすときは駄目だけど縦に動かしたら構ってくれる証。
母は夜に体を登ると駄目と言うけどそこまで拒否を示しては来ない。

あ、お風呂嫌い。
なのにお母さん入れてこようとするの。

ウロは可愛いけどかっこいいのが最近好き。
玩具で遊んでくれるお兄ちゃんや先生、お姉ちゃんも好き。
特にお兄ちゃんは楽しい。
お母さんと違ってコロコロ表情が変わる。

だけど置いていかれるのは話が別で。
臭いを追うかと起き上がろうとして目の前の仮面の男にも気づく。

何それ。おしゃれ?

と首をひねりつつも眺める。
頭を撫でられ、えへへと笑う。

顎を指で撫でられ、頭を撫で回される。


「ウロ、君にとっての父親を守って」

約束増えた。
でも二人を護るのはウロの意思だから任せて。

吠えて答えれば、嬉しそうに体を撫でられる。

「ウロ」
唐突な言葉に耳を立てる。
だが、森のほうから聞こえる物音にそちらを見れば母が走ってくる。
それから、あれ?と目線を戻すが誰もいない。


思わず首を捻りつつ、体を伸ばしてから母に甘えに向かう。

撫でて。おやつちょーだい。と。


「よかった」
珍しく安堵する母に、父がいないときはウロが守る。
と心に決める。

ところでおやつ。
鞄に体をすり寄せ、手を舐める。


ちょーだい

昔の手も好きだったけど今のこの手も好き。

前足を乗せて早くと急かす。

アヤはしょうがないと鞄を探り、おやつを与える。


「今日のおやつはなんだ?」
「前にもらった試作品の幼獣向け、おやつ。ほら。ちゅる?って日本にあった」
「あぁ。犬猫に人気のやつな」
「前に一度成分見て、口にしたことある」
「え!」
ウロはお母さんずるいと鳴く。
「何時か作ってみたくて」
「あぁ。そういうこと」
楽しみと吠える。

何時になるかなぁ。とぼやいたのは聞こえない。



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