未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

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貴方を支える未来

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この世界では子供は宝だ。
だから基本、子を害する者はいない。
子は大人たちで見守り育てる。

ただ僅かながらもたまに狂ったように子供を奪う人もいるし、誘拐する者もいる。
だから慎重に、神経質に守ることになるだろう。


約半月で実に変化した。
長兄と義兄は教会へ受け取りに行き、今は布に包まれ義兄の肩にかかっている。
受取の儀式は見せて見せてもらえなかった。
まるで卵のようだと義兄に断って触れる。

柔らかいような、硬いような。
不思議な感触。
だが触れると何かが触っているような気もする。
「手や足ができた頃だからね。多分それだよ。イネスおじさんだよ。王妃になる王様の次に偉い子なんだよ」
そう話しかける義兄が幸せそうで、いつまでも見ていたいと眺める。
だがリーマンに授業だと引き戻される。
「明日、ベビー用品買いにいくんでしょう?時間を作るためにも頑張りましょう」
「はい」
そうだったと気合を入れ直す。



実になって、暫くして、何日頃産まれると教会から連絡があったらしい。
「秋口だって。結婚式の綺麗な姿は見られないんだって。残念だったね」
「そっか。でも、義兄上が参加できないのも嫌です。だから良かったかもしれないです」
実に触れて、蹴られる。
可愛いなとこっちと叩けばそこ目掛けて手が当たる。

「出てきてたらしばらくお出かけはできないから」
「そうだった」
実をよしよしと撫でる。
「そういえば、もし義兄上が領地にいたら領地に出てくるんですか?」
「そう。すべての大樹は繋がっているとされているから。本来領地で出てくるはずだったけど、こっちに来てお祈りしたからここに現れたんだろう。できる限り祈りを捧げるっていうのはそういうこと。気づいても我が子の花を見ることができないことも多々あるらしい。戻ってきても木の実だけ。みたいなことが。さすがに一度咲いちゃうとそこから移動できないらしいからさ」
「じゃあ義兄上は幸運ですね」
彼が嬉しそうに微笑む。
「そうだね。幸運だ」
幸せそうに、嬉しそうに実を撫でる。
「名前は決まったんですか?」
「今考えているそうだよ。毎日あれはどうだこれはどうだと頭を悩ませてる」
「どんな名前かな。元気に育って出ておいで。みんなまってるよ」
声を掛ければ、そうだねと義兄は微笑む。



そしてあっという間に結婚式の時期が近づく。
なんとか結婚式前に会えるようリーマンや王が調整してくれていたようだが用事意外の外出すらままならなかった。

義兄がなんだかんだで時間を作って構ってくれていなければ、義兄の子の成長も見られなかっただろう。

「今よろしいですか」
リーマンが声をかけてくる。
「なんですか?」
「結婚式での正装が出来たそうなので今から試着に行きましょう。よかったらご一緒に」
義兄は二つ返事で引き受ける。


翌日ようやく来た父母に
きれいだった。
可愛かった。
と興奮気味に語り、長兄に身体に触るからと宥められていた。
母は母でずるいと不貞腐れていた。
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