探し物は何ですか?~図書委員の夏休み~【完結】

Koala(心愛良)

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第2話 森の学校

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夏休み初日から1泊2日で交流会という名の研修会にやってきた。
1年生の図書委員から1クラスだけ、参加することになると聞いたのはクラスで委員会が決まった日の夕方。
初回の委員会の時間。

意気揚々とじゃんけんの代表者となって前に出たコウ。
「じゃん!けん!ぽん!」
といった瞬間に1人負けでコヨミ達のクラスが行くことが一発で決定した。

コヨミ、ミオ、コウ、ショウの4人は、引率の花山ハナヤマ先生と一緒にバスに乗り、電車に乗り、ここにやってきた。

森ノ宮中学校は自然に囲まれており、生徒数減少により昨年度で廃校になっていた。そこの図書室が今回の会場だ。

同じ市内の中学校が他に4校集まってきていた。

「なんでせっかくの中学初夏休みにこんなとこきてんだよー。」コウがふてくされる。
「まぁまぁ。1年生でお前達4人だけ!特別な経験だぞ。皆うらやましがるぞ!」
「いや、皆じゃんけんで決まった瞬間ガッツポーズしてたじゃないですか。」ショウがぼそりと呟く。
「さぁ、行くぞ!」
なにも聞こえなかったかのように、(絶対聞こえてたけど)花山先生に図書室に連れていかれた。

教室2つ分位の広さがある図書室には、木でできた広いテーブルが6つ並んでいて、部屋の周りを本棚が囲い後方には背の高い本棚が並んでいた。

部屋の中は予想とは違って涼しくて、きれいだった。
廃校と聞いていたので、まさか掃除からさせられるのではと思っていたがホッとした。
廃校のあとも、色々な目的で地元の人たちが活用しているらしい。
コヨミは、「電気通ってんの?」と家を出る前に母から言われた言葉を思い出した。


「スマホ使えない!」
という叫び声にも似た声が隣のテーブルから聞こえてきた。ミオ、コウ、ショウもあわててカバンからスマホを取り出す。
「最悪。」
「はぁ?」
「ほんとだ...」
3人はテーブルにうつ伏せになる。

コヨミはというと、何のダメージもない。
なぜならそもそも持っていないからだ。そんなこともあり、帰宅後の娯楽の1つとして読書があった。

今の時代持っていない人の方が断然少ない。コヨミも小学校卒業と同時に親に頼み込んだ。が、買ってもらえずじまいだ。
小学生から持っている人も多い中、我慢してる方だと思う。早く高校生になってバイトして、自由に使えるお金がほしいと思っているが、地獄にきたような顔をしている3人と他校の生徒達を見ているとなんだか勝ち誇った気分になった。

参加5校20名が揃い、19名がスマホの電波を奪われガックシしているところから交流会スタートだ。

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