幸福からくる世界

林 業

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パーティーは賑やかに

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サジタリスはじっとララを抱きしめて見つめてくるハルシオをなんだろうと見るがそっぽを向かれる。
「どうした。ルシオ」
嫌われたかと声を掛ければ恐る恐る近づいてくる。
「師父から今日から納品日までの一週間ほどおやすみ頂きました」
「おう」
「先生の冒険連れて行ってほしいと思いました」
恐る恐る言われて、頭を撫でる。
「じゃあ、行くか。何かほしいものでもあるのか?」
嬉しそうに顔を明るくしてえっとと考える。
「フィッシュボーンの心臓核と月光草です」
「じゃ、野宿の準備しないとな」
「野宿?」
「フィッシュボーンも月光草も夜中じゃないと手に入らんだろう」
「そうなんだ」
使いたいと思っていたが商人も持ってこない。
ルーンティルも珍しいとしか、言っていなかった。
「確か、昔誰かが使ってたお下りあるからそれ使うかまだ使えるだろ」
階段下の物置へと向かい、漁る。
階段のドアを開けてすぐ現れるジャックウィリーを放り出して探し続けるサジタリス。
ジャックウィリーは角で拗ねて座り込んでいる。
「俺、買ってきます」
お小遣い溜まってきたのだと示す。
「多少使い込んでたほうが色々といいんだよ。あぁ。あった」
取り出した寝袋。
魔導具として改良されているからか、まだ数回程度しか使っていないように見える。

「ルー」
「はいはい。何?」
玄関から手紙を携えてやってくる。
「明日からちょっとルシオ連れて冒険行ってくる。夜ふかしがてら」
「あ、行ってらっしゃい。三日後に王家からおいでっていわれたからそれまでに戻ってきてね」
「おう」
「何か悪いことでもしたんですか」
驚いて叫べば違う違うと笑う。
「弟子の育成具合を教えてほしいって連絡だよ。美味しいもの用意してくれるって言うからせっかくなんで食べようかなって」
「酒狙いだろう」
サジタリスは呆れたようにぼやく。
「あぁ。じゃあ、俺も?」
「大丈夫。未成年を登城はさせるつもりはないよ。でも念のため今度礼儀作法覚えようか」
「はい」
ハルシオが笑顔で頷く。

だがすぐに気づいたらしい。
「あれ。ってことはお留守番?」
「もしくは誰のお家がいい?」
「行くの、辞めるとかは」
「しないねぇ」
「絶対にないだろうな。酒飲めるいい口実っ」
ジャックウィリー現れ、南瓜の頭とぶつかって言葉が止まる。
「るー。いきなり召喚するなよ」
ジャックウィリーも頭を抑えてじたばたと暴れている。
ちなみにジャックウィリーは普段から自分で出てきている。
送還しても無駄とルーンティルが言っている。
(本当に痛いんだろうなぁ)
ハルシオが眺める。
同時に寂しいと考えていればよしよしと頭を撫でるルーンティル。
ララがにゃあと鳴いて僕がいると示している。

「とりあえずオーラン置いていくから何か伝言あれば飛ばすといいよ」
「はい」

大きく頷き、それでこそ俺らの養い子だとサジタリスは頭を撫でてくる。


クラークが膝の上に乗ってくるので二匹とも抱き上げて居なくならないでと抱きしめる。



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