昨日の自分にサヨナラ

林 業

文字の大きさ
41 / 147
平和な日々

10,本質(悟り)

しおりを挟む
アヤは右手で本を読み、左手で文字を書き綴る。
ウロは本と手を交互に見て、どうしようと悩んでいる。
撫でてほしいのに邪魔をしてはいけないとわかっている。
「アヤさ」
アイアがおやつ片手に顔を出し、その姿を見て一言。
「なんか怖い」
「ん?」
アヤが手を止めた好きに、ウロがその手に擦り寄る。
アヤは作業を止めてウロを抱きしめる。
「アヤさん。本を書き写しているんですか?」
「うんん。魔法陣?っていうの、の応用思いついたから書き出してた。こっちは暇つぶしに読んでた」
「アヤさんに普通を求めてはいけないと思いました。異邦人ってこんな感じなんですかね」
アヤはふと、アヤトを浮かべる。
「多分。違う。前に一回、やったらドン引きされた」
「でしょうね」
あのときはテレビを流しながら、本を読ん
、パソコンで調べものをした上で、親戚に頼まれていた猫と戯れていた。
たまたまやってきたアヤトにありえねぇとぼやかれたのは記憶に新しい。

「っていうかアヤさん。目。片目しか見えないのによくわかりますね」
アヤはしばし無言。
それから眼帯の前に手を出して動かすこと数秒。
「そういえば、見える。フリザードからもらったからなんか仕込んだのかな。今度聞くか」
アイアは顔を引きつらせている。
「なあに?アイア君」
「いえ。なんか。もう。軽いなぁって。空気より軽そーだな。って」
アヤはしばらく考えてから告げる。
「だって、フリザードだよ」
何を言い出すのかとアイアは首を捻る。
「ストーカー気質なフリザードだよ。気に入った相手にはとことん貢いでくる人だよ。この眼帯フリザードからもらったけど、それぐらい仕込んでそうだなぁって」
「あー。まぁ、そうですね」
思わず肯定するアイア。
「そういえば、嘆きの森行きたい。許可いる?」
「普通入りませんけど、過保護がいるって今自分でおっしゃったじゃないですか」
「やっぱ危険か」
「危険なんですよ。なんで行きたいんですか?」
アヤはカバンを引き寄せて、中から遺品を取り出す。
「ん。まだ二人回収できてないのと、トラママにお礼したい」
「トラママさんですか」
「そう。ウロもお世話になった」
ウロは不思議そうにアヤを見上げる。

「流石に覚えてないか」
「まだ半年ぐらい前のことかと思うんですが」
「幼子、それも生まれたての記憶力を当てにしてはいけない」
「まぁそうですね」
物覚えいいもんとウロが吠える。
「はいはい。いい子いい子」
アイアが頭を撫でつつ、飲み物を机に置く。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヒメ様が賊にさらわれました!

はやしかわともえ
BL
BLです。 11月のBL大賞用の作品です。 10/31に全話公開予定です。 宜しくお願いします。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

彼の至宝

まめ
BL
十五歳の誕生日を迎えた主人公が、突如として思い出した前世の記憶を、本当にこれって前世なの、どうなのとあれこれ悩みながら、自分の中で色々と折り合いをつけ、それぞれの幸せを見つける話。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

声だけカワイイ俺と標の塔の主様

鷹椋
BL
※第2部準備中。  クールで男前な見た目に反し、透き通るような美しい女声をもつ子爵子息クラヴィス。前世を思い出し、冷遇される環境からどうにか逃げだした彼だったが、成り行きで性別を偽り大の男嫌いだという引きこもり凄腕魔法使いアルベルトの使用人として働くことに。 訳あって視力が弱い状態のアルベルトはクラヴィスが男だと気づかない。むしろその美声を気に入られ朗読係として重宝される。 そうして『メイドのリズ』として順調に仕事をこなしていたところ、今度は『無口な剣士クラヴィス』としても、彼と深く関わることになってしまって――

幸せごはんの作り方

コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。 しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。 そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。 仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

処理中です...