昨日の自分にサヨナラ

林 業

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貴方と共に

8,精神不安定

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ラゥナが呑気にクレープを試食中のトップを眺める。
何故か隣にはトップが食べているクレープを横から食べているフリザード。
(何故か。と考えるの野暮ですね。隠しませんね。この子は)
いや。隠そうとはしているのかもしれない。
「トップ。食べているものは後で伺うとして」
「クレープ。生地あるから好きな具材、もりつけていいよ」
果物と生クリームを示す。
(今日走る距離増やせばいけますね)
「そろそろ炎の支店の防犯対策を考えましょう」
「グルいるから平気な気はするけど」
「万が一があっては困ります」
「そっか。わかった」
呑気なトップはフリザードにクレープを食べられている。
だが気にはしていない。
(珍しい)
彼は基本自分の食べ物への執着は深い。
奪われたら許さない。
とはいえ、さすがに伴侶だからかと悩む。
もしくは甘いものは好物ではないからだろうか。
つまりそれだけでクレープは甘いわけで。

ごくりと唾を飲む。
「お一つもらっても?」
「好みで作ろうか?」
トップの提案に好みを把握されているラゥナは承諾する。
「んー。定番作るか。生クリーム、かすたーど。ばなな。ちょこ。他の果物は今回なし。完成」
綺麗な三角形に芸術とも言えるような盛り付けに喜んで受け取り口に運ぶ。


甘さが染み渡る。
フルーツの酸味もいい仕事をしている。
これは売れるとトップを見る。
「屋台なら。さすがに常駐の商品化は難しいね」
「なるほど」
どうするかと頭の回転を早めつつフリザードを見れば最後の一口をもらっている。


やっぱり特別なのだなぁと眺める。

「わーう」
嬉しそうに飛び込んでくるリルにお帰りなさいと頭を撫でておやつを用意する。

「?」
リルは不思議そうにフリザードを眺めてわふぅ?と鳴く。

「フリザード。カレー食べたいって早めに来た」

トップはリルの頭を撫でてリルはなるほどと理解の表情を浮かべるとラゥナへとすり寄っていく。

「リルはメーラン殿が好きなのだな」
あふぅと嬉しそうな声でフリザードへ返事をする。
「ウロ君はどうしました?」
「カレー食べに行くと言ったら「かれぇー?ウロ。猫のお姉ちゃんと鬼のお兄ちゃんといるぅ」って不満タラタラに言われたな」
二人に食事をお願いしてこちらに来たらしい。
「ウロ。カレーの匂いも好きじゃないし中毒になる食材入れてるしね」
「なるほど」
リルにもカレーは食べさせたことはないのを思い出す。

そしてリルにおやつを渡せば嬉しそうにお気に入りの場所でおやつを食べ始める。
「ウロへのおやつは見繕ったし後で一杯かまってやる予定だ」
満足そうなフリザードにそうですかとクレープを口へと運ぶ。


心身が最近不安定になるアヤにフリザードがあえて寄り添っているのではという考えに至るが野暮なことは口にしないラゥナである。
決して甘い物優先というわけではない。

先日も階段から降りられなくなって座り込んでいたり、体を丸めて隅に隠れていたり。
その度にブリザードを呼んだり、ウロとリルを側に置いたり、手が空けばラゥナも落ち着くまでいることはある。
本人曰く精神を整えてくれていた多重人格者が居なくなり、今までのいじめや虐待がフラッシュバックするそうだ。

周囲からは奇行として捉えられているのでまだいいがそろそろ精神的な医者を探すべきかと考える。

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