ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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依頼消化編

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 「おい聞いてんのか!!!」
 「聞いてるようるさいなぁ……子供だからなんだっていうのさ。」

 ジトリと視線を向けそう言うリッカだが、その態度が気に障ったのだろう。男はさらに声を荒げ始めてしまった。何とかしてくれるギルドスタッフや冒険者はいないのかと視線を移しても気に掛けるものは居ても口を出そうとするものは居ない。少なからずリッカ達を場違いだと思っている輩がいるということだろう。そんなギルドに、腹が立つ。

 「平和ボケしたガキがいきがってこんなとこに来るなっつってんだよ!!冷やかしなら帰れ!!!」
 「見た目だけで判断するオジサン・・・・に言われたくないよ。そんなんじゃすぐに死んじゃうんじゃない?」
 「んな!?お、おじさん……俺はこう見えても冒険者としてはベテランの方だ!!おじさんじゃねぇ!!!」
 「そんなの実際に見たことなんてないから知らないよ。オジサンがそうやって僕のこと言うなら、僕だってそう言ってもいいじゃない。」
 「お、おいリッカ……煽りすぎじゃないか?」

 リッカの煽り口調にタイチがヒソリと耳元で言葉を紡ぐ。しかし、リッカの煽りは留まるところなく言い合いはヒートアップしていった。これはダメだ、とタイチは大きく肩を落としため息をつく。

 「ぬいぐるみみたいな従魔連れてるみたいだがなぁ!!対して戦力にもならなそうなやつを連れるってだけで実力なんてたかがしてれるんだよ!!!!無駄死にしてぇのか!!」
 「ほらまた。見た目だけで判断するなんてうちのアカデミーにいるアホと変わらないんじゃない?その内騙されて大怪我負うことになるよ。」
 「アア!?てめぇ……あんまし調子に乗ってっと、ぶん殴るぞ!!!!」
 「やってみれば?やれるものならね。」

 まさに売り言葉に買い言葉。まさかリッカがこんな頭の出来の低いやり取りをするとは、とタイチは内心驚いていたが、それも仕方がないのかもしれない。リッカはその幼い顔立ちと言い、女性のように伸ばしている髪と言い、まるで戦闘ができるとは思えない。そしてそのころころとした愛らしい見た目の神獣たちや、現状小型犬サイズのフェリを見てもそうだろう。唯一確実に判断できる要素である魔力も、視える人は少ない。
 そう言ったことから侮られ続けたリッカのイライラが許容値を超えてしまっていたとしても何ら不思議ではないのだ。実際にリッカが言っているようにアカデミーではルーベンのような輩とも出会った。あれで家族のような神獣たちを馬鹿にされたことでぶち切れ寸前まで来ていたのだろう。故のこれだ。
 ベテラン冒険者を名乗る男はリッカのその挑発に右手を振り上げた。

 「お、おい!殴るのはまずいって!!」
 「うるせぇ止めんな!!!!こうも馬鹿にされたんだ!黙って帰すわきゃねぇだろ!!」
 「相手は子供だ。お前の拳で殴られたんじゃ下手したら死んじまうぞ!」
 「知ったこっちゃねぇ!!!覚悟しろ!!!!!」

 何人かが男を止めようとするが、挑発されにされまくったせいで聞く耳を持たないようだった。リッカは小さく息をつき、しょうがないとでも言う風に立ち上がると、挑発的に笑って見せた。その意図に気づいてしまったタイチは玄武を慌てて見やり、手加減するように口を開こうとするが朱雀に視線で止められてしまう。
 男の末路を否が応でも悟ってしまったタイチは足の間にいたウルへ顔をうずめた。悲惨な光景が広がることを察してしまったのだ。



 「そこまでだ。手を下げろ、バッツ!」

 しかし、そんなタイチの想像した光景は広がることなく一人の乱入者によって騒ぎは鎮静化へと向かうこととなった。ベテラン冒険者、バッツは納得がいかないと言わんばかりにその声の主へと詰め寄る。
 リッカへ向けられていた拳は、いつの間にか手を下げていた。

 「けどこいつが失礼な態度をとるからだぜ!?俺は悪くない!」
 「ギルドスタッフが言っていたぞ。きっかけを作ったのはバッツだと。そこから煽りに煽られ続けバッツがキレた、ともな。」
 「ぐ……けど!!ギルドはこんな子供が来るところじゃねぇ!みんなもそう思ってんだろ!?」

 バッツの投げかけに言葉で応えるものは居なかったが、その場は同調の空気が満ちている。そのことに声の主は呆れたようにため息をつくと、ぼりぼりと右手で頭を掻いた。

 「よく見ろ、その子たちはクートベルアカデミーの生徒だ。バッジをつけているだろう。それに、ノアの連れだ。」
 「え……?」
 「入ってきたところは見てなかったのか?ノアと一緒にいただろ……お前の早とちりだよ。」
 「そこの人の言う通りだよ。だから見た目だけで判断しないでってあれほど言ったのに。」

 不貞腐れるように言うリッカにバッツはさらに肩を落とした。それを見て鼻で笑ったリッカだが不意に後ろから肩に手を乗せられ咎めるようにぽんぽんと頭を撫でられる。正体が分かっている故、リッカは躊躇いなく後ろを振り返った。

 「リッカくんも煽りすぎだからね?いくらムカついたからって仮にも年上の人なんだから。」
 「はーい。」

 そういうノアも大概失礼である。ノアやここの権力者っぽい声の主の登場にほっと息をついていたタイチが目に入ったのだろう。ノアはお疲れ様と労うようにタイチの頭も撫でた。

 「ノア……流石に傷つくぞ……。」
 「本当のことでしょ?バッツさんてば僕の時で懲りたと思ってたんだけど、そうじゃなかったんだね。」
 「けどよぉ……」
 「けどもだってもでもも無いよ。それに、ギルマスが止めてなかったら吹っ飛んでたのはバッツさんの方さ。良かったね、無事で。」
 「は……?」
 
 ノアにそう言われたバッツは信じられないものを見るような目でリッカを見る。しかしリッカは気にした素振りもなくざんねーん、と小さく呟いていた。本当に残念がるような声色とそれと反対の軽い口調。バッツは、もしかしたら自分はとんでもないものに手を出そうとしたのではないかと冷や汗をかいていた。

 「っていうか、ギルマス?」

 ノアの言葉に疑問を抱いたタイチがノアへ疑問をぶつける。言葉の意味はあまり理解できなかったが、止めに入った声の主のことを言っているのだということは分かった。ノアは口元に笑みを浮かべながら話す。

 「ああ、ギルドマスターって言ってね、このギルドの責任者のようなものだよ。それと、今から受ける依頼の詳しい説明をしてくれるのもあの人。自己紹介は彼にしてもらってね。」
 「へぇ……って、え!?」

 何でもないことのようにさらっと言われたそれにタイチだけが驚きの声を上げた。


 
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