龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業

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共に生きると決めた日

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精霊に請われある子供を竜人族へ連れ帰った。
その保護した子供が気になり、時々顔を出す。
無気力な様子に明日には死ぬんじゃないかと思えるほど弱々しい。
今までそんな子供と会ったことがないので、ここに連れてくるときは本当に怖かった。
背中に乗らず腕にしがみつき、飛んでいれば心地よいのか眠ってしまうほどの度胸の持ち主。
「あの子は?」
リザベスに声を掛ければベッドを示す。
精霊を見つめている緑の瞳に、恐る恐る近づく。

長いこと食べ物を口にしていなかったらしく、胃が食べ物を受け付けないらしい。
なので液体を口に運ばせているらしいが竜人族に比べれば断然、細い。
こちらに気づいたのか不思議そうに見てくる。
恐る恐る目の前で包みを外した飴を渡す。
渡された飴をまるで宝石を見るがごとく、光に翳す。
キレイと言わんばかりの様子に、説明してからそっと口に入れる。
驚いたまま固まる彼だがすぐに食べれると判断したらしい。

コロコロと口の中を転がる音。
じっと包み紙を見てくる。
「いるか?」
見つめてきてから、恐る恐る頷いているため渡す。
嬉しそうに包み紙を見て瞳を輝かせる。
何が気にったのかわからず、ゴミだと言えば、違うと左右に首を振り、大切そうに握る。
それから服を捕まれて見てくる。
「あれく、さんどら。名前。あれくさんどら。ありがと」
聞いた名前にぎこちなくとも、照れた笑みを浮かべる。
僅かに浮かべる笑顔にもっと見たいと訪れる。



アレクサンドラが来て、顔を見るたびに高鳴る鼓動が抑えきれない。
だからこそと気合を入れる。
高鳴る鼓動、緊張を抑えて、王に頼み込む。
「アレクサンドラ様と結婚させてください」
「結婚って、アレクは確かに王家の養子になる。だからといって本人の意志なしに婚約はできんだろう」
「もちろん。許可をいただければその後アレクサンドラ様にお話させていただきます」
お願いしますと頭を下げる。
親である陛下に先に筋を通してからのほうが後腐れない。
むしろ、溺愛しているからこそ先には怖く感じる。
最悪、王族相手でも力で認めさせる手もあるが出来るならば話し合いだろう。
「本人が望むならな」
言われて即座に向かう。
中庭で王妃と話をしているが気にせず手を取り、白銀の鱗を示しながら告げる。
「結婚してくれ」
暫く固まったアレクサンドラ。
徐々に理解したのか顔を赤くして、暫く。
「はぃ」
小さくも返答をされて、抱き締める。


竜人族が伴侶に渡す鱗、逆鱗。
一度抜けば二度と生えて来ない龍の鱗。
そして伴侶の身を守ってくる代物。
それを嬉しそうに受け取る。

後日加工し、ネックレスとして首に下げることとなる。
自分がずっといなくともアレクサンドラの身を守ってくれる。



目を覚して、隣を見れば、じっと見つめてくる赤い瞳。
精霊に愛されているからか、彼の瞳は夜の間赤く染まる。

それを人族は迫害したのだ。
魔族として。
本当は勇者が自分の見栄のためだけに。
そんな体質を持つ彼を追い出すわけにも行かず、愛し子なので下手に扱うこともできず。

何より関わった者の大半が彼へ敵意を向けるのを止める。
同じように人族に迫害されて、人族を怖がる彼に逆に共感を持てたのが大きいだろう。

「アレク。どうした?」
胸元にある白銀の鱗が輝く。
首に口づけをすれば、アレクサンドラがお返しと頬にキスをしてくる。
「サンムーン。大好き」
思わず彼に覆いかぶさる。
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