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ある大陸のある国にて
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市場が賑わっていて、周囲を見回す。
ルーンティルとサジタリスの家は町外れにある。
そこそこ人も少ないので静か。
なのでいきなり大勢のいるところに来て、ふわふわとした感覚に包まれる。
「大丈夫?」
差し出された二つの手を思わず掴み握る。
ルーンティルは微笑ましげに、じゃあ、行こうかと向かう。
「ルー。大丈夫か?」
「うん。後で何かおいしいおやつ食べて帰ろうね」
「パンケーキ」
ぼそりと呟かれ、思わず驚いてハルシオは見上げる。
サジタリスはなんだ?と見下ろしてくる。
「そうだね。おいしいパンケーキたべたいね」
ルーンティルは嬉しそうに笑う。
本当に甘いの好きなんだと改めて眺める。
色とりどりの宝石を眺める。
「きれー」
「これは水属性の魔物だね。こっちは闇属性」
「へぇ」
ルーンティルの説明を聞き頷くハルシオ。
商人は嬉しそうに石の入ったケースを覗き込んでいるハルシオを嬉しそうに眺めながらルーンティルを見る。
「シフさんの新しいお弟子さんですか?」
「そ。可愛いでしょ」
「ぼっちゃん。立派になったらいい石仕入れておくから、うちで買ってくれよ」
「が、がんばる」
ハルシオはそういえばお小遣いもらったなぁとポケットを探り、袋からコインを一枚取り出す。
「しかしシフさんも弟子をいっぱい取る割には他の道進んでるだろう?大丈夫なのかい?」
「ハルシオは熱心だよ。努力してて頑張りさんだし、いろんな質問してくるからね。もう、久々子育てっていいなぁって思っちゃった」
「前も同じこと仰ってた気がするが。まぁ、違ってものんびりと次の子を探すんだろうけどなぁ」
「おじさん。おじさん」
「なんだい。ぼっちゃん」
真っ赤な石に一筋の光。
「この石ってこれで買える?」
「ほう?そうだな」
ちらりと値段を見てから、石をガラスケースから取り出して渡す。
「最初の石は貴重だからな。おまけしてやろう」
「でもおじさん。損するよ」
もうちょっとなら出せるとポケットに手を入れる。
「ほんの僅かだけどな。ぼっちゃんが一人前になってうちでまた石を買いに来てくれたらいいさ」
「でも」
「自分で選んで買う、もしくは狩る最初の心臓核は、大事に持っているといいさ。ぼっちゃんを成長させる何かを運んでくれると言い伝えがあるんだぞ」
そうなの?と見上げれば肩をすくめる。
「北の方で言われてるの?初耳だけど」
「とある砂漠民族の言葉だ」
ハルシオの手に、石を握らせる。
「大事にするんだぞ」
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げてから手の中にある石を見る。
「火蜥蜴の目みたいな石」
珍しく嬉しそうなハルシオ。
「帰ったらペンダントにする?」
「自分で加工したいです」
「じゃあ、教えてあげる。流石に加工はもう少し色々と判断してからね」
楽しみだと石を握る。
「さて。リック君」
満面の笑顔を見せるルーンティル。
対して、あくどい顔をする商人。
「これとこれを買うとしたらいくら」
「じゃあこれ追加すれば?」
「最初のはやめてこっちと組み合わせると」
「ちなみにこっちは?」
「絶対売れ残りでしょ」
等と値段交渉を始める。
対して
「それは東の国で突如現れた魔物の心臓核二つで結構いい値段が」
「それを追加するとはお目が高い。一見するとクズ石にも見えるが」
「なんですって。あぁ。これをおまけにつけさせて一緒に」
「そ、それは、とある亡国の王女亡霊から産まれたとされて、中々手に入れるのが大変だった一品。あぁ。勿体無いですが」
「そんなことを仰るなんて」
等と攻防を始める。
サジタリスが見とけと示して、頷いて眺める。
しばらく観察していれば、サジタリスは休憩しろと飲み物を渡してくる。
それを飲みながら再び二人を見る。
しばらくしてお互いに良さげな取引ができたのかどちらも暗い顔はしていない。
ルーンティルは満足そうにじゃらじゃらと鳴る石の入った皮袋を鞄に入れる。
「何か作るんですか?」
「うん。帰ってからのお楽しみ」
なんだろうと楽しみになってくる。
「後は旅支度と」
「師父」
リースティーンが声をかけて、微笑む。
「師父、先生。おはようございます」
「おはよう。リースティーン」
紙袋を抱えているリースティーンはどう見ても買い物客だろう。
「おはよう。えーっと、ハルシオ君」
「おはようございます。リーン医者」
戸惑いながらも頭を下げる。
「師父達はご飯のお買い物ですか?」
「後はこの子が明日冒険に行くから旅支度」
「あぁ。頑張れ」
同情の眼差しで言われて、やばいのかと二人を見上げる。
「先生。お手柔らかにしてくださいよ。せっかく出来た弟なんですから」
弟と言われてなんだかくすぐったく感じる。
「俺は至って普通に」
「Aクラス相当の魔物討伐をついでにと数十匹受けないでくれって言ってるんですよ。しかもたった一人と戦闘慣れしてない子供と」
「あ、明日は仲間一緒だ。それにティーは大喜びだった」
「テーラー義姉さんは特殊なんですよ。まぁ、他にいるならいいです」
「はい」
「ハルシオ君も嫌なことあったらいつでも病院おいでね」
「あ、ありがとうございます」
でもと二人を見上げる。
自分を放置した親より、魔法の的にした従兄弟より。
「いい人たちです」
「そうだね。でも常識はずれを余裕でするから、やばいと思ったらほんと、逃げていいから。うちに来ていいから」
「あ、はい」
ちらりと二人を見れば、褒められた?と呑気に話し合っている。
「貶された気もするけど、わからないときは褒められたでいいか。ありがとうね」
「褒めては、貶してもないけどさぁ!」
リースティーンがこの人らは本当にと呆れる。
ルーンティルとサジタリスの家は町外れにある。
そこそこ人も少ないので静か。
なのでいきなり大勢のいるところに来て、ふわふわとした感覚に包まれる。
「大丈夫?」
差し出された二つの手を思わず掴み握る。
ルーンティルは微笑ましげに、じゃあ、行こうかと向かう。
「ルー。大丈夫か?」
「うん。後で何かおいしいおやつ食べて帰ろうね」
「パンケーキ」
ぼそりと呟かれ、思わず驚いてハルシオは見上げる。
サジタリスはなんだ?と見下ろしてくる。
「そうだね。おいしいパンケーキたべたいね」
ルーンティルは嬉しそうに笑う。
本当に甘いの好きなんだと改めて眺める。
色とりどりの宝石を眺める。
「きれー」
「これは水属性の魔物だね。こっちは闇属性」
「へぇ」
ルーンティルの説明を聞き頷くハルシオ。
商人は嬉しそうに石の入ったケースを覗き込んでいるハルシオを嬉しそうに眺めながらルーンティルを見る。
「シフさんの新しいお弟子さんですか?」
「そ。可愛いでしょ」
「ぼっちゃん。立派になったらいい石仕入れておくから、うちで買ってくれよ」
「が、がんばる」
ハルシオはそういえばお小遣いもらったなぁとポケットを探り、袋からコインを一枚取り出す。
「しかしシフさんも弟子をいっぱい取る割には他の道進んでるだろう?大丈夫なのかい?」
「ハルシオは熱心だよ。努力してて頑張りさんだし、いろんな質問してくるからね。もう、久々子育てっていいなぁって思っちゃった」
「前も同じこと仰ってた気がするが。まぁ、違ってものんびりと次の子を探すんだろうけどなぁ」
「おじさん。おじさん」
「なんだい。ぼっちゃん」
真っ赤な石に一筋の光。
「この石ってこれで買える?」
「ほう?そうだな」
ちらりと値段を見てから、石をガラスケースから取り出して渡す。
「最初の石は貴重だからな。おまけしてやろう」
「でもおじさん。損するよ」
もうちょっとなら出せるとポケットに手を入れる。
「ほんの僅かだけどな。ぼっちゃんが一人前になってうちでまた石を買いに来てくれたらいいさ」
「でも」
「自分で選んで買う、もしくは狩る最初の心臓核は、大事に持っているといいさ。ぼっちゃんを成長させる何かを運んでくれると言い伝えがあるんだぞ」
そうなの?と見上げれば肩をすくめる。
「北の方で言われてるの?初耳だけど」
「とある砂漠民族の言葉だ」
ハルシオの手に、石を握らせる。
「大事にするんだぞ」
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げてから手の中にある石を見る。
「火蜥蜴の目みたいな石」
珍しく嬉しそうなハルシオ。
「帰ったらペンダントにする?」
「自分で加工したいです」
「じゃあ、教えてあげる。流石に加工はもう少し色々と判断してからね」
楽しみだと石を握る。
「さて。リック君」
満面の笑顔を見せるルーンティル。
対して、あくどい顔をする商人。
「これとこれを買うとしたらいくら」
「じゃあこれ追加すれば?」
「最初のはやめてこっちと組み合わせると」
「ちなみにこっちは?」
「絶対売れ残りでしょ」
等と値段交渉を始める。
対して
「それは東の国で突如現れた魔物の心臓核二つで結構いい値段が」
「それを追加するとはお目が高い。一見するとクズ石にも見えるが」
「なんですって。あぁ。これをおまけにつけさせて一緒に」
「そ、それは、とある亡国の王女亡霊から産まれたとされて、中々手に入れるのが大変だった一品。あぁ。勿体無いですが」
「そんなことを仰るなんて」
等と攻防を始める。
サジタリスが見とけと示して、頷いて眺める。
しばらく観察していれば、サジタリスは休憩しろと飲み物を渡してくる。
それを飲みながら再び二人を見る。
しばらくしてお互いに良さげな取引ができたのかどちらも暗い顔はしていない。
ルーンティルは満足そうにじゃらじゃらと鳴る石の入った皮袋を鞄に入れる。
「何か作るんですか?」
「うん。帰ってからのお楽しみ」
なんだろうと楽しみになってくる。
「後は旅支度と」
「師父」
リースティーンが声をかけて、微笑む。
「師父、先生。おはようございます」
「おはよう。リースティーン」
紙袋を抱えているリースティーンはどう見ても買い物客だろう。
「おはよう。えーっと、ハルシオ君」
「おはようございます。リーン医者」
戸惑いながらも頭を下げる。
「師父達はご飯のお買い物ですか?」
「後はこの子が明日冒険に行くから旅支度」
「あぁ。頑張れ」
同情の眼差しで言われて、やばいのかと二人を見上げる。
「先生。お手柔らかにしてくださいよ。せっかく出来た弟なんですから」
弟と言われてなんだかくすぐったく感じる。
「俺は至って普通に」
「Aクラス相当の魔物討伐をついでにと数十匹受けないでくれって言ってるんですよ。しかもたった一人と戦闘慣れしてない子供と」
「あ、明日は仲間一緒だ。それにティーは大喜びだった」
「テーラー義姉さんは特殊なんですよ。まぁ、他にいるならいいです」
「はい」
「ハルシオ君も嫌なことあったらいつでも病院おいでね」
「あ、ありがとうございます」
でもと二人を見上げる。
自分を放置した親より、魔法の的にした従兄弟より。
「いい人たちです」
「そうだね。でも常識はずれを余裕でするから、やばいと思ったらほんと、逃げていいから。うちに来ていいから」
「あ、はい」
ちらりと二人を見れば、褒められた?と呑気に話し合っている。
「貶された気もするけど、わからないときは褒められたでいいか。ありがとうね」
「褒めては、貶してもないけどさぁ!」
リースティーンがこの人らは本当にと呆れる。
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