ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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授業編

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 何人かに囲まれたもののリッカ達が一言二言疑問に答えると彼らは感謝の言葉を述べて去って行った。しつこく何かを言われるでもなくあっさりと森の方へ契約をしに行った彼らに少し拍子抜けしそうにもなるが、ある意味ありがたかった。最後の一人がいなくなった後でタイミングを見計らったかのようにタイチがじりじりとにじり寄ってくる。どうやらずっと何かが気にかかっているらしい。

 「なあリッカ、その魔獣……ウルフ、か?」
 「んーん、違うよ。あーそっか、タイチは知らないんだっけ?」
 「何が?」
 「この子の……言い伝えられている本当の姿。この子フェンリルのフェリね。仲良くしてあげて。」
 「フェンッ……え、いや、はぁ!?」

 何気なく言われた事実にタイチは自分が間違っているかのような感覚に囚われるようだった。リッカの態度があまりにも普通過ぎて本当になんてことないのだと感じてしまいそうになる。やはり存在を知っていても言い伝えられているフェンリルの姿は違うようだ。
 困惑している様子のタイチはあわあわと手を動かし、思いっきり肩を落とした。

 「……なんでリッカはこういう魔獣とばっかり契約するんだ。」
 「なんでと言われても、この子が一緒に行きたいって言ってくれたし。」
 「それに、フェンリルはここら一帯の守り神だろ?連れて行けるのか?」
 「ああ、それね。大丈夫、フェリは聖獣だよ?神獣と違うんだ。少ないにしろフェリの他にもフェンリルはいるんだから。」
 「……なら、いいが。」

 と言いつつもひとりでに良くはないだのなんだの言っているがリッカの知ったことではない。不服そうなタイチから視線を逸らしウルへ向けるとウルの頭の上には可愛らしく小さな魔獣が乗っていた。

 「それよりも、タイチも随分と可愛らしい子と契約したんだね。」
 「話をすり替えるな話を……まあいいが。リッカと別れた後森を散策してたら後ろをついてきていたんだ。俺はウルがいるし契約するのはどの魔獣でもよかったし。だから契約した。」
 「ふーん。……でもまあ、この子は案外タイチの好みの子だと思うなあ。」
 「はあ……?」

 恥ずかしがり屋なのかウルの頭に顔を伏せているので表情は分からないがその色と特徴的な耳、そしてその朱雀と同じくらいのサイズ感からだいたいなんの魔獣かは想像がついている。するりとその小さな頭を撫でると小さな魔獣はおそるおそる顔を上げた。

 「あらら、僕らが怖かったのかな?泣かせちゃった?」
 『いえ、ただ恥ずかしがっているだけですよ、リッカ様。』
 「そう?でもやっぱりかわいいね。……実物は初めて見たよ。」

 ウルの言葉にリッカは笑って答えた。ふんわりとリッカに微笑まれて落ちない魔獣はいないのである。きゅうきゅうと鳴きながら自分の頭を撫でているリッカの指にすり寄った。真っ赤なルビーのような瞳に雪のように白い毛並み。長い耳は先につれてグラデーションのように薄桃色になっている。リッカの予測は当たっていたのだ。

 「幸運兎ラッキークロ―リク。こんな珍しい子、僕も見たことないよ。」
 「そうか?あんまり気にしていなかった。」
 「……タイチらしいね。名前は?」
 「女の子だから、ローリア。いい名前だろ?」
 「うん。かわいい名前じゃん。ローリア、それからウルも、こっちの子はフェリっていうから仲良くしてあげてね。」

 フェリをウルたちの方へ押しながらリッカは言う。ウルはともかくローリアは心得たと言わんばかりにきゅいっと鳴いた。まだ言葉が分からないのである。幸運兎ラッキークロ―リクは生まれてから死ぬまでそれほど大きさは変わらない。しかし大人と子供の大きさの差はある。タイチが契約した子を見るにまだ生まれたばかりに近いのだろう。言葉も分からないほど幼いので、リッカも意思の疎通を取ることができないのだ。雰囲気でどうしてほしいかは何となくわかるが。
 ローリアにばかり目がいっていたが、ウルの反応もおかしいことに気が付く。そう、まるで憧れの存在を目にしているかのように固まっているのである。

 『……まさかフェンリル様にお目見えできるとは。……天狼シリウスのウルと言います。こちらこそよろしくお願いします。』
 『……ぼくとともだち、いやなの?』
 『は、……い、いえ嫌とかではなく!』
 『じゃあふつうにして。なんだかかたくて、やだ。フェリってよんで。』
 『う、……ふぇ、フェリ様、』
 『フェリ!さまはいらないの!』

 なんだか尻にひかれているようである。普段のウルからは想像できないくらい困っているようだったので思わずリッカがウルに助け船を出してしまうほどだった。

 「ウルくんは誰に対してもこうだからしょうがないんだよ。フェリにだけって訳じゃないから許してあげて?」
 『でも……もっとシロにいみたいにしてほしい……。』
 「あー、ほら、それはみんな個性があるでしょ?すーちゃんだってみんなに丁寧な言葉で話してる。それと一緒だよ。」
 『……』
 「何より、困らせちゃったら嫌われちゃうかも。」
 『!!……やだ、きらわないで。』

 目線を合わせてリッカがそう言うとフェリは慌てたようにウルに向かって言った。おそらく同じウルフ系統として大きなウルフに憧れのようなものを抱いているのだろう。だから手始めに仲良くなろうとしたのだ。友達が増えるのはいいこと。リッカも自分の”家族”のためなら尽力する。フェリに付け加えてリッカも申し訳なさそうにウルへ視線を向けると耐えられないとばかりにウルは首を振った。

 『なりません!嫌いになんてなれません!……今は、フェリ様と呼ぶだけでお許しいただけませんか?』

 慌てたように言い、妥協案とばかりに目じりを下げて言われてしまえば断れるはずもなく、フェリは少し唸った後しぶしぶと言うように頷いた。


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